『斬撃のREGINLEIV』
6. 協力者がどんどん増えて新しい試みを
- 岩田
- 山上さん、最初にこのソフトを見せたときの営業関係者の印象が、
どんなことがキッカケで変わっていったのですか? - 山上
- 実際にプレイしてもらったんです。
すると、がらりと変わって、「これは面白い」と言うようになったんです。 - 岩田
- 実際に触ってこのソフトの面白さに気づいてもらえたんですね。
- 吉川
- 協力者がすごく増えましたよね。
- 山上
- そうなんです。協力者がどんどん増えて、
いままで任天堂がやったことのないことが、
次々に決まっていったんです。 - 岩田
- 任天堂が新たなパッケージガイドラインを
つくることになったのも、そのひとつなんですよね。
実は今回のパッケージの色は、通常の白ではなく
黒くなるんです。 - 岩田
- 今回、いろんな議論をしていくなかで、
過激な表現をお求めでないお客さんが
間違ってそのようなソフトを購入されることのないように、
任天堂はその努力をしっかりするべきだということになったんです。
そこで、最終的に行き着いた結論として
パッケージを黒くして発売することにしました。
それは、
今回の『斬撃のREGINLEIV』に限った特例ではありません。
今後は、CEROの「C」以上のもの、
つまり15歳以上の人を対象にするソフトに関しては、
パッケージの色でハッキリ分けることに決めました。
ですから売り場でもそういう商品を集めるコーナーを
ご用意していただこうと、
流通さんに対してもご提案をしているところなんです。 - 本間
- そうだったんですね。
- 岩田
- このソフトがなければ、
こういう話は出てこなかったと思いますし、
だから、任天堂がパッケージガイドラインを考え直す
キッカケになったソフトでもあるんですね。 - 吉川
- ゲームが面白かったので、
協力してくれたというのがけっこう大きな特長ですね。
協力者が増えることで
体験版をお貸し出しする話も生まれましたし。 - 山上
- 任天堂ソフトで体験版をお貸しするのは
初の試みだと思うんですけど、
2010年3月31日まで、『斬撃のREGINLEIV』が
レンタル(※13)できることになりまして。 - 吉川
- ぜひこのソフトの面白さを触って感じてほしいですね。
レンタル=全国の「GameTSUTAYA」加盟店で、2010年1月21日から2010年3月31日までの期間限定で無料体験版レンタルを実施しました。現在は、レンタルいただけませんのでご了承ください。
- 岩田
- それでは最後に、お客さんに伝えたいメッセージをお願いします。
今回はプロデュース側から訊くことにしましょうか。 - 山上
- 実はわたしは、このゲームのお話がとても好きなんです。
ロマンがあるんです。男気があって、決めゼリフもすごくいいんです。
たとえば2人の男の人が現れて、ひとりが
「生きては帰れぬぞ」と言うと
「いまさらだな・・・」と言うんです。
それを聞いたとき、わたしは鳥肌が立ったんですね。
ですから、みなさんにも
そのような感動を、ぜひ味わっていただきたき、
ものすごい物語にしびれてほしいと思います。
- 岩田
- では、吉川さん。
- 吉川
- はい。このゲームでのこだわりは、やっぱり斬るところにありまして、
斬る瞬間に思わずWiiリモコンをギュッと握ってしまうんです。
気がついたら、夢中で戦場に立っているという感覚があるんです。
N64の時代に、『マリオカート64』(※14)を遊んでいて、
アクセルのBボタンをすごく強く押しちゃったりとか、
そんな経験を持っている人が多いと思うんですけど、
今回の『斬撃のREGINLEIV』も
そういう夢中になれるゲームになったと思います。
『マリオカート64』=1996年12月に、NINTENDO64用ソフトとして発売されたアクションレースゲーム。シリーズ2作目。
- 岩田
- 吉川さんはN64の時代のソフトを夢中で遊んでくれた、
まさにど真ん中世代のひとりなんですよね(笑)。 - 吉川
- はい(笑)。あのような
ボタンを押す瞬間に強く押してしまうくらい
夢中になるゲームを、僕はずっと追い求めていて、
それが、ボタン操作ではなく、
アナログ操作で実現することができたと思いますので、
個人的にもすごく手ごたえを感じています。 - 岩田
- そのように夢中になれるプログラムを担当した
野口さん、お願いします。 - 野口
- 吉川さんがおっしゃったように、
今回はアナログ操作のレスポンスをすごく大事にしました。
Wiiリモコンで通常のソフトを操作しようとすると、
技が1テンポ遅れてから発動することが多いんですけど、
やっぱり、プレイヤーがWiiリモコンを振ったその瞬間に、
画面のなかが反応しないと気持ち悪いんですね。
同時にそこが今回のいちばんの悩みどころではあったんですけど、
プログラマーとしては
ひとつの回答を出すことができたと思っています。
ですから、快適なWiiリモコンの操作を、
楽しんでいただければうれしいですね。
- 岩田
- では、ビジュアルの世界を担当した
五十嵐さん、お願いします。 - 五十嵐
- 実はわれわれは、自分たちでつくったゲームを
「つまらない」と思ったことが一度もないんです。
自分たちのつくっているゲームは本当に面白いと思っていまして、
つくっている最中はヘタをすると、世界一面白いんじゃないかと
そう思うくらいなんです。
まあ、出したあとにいろいろ反省するんですけど(笑)。 - 岩田
- まあ、そうじゃないと
次への進歩はありませんからね。 - 五十嵐
- はい(笑)。それで今回は、Wi-Fiのテストプレイを
本間さんとやっていたんですけど、
本気でケンカになりかけたことがあったんです。
それくらい熱くなって、夢中で遊ぶことができたんです。
「お前が結晶を取りすぎだから、
こっちが成長しないんだよ」みたいな(笑)。 - 岩田
- なるほど(笑)。
- 五十嵐
- その様子を見て、
周りの若いスタッフがおろおろしたくらいなんですけど、
それほど夢中になれるゲームだと、本当に思いました。 - 岩田
- 夢中になれるのは、ひとりで遊んでも、
多人数協力プレイも、両方にその要素があるんですね。 - 五十嵐
- はい。ひとりプレイでも、僕は数え切れないくらい
テストプレイを繰り返したんですけど、飽きないんです。
それにコントローラで遊び方も変わりますので、
ぜひいろんな遊び方を試していただきたいですね。
- 岩田
- それでは最後に、ディレクションを担当した
本間さん、お願いします。 - 本間
- 今回は、ムービーもあり、
キャラクターの音声もとてつもない量があり、
敵の種類も多くて、マップもすごく豊富ですので、
ぜひ楽しんでいただけたらと思っています。
もちろんゲーム自体の面白さというのも、
いままでわれわれがつくってきたものより
突き抜けていると思いますし、
たとえばオンラインモードの最後のほうの面に、
ある意味、僕らみたいにゲームが好きな人の、
上級者向けにチャレンジングな面を用意してあったりします。
- 岩田
- 開発者からの挑戦状ですか。
- 本間
- はい。「これクリアできる?」みたいなものも
ちゃんと入れられましたし、そういう意味では、
物量も含めて楽しんでいただきたいですね。
それに、最初に言いましたけど、
巨神族の動きには注目してほしいです。
あのような巨大な生き物があそこまできちんと動いて、
正確にプレイヤーと戦えるというのは、
いままでなかったかなと思いますし。 - 岩田
- 「いいかげんにしろよ」と言いたくなるくらい
楽しんでくださいということですね。 - 本間
- はい(笑)。
- 岩田
- 今日、お話をお訊きして、
サンドロットのみなさんが、ものをつくることに対して、
とても強いこだわりを持ち、
お互いを信頼しあいながらゲームをつくり、
その結果、できたものが「世界一面白い」と
自信を持って宣言できるチームなんだということが
とってもよくわかりました。
そのようなサンドロットのみなさんが、
今回はいままででいちばん時間をかけて
自分たちの持っているエネルギーをすべて注ぎ込み、
その結果、“自分たちにとっての最高傑作”ができました、と
いうことですよね。 - 本間
- はい。
- 岩田
- 今回は任天堂にとっても初ものづくしのソフトになりましたが、
できるだけ多くの方々に興味を持っていただき、
触っていただければと思います。
本当にありがとうございました。
- 一同
- ありがとうございました。