『ニンテンドー3DS』ソフトメーカークリエーター 篇
第24回:『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』
6. 「全員終われる『VII』にしよう」
- 岩田
- では最後にみなさんから、
ゲームの発売を待っているお客さんに向けた
メッセージを一言ずついただけますか?
杉村さんからお願いします。 - 杉村
- はい。今回の『VII』は、
当時の『VII』を遊んだ方でも、きっと
新鮮な気持ちで遊んでいただけると思います。
冒頭の謎解き部分がかなり変わっていたり、
グラフィックもぜんぶ変わっていますし、
オリジナル版をプレイされて、
いまはお父さん・お母さんになっている方も
たくさんいらっしゃると思うので、
今度は親子で遊んでいただけたらうれしいです。
- 岩田
- オリジナル版から12年半経ったことの意味は、
あらためて新鮮に遊べることももちろんですが、
今回はじめて遊ぶという方が
じつは相当数いらっしゃることだと思うんです。
それにいま杉村さんがおっしゃったように、
親子で遊ぶという楽しみもありますよね。 - 杉村
- そうですね。いまはご家庭で複数台3DSを
持っている方も多いと思いますので、
一緒にそれぞれ冒険を楽しんでもらいたいです。 - 藤本
- がんばって漢字にぜんぶ、
ルビを入れましたしね。 - 杉村
- 単純に文字数が倍くらいになったので、
チェックも大変でした(笑)。 - 藤本
- でもおかげで小さな子供さんも楽しめますし、
うちも娘がいまちょうど7歳なので
ぜひ遊ばせたいと思います! - 岩田
- いいですね(笑)。
では眞島さん、どうぞ。 - 眞島
- やっぱり12年半も経っていると、
つくっている側もほとんど忘れてしまっていて、
「あれ、こうだったっけ?」っていうところも
けっこう多かったんです。
そういう意味ではもう、新作のつもりで
新たにつくっていますので、
遊ぶ方も新作と思っていただければ(笑)。
- 岩田
- つくった人でさえ、こうなので
遊んだ人もきっと新鮮にちがいないですね。 - 眞島
- はい。あと、やさしくはしていますけど、
やっぱり『ドラクエ』ならではの
探すという楽しみはしっかりあるので、
そこは安心してほしいですね。
バトルも相変わらず、いろんなモンスターが
いろんな組み合わせで出てきて、
ちょっと気を抜くとやられますから。 - 杉村
- 戦闘という意味では、
“敵のやられモーション”にも
注目してもらいたいです。 - 眞島
- あっ、そうですね。敵をやっつけると、
ポーン! と画面の奥に飛んでいきます。
そういう見た目の気持ちよさみたいなところも
こだわってつくっています。
そんなコミカルな演出と「毒を飲ませる女」みたいな
シリアスなエピソードが・・・。 - 岩田
- あの、なぜ眞島さんは
「毒を飲ませる女」にこだわるんですか? - 一同
- (爆笑)
- 眞島
- いや、なんだか僕はあのエピソードが
ひときわ心に深く刺さっているみたいで(笑)。
すごいリアリティーを感じたんでしょうね。 - 岩田
- よく童話でもそういったお話が
描かれることがあるわけで、
そういうことも含めて心に残っていくのが、
「『ドラクエ』の強さ」なんでしょうね。
文字どおりですけど「毒のない話」では
つまらないじゃないですか。 - 眞島
- それ自体は、難しい理屈を
説いているわけではないんですよね。
それを体験した人がどうとらえるかが
ゆだねられているがゆえに、
心に残るエピソードが多いんでしょうね。 - 岩田
- それでは藤本さん。
- 藤本
- 今回は音楽にもこだわらせてもらって、
フル・オーケストラなんですよ。
音楽のスギヤマ工房(※19)さんにお願いして、
かなり綿密な調整をしていただいたんです。
スギヤマ工房=『ドラクエ』シリーズのサウンドを手がけるすぎやまこういちさんの音楽制作会社。
- 岩田
- そこはたぶん、人の聴覚に合わせるために、
相当微妙な調整をやられましたよね。
オーケストラで普通に録っただけでは、
静かなシーンと、ダイナミックシーンとの
音量差が大きすぎるんで、
単にゲームに載せるだけでは
絶対合わないはずですから。 - 藤本
- はい。じつは一つひとつのパートを
ワンフレーズずつレベル調整して、
3DSのスピーカーで最適になるように、
かなりの時間をかけています。
なのでぜひ、壮大な物語を、壮大な音楽で
楽しんでいただければと思います。
- 岩田
- はい。では最後に、堀井さんお願いします。
- 堀井
- はい。そうですね。
『VII』はやっぱり、かなりのボリュームだったと思うんですよ。
非常にたくさんの方に遊んでいただけたんですけど、
「自分はたしか、終わったと思うんだけどなぁ。どうだっけ?」
という方も、けっこう多いんじゃないかと思うんですね。 - 岩田
- その「終わったと思うんだけどなぁ」という表現が、
じつに『VII』を遊んだお客さんの声を
一言で代弁している感じがします(笑)。 - 堀井
- ははは(笑)。
でも今回は石版を見つけやすくしましたし、
迷うことはあっても、詰まることはないと思います。
かなりのボリュームですが、携帯機ということで
ちょこちょこと短時間でも遊んでもらえれば、
今度は最後までいってもらえるんじゃないかな。
- 眞島
- 「全員終われる『VII』にしよう」と
いうのがありましたからね。 - 杉村
- そう、それで今回は
エンディングにも力が入っています! - 藤本
- あ、言っちゃいました(笑)。
エンディングまでいけば、何かいいことが
いつか起きるかもしれないですよ。 - 堀井
- ということで話を変えましょう。
・・・そういえば、
3DSの『ポケモン』(※20)を発表されましたね。
画面がすごいですよね、3Dになって。
3DSの『ポケモン』=『ポケットモンスター X』『ポケットモンスター Y』。2013年10月に全世界同時発売予定。
- 岩田
- そうですね、今回は見映えも一新しようと、
スタッフもがんばっていました。
ですので今年3DSは『ドラクエVII』『トモコレ』(※21)
『モンハン4』(※22)『ポケモン』が予定されています。
『ドラクエVII』はその第一歩になると思います。
今回も堀井さんのものづくり論が軸となって、
12年半前の『ドラクエVII』が
どのように生まれ変わったのかという
お話をお訊きしました。
3DSで可能となった新たな楽しみかたで、
以前遊んだことのある方も、そうでない方も
一緒に新鮮にお楽しみいただけるものに
なっていると思います。
今回、石版をつくれるようになったことで
世の中でたくさんの人が遊んでくれるときの
話題の広がりかたが、きっと変わるのではないでしょうか。
今日はどうもありがとうございました。
『トモコレ』=『トモダチコレクション』(仮称)。2013年春発売予定。
『モンハン4』=『モンスターハンター4』。2013年夏にカプコンより発売予定。
- 一同
- ありがとうございました。