『スーパーマリオ 3Dランド』
開発スタッフ 篇
7. 幅跳びができれば上級者
- 岩田
- 終盤、宮本さんには何か言われましたか?
さっきの「おすすめビュー」と「ディープビュー」は、
そのひとつだったと思いますが・・・。 - 元倉
- そうですね。
今回は、プレイヤーの調整が、
かなり細かかったですね。 - 林田
- ジャンプの話、ありましたね。
「止まってジャンプ」と「走ってジャンプ」。
- 元倉
- 3Dマリオは止まった状態でジャンプする高さと、
助走をつけてジャンプする高さが、
それまではいっしょだったんです。
でも今回は、
「助走をつけたほうが、高く跳べる仕様にしよう」
と宮本さんから言われたんです。
そんなときに昔の攻略本を見ていたら、
そのようなことがすでに書いてあったんです。 - 一同
- (笑)
- 元倉
- ただ、話の流れからしても、
宮本さんも忘れていたみたいで・・・。 - 林田
- でも、実際にプレイしてみるとおかしいから、
「こういうのがマリオなんじゃないか?」
と指摘するんですね。
で、実際に比較してみると、
「ああ、こっちもそうなってた」ということになるんです。
それが感覚としてわかるのが驚きですよね。 - 元倉
- あと、前転と幅跳びの話がありました。
- 林田
- ああ、前転と幅跳びね。
- 元倉
- 前転というアクションは、
この前のカンファレンスのインタビュー映像で、
宮本さんが「クリアするのに必要のないアクション技がある」
って言ったものに含まれると思います。
当初は走りながらしゃがむと、
コロンと転がるというアクションだったんです。
その操作方法が、感覚的におかしい、と。
しゃがむと回るというのが、
感覚的じゃない、という話をしていました。 - 岩田
- 宮本さんは、身体感覚に合わないことに対して、
すごくきびしいんですよね。
「立ってジャンプしたときと、
助走して跳んだときと到達距離が違うはずだ」っていうのも、
身体感覚からきているんです。 - 元倉
- ですので、走りながらしゃがんだときに前転するのをやめて、
別の操作法で前転する仕組みを入れました。
また、最初は「リセット」ということもあったので、
幅跳びを入れることは考えていなかったんですけれど、
宮本さんから「幅跳びを入れよう」とも言われていましたので、
3Dマリオでは馴染みのある幅跳びも入れました。
実際に遊んでみると、
「前転」と「幅跳び」っていうのが使い分けられて、
いい感じにプレイに幅が出てきたんですね。
一見使えなさそうなんですけれども、
どんどんやり込んで、タイムアタックで使ってみると、
タヌキマリオよりも速く進める場所があるんです。 - 岩田
- スタンダードなプレイヤーでも、
「極めたらこんなことが!」という驚きがありますね。 - 元倉
- ええ。いろいろな変身があるけれど、
スタンダードなプレイヤーが速い、
とても遊び応えのある感じになったと思います。 - 林田
- 幅跳びは3Dマリオの歴史上、
最上級アクションの位置づけなんです。
「幅跳びができれば、あなたは3Dマリオ上級者です」みたいな。
そのことはきちんとキープできるようにつくりました。 - 岩田
- カベキックが何段もできて、
幅跳びができるようになると、
あなたの体術も一人前です・・・ということですね。 - 林田
- はい。幅跳びは幅跳びとしてきちんとつくりましたし、
今回はさらに、
前転なり、前転幅跳びなりを、
幅跳びを超えた上級アクションとして用意してます。
- 元倉
- 宮本さんは、アクションが上手な人が、
どんどんステージ上のネタを飛ばしていける、
そういう仕様は「マリオとしていいんだ」と。
そう話されていました。
- 岩田
- 幅跳びや前転を入れることで、
3Dマリオからのお客さんでも楽しめる部分を
きちんと入れることができたというわけですね。