『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇
第12回:『鉄拳3D プライムエディション』
5. 『鉄拳』のエネルギー
- 岩田
- 据置機で対戦するのと比べて、
3DSで対戦するというのはどんな感じですか? - 池田
- ローカルで遊ぶと対戦相手の表情が見られたり、
下画面に登録した技を話したりしながら遊べるのが楽しいんです。
あと、この本体だけで世界の人と手軽に
インターネット対戦ができるのも魅力だと思います。
“もっとも気楽に遊べる『鉄拳』”をコンセプトにおいて、
ゲームも映画も最高品質のものを提供しました。
『鉄拳3D プライムエディション』の
“プライム”っていう単語がかかってきていますから。 - 岩田
- “プライム”は品質にもかかっているんですね。
- 池田
- そうです。
「最高品質のものを提供したい」
という意味を込めました。 - 原田
- あと、僕は携帯ゲームって、
移動中や、ちょっとした暇つぶしに
遊ぶものだと思っていたんですが、
じつは家でわざわざゲームのための時間をつくって、
ベッドの上などで寝ころんでやる人も多いんですよね。 - 岩田
- けっこう家の中で遊ばれているんです。
据置機は大きいテレビが家族共用で、
長い時間占有できませんけど、
携帯機なら自分のペースでできるから遊びやすいとか、
いろんな理由があって、
家の中で遊んでいただいている時間も長いんです。
わたしも最近寝る前によく『マリオカート7』を立ち上げて、
インターネット対戦に行って、見知らぬ世界の誰かと
何レースか遊んでから寝ています。 - 原田
- そうなんですね。
今回は3DSでインターネット対戦もできるし、
ローカル通信もみんなでより寄り添って遊べるし、
これほど自由な体勢でできる『鉄拳』は
いままでほとんどないんじゃないかと思います。 - 岩田
- 遊ぶシチュエーションを増やしていった結果、
手にとって遊んでいただける人も増えますし、
いろんな可能性が広がりましたね。
- 池田
- はい。映画が魅力的だと感じてもらったら、
そこから入ってもらえたらいいと思います。
いろんな可能性がつめ込まれた作品に
できあがったんじゃないかと思います。 - 岩田
- 一粒で二度おいしい、ということですね。
- 原田
- はい。今回はいろんなコンボ登録や、
技登録機能がついているので、
自分よりランクがはるかに上の人とでも
思考の勝負ができます。 - 岩田
- 指の器用さでは勝てない人とでも、
読み合いでは勝てるかもしれない。
だから、よく知っているけれども下手な方が
俄然強くなるかもしれないわけですね。 - 原田
- そのとおりです。
- 岩田
- では最後に、
お客さんへのメッセージをお願いします。
池田さんからお願いできますか? - 池田
- はい。『鉄拳』をいままで遊んでいただいていた方も、
これから新たに手に取っていただく方も、
格闘ゲームって敷居が高いなという感じがしている方も、
ちょっと触ってみてください。
タッチボタンで空中コンボを体験して気持ちよくなったり、
気軽にインターネット対戦やローカル対戦をしてもらって、
人とつながる楽しさや、
画面の先でどんな人と対戦しているんだろうという
ワクワク感を味わってもらいたいと思います。
あと映画も楽しんでもらって、
より『鉄拳』を好きになってもらいたいと思うので、
ぜひ一度手に取ってもらえるとうれしいです。
- 岩田
- 最後に、原田さん。
- 原田
- とにかく長編の映画というのも、
キャラクターが40体というのも、
これほどボリュームがある『鉄拳』はなかなかありません。
秒間60フレームも確認しつつ、
操作にまで介入したシステムになっていて、
確実に『鉄拳』としてつくってあります。
ぜひこれを1本持って、話題として広めていただきたいですし、
そういうアイテムになってほしいと思っています。
『鉄拳』のコアファンの方はもちろん、
はじめて手に取る方も楽しめるように、
かなり意識したつくりになっています。
- 岩田
- 『鉄拳』ファンの方に満足してもらうのはもちろん、
昔遊んで知っていたけど、最近は縁が遠いとか、
名前は聞いたことがあるけど、
遊んだことはないような人にとっても、
決定版たり得るものになっている、ということですね。
小さいころ、対戦格闘ゲームというものに出会って、
人生が大きく変わって、
その面白さを伝えることに
とてつもなく熱い思いをかけたふたりが
いま、ここにいます。しかもつくり手として
ここにたどりつくまでの道のり自体が
おふたりとも普通にたどりついたものではなく、
こじ開けて入ってきたようなところがある。
『鉄拳』の持つエネルギーは
こういう方たちの情熱から生まれたんだ、
ということを今回知ることができて、
わたしはそこがいちばん興味深かったです。
今日はありがとうございました。
- 一同
- ありがとうございました。
- 岩田
- ・・・ところで。
原田さんの目の前に
いつの間にかカツ丼が置いてありますけど、
これはなんですか?(笑)
- 原田
- ・・・緊張しないように置いているんです。
- 一同
- (笑)
- 原田
- いや、本当です!
こう見えて緊張しているんです!
じつは僕、『バルーンファイト』(※20)が大好きですし。 - 岩田
- あ、そうなんですか・・・!
『バルーンファイト』=1985年1月にファミコン用ソフトとして発売されたアクションゲーム。岩田がプログラムを担当した。
- 原田
- あれは僕の中では対戦ゲームなんです。
- 岩田
- そうですね、ある部分、持っていますよね。
- 原田
- そのなかの「トリップモード」(※21)も大好きなんです。
「トリップモード」=「バルーントリップモード」。『バルーンファイト』のモードのひとつで、画面右から左に向かって障害物の雷を避けながら延々と風船を割り、ハイスコアを目指す耐久レース。
- 岩田
- 「トリップモード」は最後の3日でできたんです(笑)。
- 原田
- そうなんですか!(笑)
- 原田
- あの「トリップモード」で流れる音楽は
いまだにフルで歌えます。 - 岩田
- ありがとうございます。
- 原田
- そしてこのカツ丼は、
今後も『鉄拳3D プライムエディション』の取材のときには必ず
アイコンのひとつとして置こうと思って持ってきました。 - 岩田
- なるほど(笑)。
まぁ、話題になることは多いほどいいですよね。
食品サンプルは日本が世界に誇る技術ですし(笑)。 - 池田
- 原田さん、昨日わざわざ半休とって
買いにいってました(笑)。 - 岩田
- そうなんですね(笑)。
- 原田
- サンプルにもいくつか種類がありまして、
この三つ葉がのっているかどうかがポイントなんです。
これがのっていないサンプルがほとんどなんですけど、
僕はどうしても三つ葉がのっているのがほしくて。
だって三つ葉がのっていないと、
絵的に映えないじゃないですか。
ちなみに器もいっしょに売っているわけではないので、
別のお店に行きまして、
「これに合うやつください、
取調室のカツ丼みたいな器を」って探してまわりました。 - 岩田
- あ、別売りなんですか?
- 原田
- はい。カツ丼部分は、6,860円です。
- 一同
- 高っ!!
- 原田
- 「対談中に突如、
カツ丼を岩田さんの前に置いたら怒られるんじゃないだろうか?」と
緊張のピークで出したんですが・・・いやあ、怒られなくてよかった!
今日は本当にありがとうございました! - 一同
- (爆笑)