『じぶんでつくる ニンテンドーDS ガイド』
4. 手づくり感あふれるガイドにしたい
- 岩田
- 教室システムやDSガイドシステムをつくった後は、
いよいよ新事業推進室の出番ですね。
西澤さん、大変お待たせいたしました。
自己紹介をお願いします。 - 西澤
- はい、新事業推進室の西澤です。
・・・しゃべらせてもらえるのか、どきどきしていました(笑)。
- 岩田
- 西澤さんがいらっしゃる新事業推進室って
何をするところか説明してもらえますか? - 西澤
- ええっと・・・新しい事業を担当したり、
いわば任天堂のなかで・・・行き場のないものを・・・(笑)。 - 一同
- (笑)
- 岩田
- そういう言い方をするとは思わなかったです(笑)。
新たに技術開発された『DSガイド』や『DS教室』などを、
実際の事業にしていく、いわば外部との連携係ですよね。 - 西澤
- そうです、そうです。
『DSガイド』や『DS教室』を実際に
学校や博物館などに展開することを担当しました。
ただ、どれもいいソフトなんですが、
なかなか現場にはよさが伝わりづらいんです。
『DS教室』にしても、先生方にとっては、
「ゲーム機は昔から学校に持ってきてはイカン」ものなので、
学校の勉強で使うこと自体が理解されにくいんですね。 - 岩田
- なるほど。
- 西澤
- また現場の方によって、本当にいろいろな意見が出るんです。
たとえば『DS教室』でしたら、先生方から
「あいまいな漢字を書いても、正解が出てしまうのは困る」
という声があがったり・・・。 - 清水
- ああ、タッチパネルの漢字認識率がよすぎて、
ある程度漢字が正しければ、正解になるんですよね。 - 宮本
- でも、逆に「まちがえたところに細かく目くじらを立てすぎると、
子どもの学習意欲を奪うんじゃないか」って議論もあります。 - 西澤
- そうですね。
- 宮本
- そういう意味で、授業にDSを取り入れれば、
子どもたちは勉強に興味を持ちますよね。
一方で昔からよく「マリオのキャラクターを教材に貸してください」
という話をいただくことがあるんですが、
それはゲームの教育への利用としてはとらえ方が違うように思っていたんです。
子どもたちがゲームに興味を持つのはマリオだからではなく、
インタラクティブなやり取りが楽しいからなんです。
デジタルなレスポンスのなかで
自分が勉強していること自体が楽しくならないと意味がないと思うんですよ。
『DS教室』は使い慣れているDSを使うので、
子どもたちが最初から興味を持ってくれているところが大事なんですよね。
- 西澤
- それと、『DS教室』はDSを通じて
先生といつでもつながっているので、
正解がわかったら、手元のDSに書けばいいわけです。
授業中に手を挙げられない消極的な子でも、
積極的に授業に参加できるんだそうです。 - 澤野
- 先生方の口コミで広がっていくというのが、
先生の間での広がり方なのかもしれないですね。
立命館小学校で、最初にこのシステムを授業に取り入れていただいた
鳥島先生という方がいらっしゃるんですが、
『DS教室』をとても上手に使ってくださるんです。
シャープシステムプロダクトさんが、文部科学省のイベントなどで
その先生を各地に招いて体験授業をされているほどです。 - 宮本
- 僕も体験授業を受けてきたんですが、ホントに面白いんです!
他の人といっしょに座って、解答するのが楽しくて(笑)。
たとえば、「口に2画足して書ける漢字を全部書きなさい」
という問題があって、
最後にモニターで誰がどの漢字を書いているのか見られるんです。
クイズ番組みたいで楽しかったんですよ。
20個以上ある・・・って言われると、ちょっと燃えるでしょ?(笑) - 澤野
- え、20個ですか!?
- 西澤
- いや、でも確かに、結構ありますね。
- 岩田
- なるほど・・・。
- 宮本
- でも、全部はなかなか書けない・・・。
(みんな一斉に考えはじめて、黙々と机に指で書きはじめる) - 宮本
- ・・・とまあそんな問題や、連想ゲームなんかもありまして、
なかなか楽しい体験授業でした。 - 西澤
- そのように、実際に『DS教室』に
触れていただいた方からの評価はいいんです。
それで『DSガイド』や『DS教室』の導入を検討していただくため、
いろいろな公共施設におうかがいしているうちに、
水族館でも『DSガイド』を使っていただけることになって、
実験にご協力いただいたのが、
海遊館さん(※24)でした。
もっともっと、みなさんにDSを活用していただきたいですね。
新江ノ島水族館=神奈川県藤沢市の湘南海岸公園にある水族館。2010年5月より、DSガイドのサービスを開始。
海遊館=1990年に開館した大阪府大阪市港区にある水族館。2010年4月より、DSガイドのサービスを開始。
- 澤野
- 水族館の方からのアンケート機能の評判はよかったですよね。
- 西澤
- そう、業務用につくったものには、
いろんなアンケートやログデータを取れる機能があり、
施設の方々には高評価をいただきました。
- 宮本
- それから大学の卒業展でも評判が高かったですね。
- 西澤
- そうでした。京都精華大学の卒業制作展(※25)で、
『DSガイド』を使ってくださったんです。
卒業制作展=京都精華大学ビジュアルデザイン学部の卒業制作展「PLAY」での実証実験。2010年1月27日〜31日まで、京都市美術館にて開催。
- 岩田
- 芸術学校の卒業制作作品を並べる展示会があって、
その展示の場に『DSガイド』を使っていただいたんですよね。
卒業生の方による、本当に手づくり感あふれるガイドでした。 - 宮本
- この音楽を聴きながらこの絵を見てほしいっていうものから、
作品を細かくガイドするものまでいろいろありましたね。
手づくり感があって、とってもうれしい使い方でした。 - 岩田
- もともと宮本さんには、
「つくり手のための敷居を下げたら大勢に参加してもらえる」、
という想いがありましたからね。 - 西澤
- そのあとも、美ナビ展(※26)という
芸大生による作品展でも上手に使っていただきましたね。
美ナビ展=美術・芸術系学生と企業を結ぶ就活アート展での実証実験。2010年3月12日〜28日まで、東京の六本木 森アーツセンターギャラリーにて開催。
- 岩田
- 発信したい方がいるときは、
『DSガイド』の強みは、ものすごく活かされていますね。 - 西澤
- それで、その要素をふまえたのが
今回、無料配信が決定したDSiウェア
『じぶんでつくる ニンテンドーDS ガイド』なんです。 - 岩田
- ああ、ようやく、本題にたどりつきました(笑)。