『マリオ&ルイージRPG4 ドリームアドベンチャー』
4. “心に残る体験量”を
- 岩田
- 3DSでつくりはじめて苦労したことと、
達成感を感じたことはなんですか? - 窪田
- まず苦労ですけど、最初の壁は背景の立体視でした。
いままで、2Dの平面ならごまかして物を配置できましたが、
立体視だと、ごまかしが利かないんですよ。 - 岩田
- ウソをつけないんですよね。
いままではごまかすテクニックが
普通に使えていたのに、立体視になると
全部禁止になってしまう。 - 窪田
- そうなんです。
達成感のほうは、今作では3DSの機能をふんだんに使いましたし、
非常にいいところに落ち着いたかなと思います。 - 大谷
- とくに「ブラザーアタック」では、
ジャイロ(※9)機能をいっぱい使いましたよね。
ジャイロ=ジャイロセンサー。ニンテンドー3DS本体に内蔵されている、角度や回転速度を検出できるセンサーのこと。
- 岩田
- ああ、今回のバトル中の攻撃で
お気に入りをひとりずつ訊いてみたいです。
じゃあ、前川さんから。 - 前川
- 僕は夢世界の「
ミラクルジャンプ」です。
理由は、僕が考えたからです(笑)。
- 岩田
- はい(笑)。どんな攻撃なんですか?
- 前川
- たくさんのルイージをうまく積み上げていけば、
それで敵を踏みつけたときに
大ダメージを与えることができるんです。 - 窪田
- わたしは、先ほど話に出ましたが
夢世界の「ミラクルボール」です。
大量のユメルイージがボール状になって転がる技で、
ジャイロ機能を使ってボールを転がすので、
3DSらしいアタックになったと思います。
全体攻撃で一気に敵を倒せるので、
後半になっても活用できる便利な技なんですよ。 - 大谷
- 僕は現実世界の「
スピードボム」です。
ルイージが爆弾を投げてくるのを
マリオがタイミングよく連打するアタックです。
カンカンカンって打つのがすごく気持ちいいんですよ。
じつはやり込み要素のひとつ「スゴワザコンテスト」という
ミニゲームに入っているんですけど、
ずーっと遊んでいられます(笑)。
- 佐野
- わたしは現実世界の「
フラコプター」です。
ジャイロ機能を使って、
どんどん奥へ飛んでいく気持ちよさがあります。
最初、マリオとルイージをつなげてプロペラに
つかまらせるんですけど、これが絶妙に難しくて、
最後も爽快感があってとっても好きです。
- 大谷
- あとジャイロ機能を使ったものでもうひとつ、
巨大化したルイージの「
ブラザーフィニッシュ」
なんかもオススメです。
けっこうダイナミックな攻撃で、
最後、ルイージは宇宙まで飛んでいきます(笑)。
- 岩田
- ついにルイージは宇宙まで飛んでいくんですか。
「ルイージの年」だからとはいえ、
夢であることをいいことに、なんでもしますね(笑)。 - 窪田
- 本当にそうです(笑)。
- 岩田
- それにしても昔は、
「ゲームはテレビの前で座って遊ぶもの」でしたけど、
いまは携帯機でどこでも遊べることに
何の疑問も感じない時代になりましたね。
それだけ世の中とゲームのつきあいかたが
変わってきているということでしょうか。
- 大谷
- そうですね。
携帯機といってもたっぷり遊べますからね。
じつは今回、過去シリーズにくらべて、
ボリュームもたくさん用意されています。
『3』で「もっと遊びたい」という声を聞いていたので、
「次は絶対にボリュームを増やそう」と思っていたんです。
もちろんただ長いのではなく、
いろんなやり込み要素が追加されています。 - 岩田
- 「密度をともなったボリュームにできた」
という手ごたえなんですね。 - 大谷
- はい。たとえばバトルで
「エキスパートチャレンジ」というモードがあります。
ノーダメージでクリアするなど、
特定の条件を満たすとポイントがついて、
それを貯めるとすてきなご褒美がもらえるんです。 - 岩田
- なるほど。
ボリュームという点で、
アルファドリームさんのおふたりはどういう印象ですか? - 前川
- 僕も前作で「もっと遊びたい」
という声を聞いていましたので、
『4』では意識的にバトルから派生した遊びや
機能をたくさん追加していきました。
また、単純に3Dにしたことでマップが広がり、
思惑以上にたっぷり楽しめるステージになった、
といった副産物もあります。
- 窪田
- 僕はボリュームというよりテンポ感をかなり意識しました。
とくに記憶に残っているのは序盤で、
オープニングから最初の数分間のテンポがよくなるよう、
何度も何度も修正を重ねたんです。
結果的に、面白い部分を短くきちんと見せるオープニングが
できたことで、全体のテンポをつかめたと思います。
- 岩田
- 佐野さんはボリュームを意識していました?
- 佐野
- そうですね。
じつは最初に上がってきた時は、
マップが広がったことで敵が少ない印象を受けて、
その結果、手ごたえがうすくなってしまったんです。
だから単純に物量というよりも、
心に残るポイントをどんどん追加してもらいました。
- 岩田
- 多分、“心に残る体験量”がボリュームなんですよね。
自分の心に残るような密度の濃い体験を
どれだけのテンポで味わわせてくれるかなんです。 - 大谷
- はい。わたしたち自身もテストプレイしていて
「気がついたらこんなに時間が経っていた!」
ってびっくりするほど、いい感触になったと思います。
- 岩田
- 3周も4周も飽きずに調整をつづけることができたということは、
やっぱりプレイしていて楽しかったんでしょうね。 - 大谷
- そうですね(笑)。
「こうしたほうが面白くなる」って、
スタッフと感想を言いあうのも楽しかったんです。
(窪田さん・前川さんに)調整うまくできたと思います? - 窪田
- できたと思いますよ。
- 岩田
- 「まだやるのか!」と思いませんでしたか?(笑)
- 前川
- いえいえ(笑)。
バトル担当のスタッフが「なんとかしてやる!」
って心構えで、黙々と粘り強くやってくれました。 - 岩田
- お話をうかがっていると、
本当にアルファドリームさんは“職人集団”ですね。 - 前川
- えっ。はい・・・(苦笑)。
- 岩田
- もちろん褒めているんですよ?
- 大谷
- 確かに“職人集団”という意味では、
説得するのには、
ひじょうに骨が折れましたねぇ(笑)。 - 岩田
- ちゃんとスジが通っていないと、
職人集団は生半可なことで
言うことは聞いてくれないですからね。 - 一同
- (笑)