2. みんなで決める 岩田 ほかにWii版『リズム天国』を進めるうえで 任天堂とどんなキャッチボールをしましたか? つんく♂ “対戦”にこだわらないようにしました。 いくつか2人でプレイするゲームは入っていますけど、 基本的には1人で遊んでいるところを、 横で見ていただきたいんです。 岩田 確かに対戦すると自分のプレイに精いっぱいになってしまって いちばん面白い“人が失敗するところ”を 見られなくなりますからね。 つんく♂ ま、これは誰かが餌食になるゲームですから(笑)。 一同 (笑) 岩田 遊んでいるのは1人でも、 まわりの人も参加しているように楽しいゲームなので、 全てを多人数同時プレイにする必然がなかったんですよね。 米 そうなんです。 あと、なるべく耳に残るように インパクトのある効果音を意識しました。 お母さんが近くを通ったとき、かけ声とかが聞こえてきて 「あんた、何やってるの?」ってなればいいなぁって(笑)。
岩田 偶然そばを通りかかった人を引き込む効果音の魔力ですね。 逆に、いままでやってきたことから、 あえて変えたことはありますか? 飯田 画面が大きくなったので、 アホなお遊び部分がよく見えるようになりましたね。 たとえば飛んでいったボールを後ろでキャッチしたり・・・ ああいうのは、DS版では小さすぎて 表現できなかった部分なんです。 つんく♂ メインキャラクター以外で 「くすっ」って笑える部分だね。 飯田 それこそ、まわりで見ている外野のほうが気づくかも・・・。 岩田 外野を楽しませる要素が充実しているのが 今回のポイントかもしれませんね。 それから、今回の『リズム天国』は 大と小の激しさというか、ダイナミックさを感じました。 飯田 ミジンコみたいなのが出てくれば、 ロケットも出てくるし・・・。 岩田 そういう案は、どうやって出すんですか? 竹内 今回はみんなで案を持ち寄りました。 岩田 ・・・みんなで出すんですか? 竹内 そうです。 岩田 へえー、すごく変わったつくり方ですね。 つんく♂さんがつくった大きな軸の中で、 あえてこういう言い方をしますけど・・・、 みんなが好き勝手やって、要素を足している感じがします。 つんく♂ ゲームの基本からブレることがないので、 ぼくら(TNX側)もできあがってくるキャラクターを見るのが 毎回楽しみでした。 でも、「なんでこの音に・・・この絵?」 なんて思うこともたくさんありました(笑)。
竹内 だって、そういうイメージですもん・・・。 つんく♂ えーっ、ぼくらのイメージと全然違うんだけど!(笑) 竹内 「つんく♂さんの曲は、そのイメージなんです」 って、ぼくはいつも返します。 つんく♂ でもね、ほんと面白いんですよ・・・。 洋食をつくったつもりなのに、いきなり 中華料理や和食のソースをバンバン入れられるから、 「なんじゃこれはーー!」って思うんですね(笑)。 岩田 「フランス料理をつくったのに、 いきなり豆板醤がかかって出てくる」 みたいな状態なんですかね。 つんく♂ でもね・・・それが許せるんですよ。 なんか知らないけど・・・それが非常に面白いんです。 岩田 鎌田さんは、曲をつくられている立場からどうでした? 鎌田 あ、ぼくも同じです。 ヨーロピアン的な曲なのに絵が中華風だったり、 「着物を着て刀を振るゲームに・・・この曲使うの!?」って おどろいたり。 でも、つんく♂さんが絵について何も触れないから、 「あれ、違和感を持っていないのかなぁ?」と思いつつ、 最後までいってしまった感じです。
つんく♂ でもね、もしそれを否定したら、多分・・・ 全てが終わっちゃうと思うんです。 飯田 でも・・・まさか、ボサノヴァとバレーボールが 一緒になるとは思わないですよねーー? 「ボッサレシーブ」ってゲームですけど。 つんく♂ しかもターンテーブルに乗ってるって、 意味わからんやろ!(笑) 飯田 で、さらにちょっとエロい。 入っているかけ声が・・・エロい! もうーーめちゃめちゃですよね(笑)。 つんく♂ でも・・・なぜか違和感がない。 鎌田 一見、ミスマッチなんだけど・・・。 つんく♂ ミスマッチじゃないんです。 米 ゲームではバカバカしいことをやっているのに 曲はものすごくかっこいいところが 『リズム天国』の独特さ、なのかもしれないです。 岩田 一見、変なバランスに見えるのに、 味わうと妙に調和がとれているのはなぜなんでしょうね? 正岡 なぜなんでしょう・・・。 けっこう、本当に好き勝手やっているんです。 たとえば竹内さんが絵を描くときは、 何も相談なしに、先に絵が上がってきて、 「これ、入れといてー」って言われるんです。 米さんもまったく同じで、 「よろしくー」って来ることが、すごく多い。
岩田 不安におののきながら、 正岡さんが組み込むんですね。 正岡 「負けてなるか!」と思ってやります(笑)。 でも変にすり合わせないで、 つくったイメージをそのまま組み込むから、 逆に面白いものになっているのかもしれないです。 岩田 普段はわかれて仕事をしているつくり方だからこそ、 できる一面かもしれませんね。 つんく♂ こっちも曲をつくって渡すだけで、 お互いに“無責任な責任”を持ちながら進めていって、 それで生まれた面白さというのがあります。 岩田 だから、仕事のかけあいそのものに ノリ感があるのかもしれませんね。 でもそれは、つんく♂さんのリズム論がゲームの根底にあって、 そこに妥協がないからこそ成立しているんですよね。 ちなみに、それぞれのゲームには 名前がついていますが、誰がつけるんですか? 米 みんなでです。 岩田 ・・・それもみんなで決めるんですか? 米 みんなで決めます。 ・・・・・・だめですか?(笑) 岩田 いやいや(笑)。 普通は1人で決めるものなんですけど、 名前も“みんなで”っていうのも珍しいですよ。 ゲームの名前って、みんなで決めると収拾がつかなくなるから、 決める役の人を決めるんですが、 このゲームはそうじゃないんですね。
正岡 絵や音やプログラムは個々の責任者がいるんですが、 ゲーム自体のアイデアに関しては、 本当に“みんなで”って感じです。 岩田 やはり『リズム天国』という軸がしっかりと 立っているからこそ、成立しているんですねえ。 つんく♂ ま、“無法地帯”とも言えますけど(笑)。 一同 (笑) 3. “レスラー会見”と“ケーキ入刀”
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