『ファイアーエムブレム 覚醒』
6. この熱は、なんだ!
- 岩田
- では最後に、ぜひアピールしておきたいところを
それぞれの立場から訊こうと思います。
今度は任天堂側から、山上さんお願いします。 - 山上
- はい。今日の話題には出ませんでしたが、
じつはムービーも大変苦労してつくりました。
今回の『エムブレム』の壮大なイメージに
合うようなムービーをつくるために、
まるで「大河ドラマのオープニングのような壮大なものを」
というコンセプトで制作しました。
3Dムービーとしても十分に魅力的に感じてもらえるうえに、
今作の世界観を存分に感じてもらえるんじゃないかと思います。
- 岩田
- この間のニンテンドーダイレクト(※13)で、
その一部を公開しましたよね。
この間の「ニンテンドーダイレクト」=2012年2月22日放映の「Nintendo Direct」。「Nintendo Direct」とは、任天堂の新情報を直接お届けする、インターネットプレゼンテーションのこと。
- 山上
- はい。ムービーで物語のイメージをとらえていただきつつ、
今作の最大の魅力である、
みなさんのプレイに応えてゲームが育っていく部分を
十分に楽しんでもらえればと思います。 - 岩田
- はい、横田さん。
- 横田
- はい。システムの話ばかりしましたが、
ストーリーもいろいろ考えています。
今回はやや趣向を変えてみて、
いままでの『エムブレム』にはなかった要素も入れています。
国家関係の王道ストーリーの中に、
新たな『エムブレム』を感じてもらえればと思います。
- 岩田
- コザキさん、お願いします。
- コザキ
- ビジュアルに関しては、
一度見ていただくのが早いですけど、
いままででいちばん、表情が豊かになっていると思います。
各キャラクターに喜怒哀楽をそれぞれ用意しているので、
会話シーンも、より感情移入しやすくなっているはずです。
- 岩田
- では、草木原さん。
- 草木原
- いままでの話にあるように、
全体がなぜか奇跡的に同じ方向を向いていて、
全員が全力疾走したものになっていますので、
手にとっていただいた方には、
熱気を感じ取っていただけるんじゃないかと思います。
たとえば、戦闘シーンひとつとっても、
キャラクターの動きが、設計段階の想定よりも
はるかによく動いているように思える場面が多いんです。
まるで本当にキャラクターが命を吹きこまれたように感じられる、
見応えのあるものになっていると思います。
ぜひ戦闘アニメはオフにしないで見ていただきたいです。
- 岩田
- よく動くようになったのは、なぜだと思いますか?
- 草木原
- うーん・・・不思議なんですよねぇ。
- 横田
- やっぱり“愛”じゃないですか?
- 草木原
- 愛ですかねぇ(笑)。
自分で見てもびっくりすることがあります。 - 岩田
- 自分が設計した部分を見て自分で驚けるというのは、
エネルギーが入っているときですよね。
はい、前田さん。 - 前田
- “いつの間に通信(※14)”についてですが、
毎日接続して新しい喜びを感じてもらいたかったので、
“
いつの間に配信チーム”という形で、
過去作をイメージしたキャラクターのチームが、
だいたい1日1チームやってきて
仲間になったり、戦ったり、
アイテムを買ったりできるんですが、
全部で120チームぐらいあります(笑)。
だから発売後、ちょっとずつでも
長く楽しんでいただければと思っています。
いつの間に通信=ニンテンドー3DSが、インターネット無線アクセスポイントを探して自動的に通信を行い、さまざまな情報やコンテンツを受信する機能。
- 岩田
- 今回はまるでブレーキが壊れているほど、
ものすごく勢いがありますね(笑)。 - コザキ
- まるで
パッケージの絵、そのままです。
みんな同じ方向に突進しているような感じがします。
- 岩田
- ああ、確かに。
パッケージの絵と開発チームの感じがシンクロしますね。
では、樋口さん。 - 樋口
- 今回、いろんなものが3Dで表現されていますが、
通常視点、真横から見た視点にプラスして、
今回は“
一人称視点”を追加しています。
お互いの目線に立って戦うものなんですが、
3Dの面白さも見ていただければと思います。
また今回、生のバイオリン演奏を入れるなど
いままで以上にサウンドにも力を入れています。
新たな挑戦をいろいろしていますので
いい環境で聴いていただけたらと思います。
- 岩田
- では、成広さん。
今日、聞いていてどう思いましたか? - 成広
- ・・・想像以上に熱かったですね。
- 一同
- (笑)
- 成広
- 端から見ているとかなり心配だったんですが、
コアな現場がこれだけ盛り上がれたということが、
できあがったものにしっかり反映されていると思います。
言いきれないほど要素がたくさんあって、
密度の濃いものができあがったと思います。
“世代を引き継ぐ”というテーマも
久々に入れられましたしね。
- 岩田
- それも集大成のひとつですよね。
- 成広
- はい。それに前作に引き続き、
自身が参加する“マイユニット”もつくれます。
最初は男の子で遊んでいたんですが、
2回目を女の子にして遊んだら、
途中から「これ、絶対結婚させたらあかん・・・!」
って思いはじめて(笑)。 - 一同
- (爆笑)
- 岩田
- それは・・・娘さんへの愛情みたいな感じでしょうか?(笑)
- 成広
- そう。なんかねぇ・・・マイユニットというよりは
娘のような感じで接してしまって。 - コザキ
- 変な虫がつかないように?(笑)
- 成広
- そう(笑)。
「ちゃんとしたヤツじゃないと嫁にはやらん」ってね。 - 一同
- (爆笑)
- 成広
- こんなふうに集大成的なエッセンスを組み合わせたら
新しい感情が生まれて、すごく新鮮だったんです。
これだけ長く遊んでもまだまだ発見があるし、
ストーリー面でも本当にいろいろ網羅されていて、
すごく新鮮な感じで遊べました。 - 岩田
- やっぱり「集大成以上の“超集大成”ができた」
という感じがするんですね。 - 成広
- そうですね、期待以上というか。
心配していたことを乗り越えてくれたのかもしれません。 - 岩田
- 成広さん、ちょっと、嫉妬しちゃうくらいですか?
- 成広
- ははは、悔しいですけどね(笑)。
でもちょっと違う立場で見られたこともよかったと思います。
「まだまだ生み出せるものがあるな」と気づいたので、
これが違うものにつながればいいな、と思いました。 - 山上
- 僕もね、横田さんの横でずっと
「ジェラシーだ」って言っています。
横田さんが入ってくれなかったらこうはならなかったので、
うれしいんだけど、ジェラシーなんです(笑)。 - 成広
- いい意味で世代交代というか、
少しずつバトンを渡していけたんじゃないですかね。
それに、草木原やコザキさんとか、
いままでと違うフレッシュな視点に入ってもらえたことが
すごくよかったと思います。
いい勉強をさせてもらいました。 - 岩田
- はい、ありがとうございます。
今回の『エムブレム』は集大成をテーマにしている、
ということは知っていたんですが、
今日改めてお話を訊いてみたら・・・
この熱は、なんだ! - 一同
- (笑)
- 岩田
- 普通ではありえない密度でものができていき、
そこに手ごたえを感じて喜ぶ人たちの姿がありました。
もともとは集大成として、
いいとこ取りから生まれたものが、
みなさんの“熱”によって
想像以上のものに化けていった感じがします。
新たに加わったみなさんも、
その“熱”に巻き込まれるように力が出て、
まるでホームグラウンドで戦っている感じに
なってもらえたんじゃないかなと思います。
発売に向けて楽しみがひとつ増えました。
今日はどうもありがとうございました。
- 一同
- ありがとうございました!