『カルドセプト』
6. ひとりでも、みんなでも
- 武重
- 今回、初心者を意識した仕組みという意味では、
新しく取り入れた
アドバイスカーソルもあります。
カーソルで、そのときにプレイヤーがとれる
最適な行動をアドバイスしてくれる、便利機能なんです。
- 岩田
- ルールを完全に把握しなくても
ゲームを進めることができるわけですね。 - 鈴木
- 開発的にはこれがまた、
プログラマー泣かせでした。
UI(ユーザーインターフェイス)も
複雑多岐にわたりますし、
あらゆる場面においても何らかの提案を
出さなければいけないので。 - 岩田
- そうでしょうね。
あのゲームルールの中に
そういった機能を実現しようとすると、
相当しっかりしたUIを
つくらないと難しいはずです。 - 鈴木
- でもこの機能のおかげで、
たとえば親戚の姪っ子さんなどにも
「このカーソルどおり操作すれば勝てるから」って
手放しで遊ばせられる、
とても心強いものになったと思います。 - 岩田
- それで遊んでるうちに、
なぜ、その選択がいいのか、
どんな意味があるのかが、
次第にわかってくるわけですね。 - 鈴木
- そうです。
実戦を重ねるほどに、
ルールを体で覚えられます。 - 齋藤
- でも・・・“絶対”じゃないんです。
わたしも最初、カーソルに頼って
プレイしていたんですが、ある時期から
「カーソルは『このカードを使え』って出るけど、
こっちのほうがいいんじゃないか?」って、
疑問に思うときが、出てくるようになったんです。
- 岩田
- あぁ、そのわかり方はおもしろいですね。
- 齋藤
- カーソルはONとOFFの
切り替えができるんですけど、
わたしはわざと表示して遊んでいて、
カーソルの指示に反抗して
「いやいや、自分はこっちだよ」って、
逆を選んだりして・・・。 - 岩田
- ははは(笑)。
- 鈴木
- すごくユニークな、
ゲームに慣れていく過程ですよね。
つまり、手取り足取り教えられていた初心者が
「こっちのほうがよくない?」って言いだしたら、
「おめでとう、卒業だよ」ってことです(笑)。 - 齋藤
- 自分の成長が実感できる仕様です。
- 岩田
- 齋藤さんはもともと、
初心者を代表する人だったはずなんですが(笑)。 - 齋藤
- そうなんですけど・・・(笑)。
いまはソロプレイをやり込んでいます。 - 岩田
- 初心者を卒業されたんですね。
- 齋藤
- はい、そうなります(笑)。
『カルドセプト』というと、
対戦が大きくフィーチャーされがちなんですが、
今回は1人でコンピューター相手に戦うソロプレイも
嫌っていうほど、ボリュームがあります。 - 岩田
- そんなにあるんですか?
- 鈴木
- ネタバレになるのでくわしくは言えませんが、
ちょっとうんざりしてしまうくらいあります(笑)。
相当、やり込んでいただけるボリュームになっています。 - 岩田
- 鈴木さん、これまではわりと対戦のバランスや、
戦略性を引き出すことのほうに『カルドセプト』は
エネルギーをかけていた印象があったんですが、
今回、ソロプレイを充実させた意図は
どこにあるんですか? - 鈴木
- それは先ほどの、
DSの話題のときにお話しした
1人でじっくりと遊ぶような方を
意識しているところがあったからですね。 - 岩田
- ネット上では見えにくいけど、
潜在的にはたくさんいるであろうお客さんに
着目されているということですか? - 鈴木
- そうです。
- 武重
- あと、もちろん
ローカルプレイ(※16)にも力は入っています。
ルールをかなり自由に設定できるようになっていますし、
シリーズでははじめて同盟戦のルール改定を行って、
これまでよりもさらに協力プレイがおもしろくなっています。
ローカルプレイ=ニンテンドー3DS同士の無線(ワイヤレス)通信機能を使った通信プレイのこと。
- 岩田
- インターネット対戦もあるけれど、
ローカルプレイも充実させている、
ということですね。 - 武重
- はい。我々から情報発信すると、
「ネットを通じてたくさんの人と対戦できます!」
という具合にネット対戦が強調されがちなのですが、
実際は、ソロプレイでこつこつカードを集めたり、
大多数の方は、身近な知り合いと
ローカルプレイで楽しんでいると思うんです。 - 鈴木
- すぐに集まって遊べる、
携帯ゲーム機の特性を活かすわけですね。 - 武重
- もともと『カルドセプト』という遊びで、
ゲームとその周りの環境やサービスすべてを
まるごと提供したい、と考えていたんです。
今回はそういう意味でいろんな用意がそろっていて、
まさに決定版とも言えるものに
仕上がった実感があります。 - 岩田
- 1人で楽しみたい方から、
周りの人と楽しみたい方、
相手をみつけて楽しみたい方、巻き込みたい方、
インターネットで強力な腕自慢と向き合いたい方。
何でもござれというわけですね(笑)。 - 武重
- はい、どんな遊び方も正解です。
- 岩田
- そうなんですよね。
それはお客さんのほうで、
自由に選んでいただければ良いわけですから。 - 武重
- 余談ですけど、この間、任天堂の担当の方と
ネット対戦のテストを行ったんです。
その日の朝に「夕方対戦しましょう」って
連絡してから、夕方の対戦の時間までの半日間、
ずっとどんなデッキがいいか、考えていたんです。
その時間がまた、たまらなくおもしろくて。 - 岩田
- 対戦する前の準備をしているところから、
わくわくして楽しかったということですか? - 武重
- はい。そういうのもひっくるめて、
「これが遊びなんだなぁ」と実感しています。 - 齋藤
- わかります。デッキを組むこと自体が、
自分を表現するみたいな意味があるんです。
だから、ヘタなものはみんなに見せられない(笑)。
「このコンセプトで組んだのをわかってほしい」とか。
「ほかの人がどんな組み方をしているのか」とか、
そこをいろいろ見るのも楽しいんです。
- 岩田
- ・・・ということを『カルドセプト』初心者だった
齋藤さんが申していますので、
「本当にすごいことになっているなあ」と思います(笑)。 - 一同
- (笑)