『ルイージマンション2』
6. “ルイージの年”として
- 岩田
- では、最後の質問です。
『ルイージマンション2』にかかわったみなさんから、
お客さんへのメッセージを
ひとことずつお願いします。 - ブライアン
- わたしは前作のファンとして、
そして『ルイージマンション2』の制作者として、
任天堂とのコラボレーションで
成し遂げることができたこのプロジェクトを
たいへん誇りに思っています。
また、ファンのみなさんには、とても長い間、
辛抱強く待っていただきましたが、
これからはみなさんに楽しんでいただく番です。
わたしたちとしても、世界中のみなさんといっしょに、
マルチプレイで遊ぶことを楽しみにしています。
- チャド
- わたしからは、
「ルイージと遊ぶことを楽しんでください」
と言いたいです。もちろん、
「マリオのようなヒーローになって遊ぶことが楽しい」
という人たちもたくさんいると思いますけど、
じつはルイージというキャラクターは
自分にすごく近い存在なんです。 - 岩田
- そうそう、
みんなルイージに近いんですよね(笑)。 - チャド
- ですから感情移入しやすいと思いますし、
ルイージが感じる恐怖は、自分の恐怖にもなって、
それは『ルイージマンション2』だけでできる
不思議な体験になりますので、
ぜひ楽しんでいただきたいと思います。
- ブライス
- 今回、じつはいつも宮本さんから
「開発を楽しんでいますか?」と訊かれていました。
実際、開発の現場はすごくよい雰囲気でしたし、
自分たちもとても楽しみながら、
このゲームを開発することができました。
その雰囲気は、きっと製品版の中にも
たっぷり詰まっていますので、
「ぜひ味わってほしい」と思います。
そして、わたしたちがこのゲームに盛り込んだ
さまざまな細かいところも、
2月のニンテンドーダイレクトで、宮本さんが
オバキュームを背負って登場(※12)した時のように(笑)
「驚いてほしい」と思っています。
宮本さんがオバキュームを背負って登場=「Nintendo 3DS Direct Luigi special 2013.2.14」で放映された、宮本が掃除機を背負って登場したシーンのこと。
- 岩田
- では池端さん。
- 池端
- 開発に長い期間をかけてしまったんですけど、
そのぶん「ネタの密度は高くなった」と思います。
ですから「みなさんにはその密度を
楽しんでいただきたい」と思っています。
- 岩田
- 「ネタ密度が高くなった」のは、
「ダークライト」も貢献していますよね。 - 池端
- そうですね。
「ダークライト」は彼らからの提案なんです。 - 岩田
- そうなんですか。
ちなみに、「ダークライト」のアイデアは
どうやって生まれたんですか? - ブライス
- もともとのコンセプトは、
現実の世界と異世界・・・
つまり霊界のようなものが同じ部屋に共存する、
というところからはじまったんです。
それは、たとえば
『メトロイドプライム2 ダークエコーズ』(※13)や
『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』(※14)の
光と闇のような世界にも
共通するところもあると思うんですけど・・・。
『メトロイドプライム2 ダークエコーズ』=2005年5月に、ゲームキューブ用ソフトとして発売されたファーストパーソンシューティングゲーム。光と闇の世界を行き来しながらストーリーを進めていくゲームで、2009年6月には『Wiiであそぶセレクション』の1作として登場。
『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』=1991年11月に、スーパーファミコン用ソフトとして発売されたアクションアドベンチャーゲーム。トライフォースを求め、光と闇の世界を行き来しながら冒険をする。
- 岩田
- ああー、なるほど。
- ブライス
- ただ、そのような、
異なるふたつの世界というシステムは、
いまでは新鮮味がなくなっているということで、
今回は屋敷を探索していくなかで、
「ボタンを押すことによって、
あるはずなのに、ないものを見つける」
というアイテムとして
「
ダークライト」というものを考えました。
- 池端
- 今回のゲームは、クエスト制になっていて、
「個々の細かいミッションがたくさんある」
というつくりになっているんです。
そこで同じマップを使って、
違うクエストをプレイするんですけど、
同じところに何度も行くので、
「変化がないとやっぱりつまらなくなってしまう」
と思ったんです。 - 岩田
- 変化が出ましたね、
「ダークライト」の存在で。 - 池端
- そうなんです。
そのアイデアがあったおかげで、
クエストに厚みを出すことができました。
彼らにはすごく感謝しています。 - ブライス
- 自分たちとしても、もともと考えていた
「ふたつの世界を行き交う」という方法ではないのですが、
結果として「とてもいいアイデアが出せた」
と思っています。 - 池端
- あと、いままであまりお話ししていないんですけど、
いろいろなところを
のぞき込む機能が入っています。
壁にあいた穴や窓からのぞき込むと、
ある時はゲームを進めるためのヒントが得られたり、
オバケたちが遊んでいる姿が見られたり、
オバケの生態がわかるような演出も入っていますので、
ぜひ、いろいろのぞき込んでほしいです。
そこはけっこうこだわってつくりましたので。
- 岩田
- それが
パッケージデザインにも
表現されているんですね。
- 池端
- そうです。
ルイージが恐る恐るのぞき込むポーズを意識して、
パッケージをデザインしました。 - 岩田
- では最後に、宮本さん。
- 宮本
- 今回のタイトルは
『ルイージマンション2』ということで、
普通の続編のように見えるかもしれないんですけど、
オバケ屋敷とかオバキュームとかオヤ・マー博士とか、
前作のアセット(資産)はそのまま使いつつも、
じつはゲームの中身については、かなり大胆に・・・。 - 岩田
- 変えましたよね。
- 宮本
- はい。
謎解きをたっぷり楽しめるようになって、
自分が本当のオバケ屋敷にいるような感覚を
とても大事にしながらつくりましたし、
「それぞれのオバケを見るだけでも楽しい」
というふうにもできていると思います。
しかも、さっきのお話にあったように
現場のスタッフたちが楽しんでつくったので、
「遊べば遊ぶほど面白いものになった」
と思います。
- 岩田
- 宮本さんが、何度も
ネクストレベルゲームズの人たちに
「開発を楽しんでいますか?」と訊いたのは、
いろんな“カラクリ”を面白くするためには、
「何よりもまず、開発者が楽しんでつくらないと、
それがお客さんにうまく伝わらないから」
ということだったんですよね。 - 宮本
- そうですね。
楽しんでつくってもらえた結果、
今回は本当にステージが進むごとに、
密度が濃くなっていくんです。
「そんなゲームは珍しいな」と感じるくらい、
中盤を過ぎるとさらに面白くなっていきます。
だから、多少難しく感じるところもあるかもしれませんが、
コツコツと最後まで遊んで、
「『ルイージマンション』の世界をたっぷり味わってほしい」
そう思っています。 - 岩田
- みなさんが、迷走することもなく、
3年以上、楽しみながら走りきって、
それらを全部、詰め込んだものが、
この“濃い密度”というアウトプットになって
出てきているんでしょうね。 - 宮本
- あと、最後にもうひとつ言いたいことが。
12年前に発売された『ルイージマンション』を
「もう1回つくってほしい」とか
「つくりましょうよ」と言ってくれた人たちが
世界中にたくさんいてくれて、
そのようなみなさんのおかげで
『ルイージマンション』の新作を
ようやく世に出すことができます。
しかも今年は“ルイージの年”として
お祭りをしてくれるということで・・・
(深々と頭を下げながら)
ルイージに代わりまして、感謝いたします! - 一同
- (笑)
- 岩田
- “ルイージの年”として、
「すばらしいスタートダッシュが切れるんじゃないか」と、
わたしも大いに期待しています。 - ブライス
- だから帽子を持ってきました!
(再びルイージの帽子をかぶり
3人そろってうれしそうにガッツポーズ) - 岩田
- あははは(笑)。
楽しみながらつくったことが、
モニターの向こうからも伝わってきますね。
今日はどうもありがとうございました。
- 一同
- ありがとうございました。