『新・光神話 パルテナの鏡』
7. たくさんの「ARおドールカード」
- 岩田
- AR(※16)カードの話も訊いていいですか?
AR=Augmented Reality(拡張現実)の略。現実の映像に仮想の情報を重ね合わせる技術。
- 桜井
- はい。今作ではフィギュアのことを
「おドール」と呼んでいますので、
「ARおドールカード」という名称なのですが、
ソフトにはランダムに6枚、同梱されます。
ただ、けっこう種類が多いので、
食玩やイベントでの配布や雑誌の付録など
なるべくいろんなところで
手に入れられるようにしています。
- 岩田
- 全部で何種類あるんですか?
- 桜井
- ×××種類以上です。
この数は、あえて伏せておきたいのですが。 - 岩田
- わかりました。
それにしても、かなりの数ですね。
そもそも最初はどういうキッカケで
ARを使おうと思ったんですか?
ARがなくても、
このゲームには十分なボリュームと内容が詰まっていて、
「そこまでしなくても・・・」と思う人が
いるような気がするんです。 - 桜井
- 『スマブラ』をつくったときに、
3Dのキャラクターを見て楽しむことができる
「フィギュア」という仕組みがありましたけど、
今回も、同じようなことを制作していました。 - 岩田
- それが「おドール」なんですね。
- 桜井
- それとは別に、今回は、ニンテンドー3DSの性能を
すべて引き出したいと考えていたところで、
ARの仕組みを知りました。そこで、
「ARをこのソフトに適用できないだろうか」
ということを、一瞬、考えたんですね。 - 岩田
- 一瞬、ですか?
- 桜井
- あ、一瞬というのも何ですけど、本当に一瞬でした。
単純に「おドール」とARカードを組み合わせたら、
いろいろなことができるのではないかと思いまして。
ところが、正しく認識させるには
技術的なハードルがありまして・・・。 - 岩田
- ×××種類以上のカードがあるわけですからね。
- 桜井
- ええ。
- 岩田
- ニンテンドー3DS本体に同梱しているARカードの技術は、
たくさんの種類を認識させるのは、
あんまり得意じゃないんです。
カードの種類を多くすることに優先を置いていませんから。 - 桜井
- 同じ技術を使ってこれだけ多くのカードを
認識させることはできませんね。
それぞれのキャラクターの絵柄も
ちゃんと載せたいところですし。
そこでカードの画面を縦横16分割くらいの解像度で認識して、
絵柄の部分はしっかり把握しつつ、
カラービットを読んで情報を補足するという方法を採用しました。
- 岩田
- カードの左下にある模様が
カラービットなんですね。 - 桜井
- はい。そこは技術スタッフが、
すごくがんばってくれました。
ただ、ARカードをニンテンドー3DSのカメラで写して、
それで立体のキャラクターを見られるだけでは物足りません。
そこで、何か新しいことはできないかと考えて、
カード同士でバトルができるようにしました。 - 岩田
- バトル、というのは
具体的にどんなことができるんですか? - 桜井
- 簡単に説明しますと、
カードには向きがあります。 - 岩田
- カードの下のほうに矢印がついてますよね。
- 桜井
- はい。2枚のARカードを用意して、
その矢印を向けあうと、
画面の下のほうに攻撃力とかスピード、
あるいは耐久力などのパラメーターが表示されます。
そのときボタンを押すと“がんがんがん!”と戦いはじめて、
勝ち負けが決まるようになっています。
- 岩田
- ジャンケンのように勝敗が決まるんですね。
同じカードで戦った場合はどうなんですか? - 桜井
- 「あいこ」になります。
素早いやつは短時間で何度も攻撃してくるけど、
その代わり耐久力が低かったりとか、
攻撃力が低いなど、個性があります。
また、三すくみのような要素も入れていて、
剣・盾・魔法というのがあるんです。
盾は剣に強くて、魔法に弱い、
という感じですが、必ずしも三すくみで
勝敗が決まるわけではない調整になっています。
- 岩田
- ですから友だちとカードを持ち寄って、
好きなように遊んでください、
ということなんですね。
- 桜井
- そうです。
そもそもカードゲームというのは、
複雑な遊びにしようとすれば
いくらでもできるんですが、
今回はあまりややこしいルールは設定せず、
簡単に遊べることを前提にしました。
その分ルールのアレンジはしやすいです。
たとえば友だちと2人で向き合って、
手元に5枚のカードを用意して、
「せーの」で出し合って遊ぶとか。 - 岩田
- それで何勝何敗で競いあったりとか、
勝ち抜き戦をしたりして遊ぶんですね。 - 桜井
- そうですね。
どのおドールが、どのおドールに強いというのは、
最初から決まっていますので、
ニンテンドー3DS同士の通信はせずに
2人で向かい合って見ることもできます。 - 岩田
- 友だちと対戦してもいいですし、
1人のときは3DSのカメラで写して、
立体のおドールを見て楽しむのもいい、
ということなんですね。 - 桜井
- はい。