『リズムハンター ハーモナイト』
4. おなじみの曲も
- 岩田
- 今回はゲームフリークさんのソフトということもあって、
『ポケモン』のステージも入っているそうですね。
- 増田
- はい。
- 岩田
- ただ、このファンタジーの世界に、
『ポケモン』の曲を足すということに関しては、
多少なりとも議論があっても不思議ではないんですが、
実際はどうだったんですか? - 大森
- やっぱりすごく悩みました。
- 増田
- 僕のところにも相談しに来ましたから。
「どう思いますか?」って(笑)。 - 岩田
- ですよね(笑)。
- 大森
- ジェイムスともたっぷり議論をしました。
このファンタジーの世界に、
しかも通常のストーリーがあるなかで、
いきなり『ポケモン』の音楽が出てくると、
不自然に感じる人も少なくないでしょうし・・・。
そこで試しにひとつの曲を入れてみたら、
それがすごく面白かったんです。 - ジェイムス
- そうそう、面白かったね。
だから、無理やり理屈を考えて、
そこに落とし込むことも考えたんですが、
さっきお話した、ステージセレクトができたことで、
『ポケモン』のワールドは、
そこで選べるようにすればいい、
ということになりました。 - 岩田
- つまり「ボーナストラックのように考えよう」
ということですね。 - ジェイムス
- そうです。
ストーリーモードをひととおり遊べば、
ステージセレクトで、おまけのように
楽しむことができるようにしました。 - 増田
- やっぱり『ポケモン』の曲で遊べると、
うれしい人も多いでしょうし。 - 大森
- それに、よく知っている曲なので、
また違う面白さがあったんです。 - 岩田
- とくにゲームで遊びこんだBGMは、
身体に染みこんでいますからね。 - 増田
- それはやっぱり、
しつこいくらい繰り返し流れますから(笑)。 - 岩田
- だから、一般的に流行している音楽ではありえないくらい、
本当に何度も何度も聴いて、身体に染みこんでいるんですよね(笑)。
そのように『ポケモン』の曲を採用することで、
いわば「身体に染みこんだリズムを違う感じで活かせる」
という強みにもなるでしょうし。 - 大森
- なので、「この曲はここでキメが来るよな」
というタイミングで敵を置くようにしたんです。
すると、はじめてのステージでも、
すでに1回遊んだことのある感じで
遊ぶことができるんです。 - 増田
- それにさっき話に出た、
シンバルとかの音を足せるので、
また違った印象になるのが楽しいんです。 - 岩田
- 音が豊かになる感じも、
気持ちよさに直結するんですね。 - 増田
- そうですね。
- 大森
- あと、ゲームに合わせて、
少しアレンジをしていますので
そこも楽しんでもらえるとうれしいです。 - 岩田
- はい。それでは、それぞれみなさんから、
お客さんへのオススメの言葉をいただきましょうか。 - ジェイムス
- まずは、体験版(※6)を遊んでいただいて(笑)。
体験版=『リズムハンター ハーモナイト』体験版は、ニンテンドーeショップにて配信中。なお、体験版は予告なく終了になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
- 岩田
- 体験版を触ると、このゲームの個性がすぐにわかるんですよね。
- ジェイムス
- はい。通常の横スクロールのステージは、
集中してリズムに乗ると、
すごく気持ちいい感じで楽しめると思います。
でも、ボスバトルはすごくスリリングで、
けっこうワクワクするんです。
僕はダイナミックなシーンが好きなんですけど、
その意味でも、ボスステージは
とても楽しいんじゃないかと思っています。
- 大森
- ストーリーも楽しめますよね。
- ジェイムス
- そう。このゲームで大事にしているのは、
わかりやすさなんですけど、
この冒険の世界に入りやすくするためにも、
「なるべく絵だけで伝えたい」と思って、
面白いムービーもときどき入るようにしました。 - 岩田
- どんなストーリーなんですか?
- ジェイムス
- この世界は「ハーモニア」と呼ばれていて、
敵は“不協和音”なので、自分のことしか考えていない
けっこうわがままな連中なんです。
それで主人公が仲間といっしょに
3人で力を合わせてハーモニーの世界を・・・。 - 岩田
- 世界に調和をもたらすんですね。
- ジェイムス
- はい。簡単に言うと
そういうストーリーになっています。 - 岩田
- 大森さんのオススメは?
- 大森
- このゲームはけっこう
ゲームの腕に自信のある人でも
それほど自信のない人でも、どなたにとっても
面白いものになったんじゃないかと思っています。 - 岩田
- 誰にでも遊べるけれども、
だからといって、ゲームが好きな人にとって
遊び甲斐のないものにはなっていないんですね。 - 大森
- はい。ちょっとマニアックな話をしますけど、
60分の1秒のリズムアクションに
すごくこだわってつくりましたし、
スピードモードであったりとか、
隠しステージみたいなものとか、
いくつもありますので・・・。
- 岩田
- だから、自分で濃密クリアをめざすと、
すごくハードルが高くなるんですね。 - 大森
- そうです。
しかも、どのくらいのスコアでクリアしたのか
評価する仕組みも入っていますので、
腕に自信のある方にも手にとってもらえたらうれしいです。
とくにスピードモードがやっぱりオススメです。 - 岩田
- 増田さんは?
- 増田
- 僕からは、ボタンを押したい人は、
ぜひプレイしていただきたいと(笑)。 - 岩田
- ゲームをやるときは、
たいていボタンを押しますけど。 - 一同
- (笑)
- 増田
- いえ、最近は(画面をこする仕草をしながら)
これが多いですから。 - 岩田
- あ、はいはい(笑)。
- 増田
- そう言いたくなるくらい、このゲームでは、
映像とリンクしたときの気持ちよさが
ボタンを押すという一点に集中されているんです。 - 岩田
- 60分の1秒の単位で
ボタンを押すというのは、
物理的なボタンあってこその遊びですからね。 - 増田
- そうですね。
だから、すごく気持ちのいいことが
体験できるゲームになったと思いますし、
それに、ゲームフリークのこだわりとして
『ポケモン』もそうなんですけど、
「わかりやすいゲームを」ということで
今回もつくっていますので、
多くの人に遊んでほしいと思っています。
- 岩田
- ところで増田さん、
今回新しい体制でソフトをつくってみて、
どう思いましたか? - 増田
- 手応えはもちろんあります。
やっぱり、実際につくることで、
ちょっと昔の開発スタイルのよさを
今回、改めて感じることができましたし。 - 岩田
- まあ、強いて言えば、
初代の『ポケモン』も、このようにして
生まれたところもあるわけですからね。 - 増田
- そうですね。
最後までつくったのは、9人くらいでしたから。 - 岩田
- いまでは考えにくいことですが(笑)。
- 増田
- ええ(笑)。
- 岩田
- 『ポケモン』のように、たくさんのお客さんが
次を待ってくれているシリーズを
どのように面白くつくるか、ということも
もちろん大事なことなんですけど、
その一方で、新しいものをつくることも
また大事なことなんですよね。 - 増田
- そう思います。
- 岩田
- ただ、お客さんからすると、
新しいものがどんなものかわからないのに、
いきなり提示されても、戸惑う方も多いと思うんです。
今回、従来のダウンロード専用ソフトと
店頭で販売されるパッケージソフトの中間的な位置づけで、
新しいチャレンジとしてご提案しているつもりなんですが、
その意味で、まず体験版があって、
もし自分に合っていると思ったら、
ダウンロードで買っていただけるわけですし、
こういった新しい仕組みがあると、
新しいチャレンジもやりやすくなりますよね。 - 増田
- そうですね。ぜひまた新しいことに
チャレンジしてみたいと思います。 - 岩田
- 今日はみなさん、ありがとうございました。
- 一同
- ありがとうございました。