『Wiiモーションプラス』+『Wii Sports Resort』
Wii Sports Resort篇
- 岩田
- ところで、「テニス」じゃなく「ピンポン」を、
どうして『リゾート』に入れることにしたんですか? - 山下
- 前作と同じ種目は
できるだけ避けたいと思っていたんです。 - 岩田
- とくに「テニス」は、
たくさんのお客さんに強烈な印象を残していますし、
余計そうかもしれませんね。 - 山下
- はい。で、前作は前作で
末永く遊んでいただきたいと思っていますので、
やっぱり違う種目を入れたほうがいいのではないかと。
それに、個人的にはカットとドライブを
もっとキツイ感じで表現したかったんです。 - 岩田
- すると「ピンポン」のほうが
今回は向いていると思ったんですね。 - 山下
- そうじゃないかなあと思ったんですが、
どうなんでしょう・・・。
佐藤さん、どうですか? - 佐藤
- やっぱりWiiモーションプラスの
レスポンスがすごくいいので、
とても「ピンポン」という競技に向いてるんです。
「テニス」はラリーのテンポが比較的遅いので、
レスポンスが遅くても
対応できる部分があったんですね。 - 堂田
- 「テニス」はパコーン、パコーンと
比較的ゆったりしたラリーですけど、
「ピンポン」の場合、カッカッカッカッと
すごい勢いでラリーしますよね。 - 岩田
- そのカッカッカッというのが表現できると。
やっぱり、つくった人が言うと説得力あるなあ(笑)。 - 佐藤
- あと、カットとかドライブの操作なんですけど、
これは『Wiiスポーツ』の「テニス」でも
できるにはできていたんですね。 - 岩田
- できましたね。というか、
『Wiiスポーツ』以前のテニスゲームだと、
基本的にボタン操作でやっていたことを、
スイングの軌道だけで、ドライブの打ち分けや
ロブが打てるようになりましたからね。 - 佐藤
- そうですね。
ただ、そのような打ち分けが
ちょっと難しいと感じた人もいたと思うんです。
でも今回は、ラケットをちょっとひねるだけで、
カットやドライブがかかっていることが
すぐにわかるんですね。
だから、初心者の人はより遊びやすく、
上級者の人には自分のテクニックが
もっと出せるようになったと思います。 - 嶋村
- それに、もともと「ピンポン」は
「テニス」よりもっと馴染みのあるスポーツじゃないかなと。 - 宮本
- 温泉に行くと、必ずピンポンしますし。
- 一同
- (笑)
- 嶋村
- だから、どうやってボールに回転をかけたらいいのか、
実際にやって、わかってる人も多いと思いますし、
その意味でも、多くの人にとって
イメージがわきやすい種目だと思ったんですね。 - 山下
- 実はちょっぴり「テニス」に
未練を感じたこともあったんですけど、
やっぱり「ピンポン」にしてよかったですね。 - 宮本
- 「テーブルテニス」だしね。
- 一同
- (笑)
- 岩田
- 「ピンポン」はプールサイドで遊べるようにして
リゾート感覚を出したという話でしたけど、
そのほかにリゾートっぽい種目というと・・・? - 嶋村
- たとえば飛行機・・・「遊覧飛行」がそうですね。
- 堂田
- もともとは「ハンググライダー」だったんですよ。
でも、僕はそれにけっこう反対して・・・。
- 岩田
- どうして反対したんですか?
「ハンググライダー」にはリゾート感がありますよね。 - 堂田
- 「ハンググライダー」よりも、飛行機の新しい操作のほうが
Wiiモーションプラスとの一体感が生かせるんじゃないかと。 - 岩田
- 新しい操作というのは?
- 堂田
- プラモデルの飛行機とかを片手で持ったまま、
「ブーン」とか言いながら
遊んだ経験は誰にもありますよね。 - 宮本
- 子どもの頃は、みんなやってましたよね。
- 岩田
- はいはい、やりましたねぇ(笑)。
- 堂田
- そこで、飛行機の代わりにWiiリモコンを持って、
同じような遊びができないかと思ったんです。 - 嶋村
- 「飛行機を操縦するのはどうだろう」という話になったとき、
実は操縦かんのように操作することも考えたんですね。
Wiiモーションプラスを操縦かんに見立てて、
ジョイスティックのように操作しようと。
でも、そうするとけっこう難しい操作になってしまうんです。 - 堂田
- そもそも3D空間を自由に飛べるとはいっても、
そこを操縦するとなると
難しく感じる人が少なくないと思うんですね。
でも、自分が手に持ってる飛行機と
画面のなかの飛行機がシンクロするようにして
自分が動かしていることをより強く感じられたら、
3D空間のなかを動くというのも
直感的にできて楽しいんじゃないかと思ったんです。 - 岩田
- ボタン操作も必要ないんですね。
- 堂田
- はい。Wiiリモコンを
人差し指と親指で挟んで遊びますので。 - 嶋村
- しかも「遊覧飛行」をすれば、
ウーフー島にもすごく詳しくなれるんです。 - 宮本
- そこで、空を飛びながら
「あの土地は何のゲームに使おうか」とか
空中視察にも使えますし。 - 一同
- (笑)
- 山下
- そもそも「遊覧飛行」は
宮本さんにとっては20年来の課題だったんですよね。 - 岩田
- 20年来の課題?
ちょっと詳しく説明してください。 - 宮本
- そうやったっけ?(笑)
- 嶋村
- (笑)。僕、覚えてますよ、
「ウエイクボード」は10年で、
「遊覧飛行」は20年来の課題だと。
- 宮本
- そうですね・・・。
自由に空を飛ぶことに関しては、
『パイロットウイングス』(※8)の時代から
なんとかしたいとずっと考えてきたことなんですね。 - 岩田
- 確か『パイロットウイングス』は1990年。
- 宮本
- そう、1990年ですね。
- 岩田
- あれからほぼ20年ですね。
- 宮本
- で、10年以上前に
実は「水上スキー」のゲームをつくってたんですよ。
水上スキーはボートで引っ張ってもらう競技ですので、
ボートを描かなあかん、波も描かなあかんと、
当時のゲーム機で表現するにはけっこうきつかったんです。
だから水上スキーはあきらめて、
マリンバイクのゲームをつくることにして
それでできたのが『ウェーブレース64』(※9)なんですね。
『パイロットウイングス』=スーパーファミコンソフト。1990年12月発売のスカイスポーツシミュレーションゲーム。
『ウェーブレース64』=NINTENDO64ソフト。1996年9月発売のレースゲーム。
- 岩田
- でも、10年以上たっても
水上スキーは諦めきれなかったんですね。 - 宮本
- やっぱりおもしろそうなんですよ。
で、最近は「水上スキー」というより
「ウェイクボード」が流行ってるみたいですし。 - 嶋村
- 琵琶湖でもボードに乗ってやってる人が多いですしね。
- 宮本
- だから若い子にもウケるんやないかと。
- 嶋村
- リゾート感も楽しめますしね。