『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇
第23回:『レイトン教授VS逆転裁判』
5. 「本物」
- 岩田
- おふたりそれぞれにお訊きしたいんですが、
『レイトン教授』と『逆転裁判』それぞれのファンの方、
そしてじつはどちらも遊んだことがない方に、
この『レイトン教授VS逆転裁判』を
オススメするメッセージをいただけますか? - 巧
- まず『レイトン教授』ファンのみなさんには、
『レイトン教授』シリーズの新作としても、
安心して遊んでいただける内容です。
そこに『逆転裁判』のキャラクターが
おじゃますることで、
ちょっといままで見たことのない
レイトンさんのお茶目ではじけた、
新しい一面が見られると思います。
- 岩田
- 「エルシャール・レイトン、はじけるの巻」ですか?
ちょっと想像がつかないですね(笑)。 - 巧
- はい、あのレイトンさんがあんな扱いを受けるのは
今回がはじめてだと思います。 - 岩田
- 巧さんがそう扱ったんですよね(笑)。
- 一同
- (笑)
- 巧
- 「どこまでやっていいのかな」というのを
日野さんにぶつけて、探りつつだったんですが。
僕の中ではもう、
レイトンさんはお茶目な人にしか見えないんです。 - 日野
- 「いいんじゃないかな」と、思いました(笑)。
- 岩田
- それが、「巧さんのクリエイティブを活かす」
ってことですからね。 - 巧
- 『逆転裁判』のファンの方に向けては、
なんと言っても、じつに8年ぶりの
なるほどくんと真宵ちゃん(※17)です。
ふたりが当時そのままの調子で、帰ってきました。
なつかしいけど新しい、おなじみのかけあいを、
たっぷり味わっていただければと思います。
真宵ちゃん=綾里真宵。霊媒師の卵で成歩堂の助手として行動をともにする。
- 岩田
- ファンのみなさんは、全員きっと
「待ってました!」という思いでしょうね。 - 巧
- そのお楽しみに加えて“魔女裁判”という、
これまでのシリーズの常識や科学調査が通用しない、
魔法が現実に存在する世界で、
新しいロジックを組み立てることになります。
そこは「まったく新しい感覚が生まれたんじゃないか」と思います。
ほかにも“群衆尋問”という
一度に複数の証人を相手にする裁判など、
新しい要素にも注目していただきたいです。 - 岩田
- どちらもやったことのない方にはどうですか?
- 巧
- それはもう、ひとことに尽きます。
自分で言うのもアレですが、
『レイトン教授』と『逆転裁判』という
任天堂の携帯ゲーム機で遊べる
2大巨頭がひとつになっているわけで、
「これを遊ばない手はないですよ」と。 - 岩田
- まさに、両方の魅力がわかるし、楽しめるソフトですね。
- 巧
- まずは手に取って遊んでいただいて、
気に入っていただけたら、
今度はそれぞれのシリーズも遊んでもらえると、
開発者としては、この上ない喜びですね。 - 岩田
- はい。日野さんはどうですか?
- 日野
- もう本当に巧さんが言われたとおりで。
『レイトン教授』のファンの方に向けては、
本当にこまかいところまでていねいに、
『レイトン教授』ならではのいろんな楽しさを
詰め込んだ自信があります。
- 岩田
- 『レイトン教授』のシリーズ最新作として、
遊んでいただけるということですよね。 - 日野
- そうですね。
むしろ本編シリーズで
見られないような世界観であったり、
巧さんの新たなテイストが加わることで、
より豪華に進化したものになっています。 - 岩田
- 『逆転裁判』のファンに向けては?
- 日野
- もう「本物です!」と、言いたいです。
カプコンさんには申しわけないですけれど、
僕がいちファンとして見ても、
「ほかの『逆転』シリーズよりも『逆転』らしい、
まぎれもないシリーズ最新作」だと思います。 - 岩田
- おお~、「本物」ですか(笑)。
- 日野
- 本当に、そこまで言っていいくらいの
ものになった手ごたえがあるんです。
巧さんがここまで入りこんでつくった、
「本物」の『逆転裁判』ですから、
期待してもらえると、うれしいです。 - 岩田
- わかりました。
最後に、両方遊んだことのない方へはどうですか? - 日野
- まず両方遊んだことがない方がいるとしたら
それはちょっと悲しいですけれど・・・。 - 岩田
- いままでちょっとでも興味があったけれど、
遊ぶ機会がなかった人が手に取るものとしては
最高のものだって感じはしますよね。 - 日野
- そうですね。
けっして、それぞれの外伝ではないんです。
「ふたつの作品を融合して劇場版に」という
イメージでずっとつくってきたので、
むしろ本編をしのぐ、
ボリュームとクオリティーを保証します。
そういう意味ではまだ3DSを持ってない人も含めて、
「買ってもらうしかない」と思っています。
マスト・バイですね(笑)。 - 岩田
- 今回のコラボレーションでは、
やはりふたつのタイトルの組み合わせの
インパクトが大きいので、
話題性ばかりが先行しやすいんですけど、
それだけでなく、中身もていねいに
「両タイトルの良いところを活かしつつ、
よりレベルアップして
新たな魅力が発揮されました」
ということなんですよね。 - 日野
- はい。あと、最後までプレイして、
エンディングテーマをぜひ聴いてほしいですね。
今回、ふたつのタイトルの曲のイメージをひとつにした
交響曲のような楽曲になっているんですよ。 - 岩田
- それこそある意味、
このプロジェクトを象徴する存在ですね。
でもこうやって今日、
並んだおふたりからお話を訊いていると
本当に「やってよかった」ですよね。 - 日野
- そうですね。一緒につくることで
カプコンさんのものづくりのノウハウを
勉強させていただきましたし、
巧さんのクリエイティブの魅力をじかに感じられて、
自分もクリエーターとして
とてもいい刺激を受けました。 - 岩田
- 共感したり、勉強になったり、
ちょっとくやしくなったり、いろいろですよね。 - 日野
- 開発もまさにタイトルどおり、「VS」でした(笑)。
でも純粋に巧さんとひとつのプロジェクトを
つくりあげることができたことが、
今回得た「何よりもすばらしいことだ」と
強く感じています。 - 岩田
- 巧さんはどうですか?
- 巧
- 今回、僕がいちばん勉強になったのは、
自分の仕事の中に
別の会社の方が入ってきたことで、
自分がやってきたことを
客観的に見直せたことですね。
それともちろん、
日野さんの企画の考えかたやクリエイティブの発想からも
ものすごく刺激を受けました。 - 岩田
- わたしも、日野さんのお話を訊いていると、
内発的なクリエイティブの動機と
「市場から何を求められているのか?」を
考えている部分がつながっていく過程が
すごくおもしろいんですね。
“売れそうなもの”をつくるだけでは、
人の心が動くはずがないんです。
そこに内発的な「つくりたい」という気持ちに
つながらないと、うまくいかないんですよ。 - 巧
- そこがまさに勉強になりました。
- 岩田
- そういう意味では、
「一粒でいくつもの見かたができて、
いろんな角度で味わえるもの」という
感じがしますね。 - 巧
- そうですね。
- 岩田
- 世にコラボレーションは数あれど、
これほど両者のかみ合わせがおもしろい作品は
あまり類のないことと思いますから、
モノをつくっていたひとりとして、
今日のお話は楽しく訊かせていただきました。
一見、無謀なチャレンジからはじまったようで、
でも振り返ってみるとそれが
「運命的だった」とさえ思えるものになって、
それはきっとこれから先、両方のものづくりに
いろいろ活きてくることと思います。
両タイトルのファンのみなさまはもちろん、
まだふれたことのない方にもぜひ、
この“VS感”を味わっていただきたいですね。
日野さん、巧さん、ありがとうございました。
- 日野・巧
- ありがとうございました。