6. 「みんなの」の意味 岩田 では今作の魅力を、それぞれの言葉で お客さんに伝えてもらえますか? まずは正岡さんからお願いします。 正岡 そうですね・・・今回、 「いままで以上に間口を広くしたい!」という 思いがあって、いろんなお手本が見られたり、 練習中にガイドがついていたり、 最初に正しいリズムがわかるまでの フォローをたくさん入れています。 だから「少し難しいかな?」と思った方も、 今回はぜひ、くらいついていただければと思います。
岩田 最初はできなかったものが できるようになったときは、たまらないですよね。 つんく♂ ですね。ただ単にクリアするという点は、 それなりにできると思うんです。 でもハイスコアから、パーフェクトねらいになると、 相当リズムをわかっていないととれないですから。 そういうところのフォローは本当にたくさん入っているので 前回よりもていねいになっています。 岩田 では、飯田さんのオススメは? 飯田 1発目の打ち合わせの雑談で、 「子どもたちの遊びって、音楽になってますよね」 っていう会話が出たんですね。 「♪なーになにちゃーん、あーそびーましょー」という かけ声ひとつでも、音楽になってるんです。 それがいわゆる“くり返してもあきないリズム”で、 Wii版にはそういうものが多く入っているんです。 あと画面を共有することで、 まわりと面白さを共有できるところが、子どものころの、 すぐ遊びにとけ込める感じと似ているんですよ。 むかし、ドリフ(※6) のコントを見たあと、 笑えて楽しいフレーズを 何度もくり返して歌ったりしていると親に怒られる・・・ そんなギリギリの楽しさが、今回のポイントかなと思います。 ※6ドリフ=ザ・ドリフターズ。日本のミュージシャン・コントグループ。 岩田 なるほど。本当に見ているのが面白いゲームですよね。 わたしの定義する「いいゲーム」の要素のひとつに、 「まわりで見ている人が楽しい」というのがあって、 任天堂でもともとつくってきた伝統的なテレビゲームの中でも そういうものがたくさんヒットしてきたんです。 だからタイトルの「みんなの」の意味は、 「コントローラが4つあって同時にプレイする」 じゃなくて、1人が遊んでいるのをまわりのみんなが、 固唾をのんでみたり、失敗したら笑って餌食にしたり(笑)、 「みんなの」の意味は「みんなで楽しむ」なんですよね。 つんく♂ ああ、ほんまですね! うーん・・・面白いです。 飯田 けん玉とかヨーヨーと一緒で 「ちょっと貸してみ」みたいな感じですよね。 岩田 そう、気軽に「ちょっと貸してみ」と言いたくなる感じがあるんです。 でも、パーフェクトを極めようとすると、 すっごくストイックなゲームで、その両面性が面白いですね。 「全部パーフェクトにしなさい」って言われたらひるみますもんね。 つんく♂ 前作では、知り合いのミュージシャンやドラマーは 買った翌日の夜ぐらいまで、とにかく全部 パーフェクト出るまでやりつづけていたらしいです。 「つんく♂さんにここで負けるわけにはいかない!」 っていう対抗意識の中で(笑)。 岩田 ではまた、そのみなさんに徹夜してもらいましょう。 一同 (笑) 岩田 米さんは? 米 シンプルなボタン操作に戻ったところが、 ある意味、魅力的なところかと思います。 『リズム天国』のリズムは、 まわりで見ているお父さんやお母さんも、 むかし自分が小さいころ、何かしらのかたちで 経験しているリズムのはずなんです。 だからそれを聴いて、自分と関係あることを感じて、 自然とゲームに引き込まれていくといいなあと思います。
岩田 鎌田さんは? 鎌田 とにかく、立ち上がりたくなるゲームなんです。 実際に打ち合わせのときも、 つんく♂さんが横でやっていると、 横で飯田がノリノリになっているわけです。 それほど、そこにいるみんながノれるゲームなんです。 みんなで立ち上がってノッているシーンが 見られたらすごくいいなあと思います。
岩田 竹内さんは? 竹内 ぼくは“笑い”です。 シンプルに、ボタン1個で広がる、 しょうもない世界観なんですが・・・。 岩田 自分でつくっといて、しょうもないもないけど(笑)。 竹内 自然と顔がにやけてくるというか(笑)。 その感じを家族や友だちと共有してもらいたいし、 ぼくもまず、(全員を見まわして)ここにいる仲間たちを 笑わせるつもりで描いていましたから、 ぜひ遊んで笑ってもらいたいなと思います。
岩田 はい、つんく♂さん。 つんく♂ いまの話も面白いですね。 音楽を伝えるときも、 ぼくがプロデュースしている子たちには、 「みんなにしゃべりかけると、いちばん弱くなる」 と教えているんです。 たとえばコンサートのステージで 「会場にいる1万人のみなさんに届けます」 という台詞でも、歌うときは“1対1”なんです。 見ているお客さんにとっては、 “オレとあなた”じゃないですか。 岩田 1万人のそれぞれの人が“オレとあなた”なんですね。 つんく♂ でもどうしても、つくっていると “オレ対みんな”になるときが多いんです。 でもそういう歌は、パワーがないんですよ。 1万人いると、1万分の1にパワーが散っちゃうんです。 だからゲームをつくるときも同じで、 「まず仲間に見せたら、どんなリアクションをするかな?」とか、 「ぼくがつくった曲にどんな絵をはめてくるかな?」とか、 つねに身近なリアクションを求めることが大事で、 ゲームをする相手が的確に見えていたことが ひとつのパワーになっているなと思いました。 岩田 遊んでいる人の、具体的なイメージがあるんですね。 つんく♂ そう、そうです。 でも、ぼくが本当に思うのは、リズムというものが いかに人間の生活に大事なものであって、 文化の成長にも必要なものであるかということです。 それを単純にバカバカしく、難しくなく、 理論とかも感じさせないゲームとして入れているのが、 『リズム天国』のよさかなって思っています。 だから日本人のリズムが、本当によくなればいいですね。
岩田 そう思いますね。 つんく♂ このあいだ、ぼくの知り合いと町でパッと会ったときに、 小学2〜3年生ぐらいの子どもを連れていたんです。 で、お父さんが 「ほら、モーニング娘。のつんく♂さんじゃん」 って言っても、子どもがきょとーんとしてて、 「おまえ『リズム天国』やってるやろ。あれつくった人や」 って言ったら、「へええーっ!」みたいな顔になって。 岩田 へえー! そのお子さんにとっては、 “モーニング娘。のつんく♂さん”じゃなくて、 “『リズム天国』のつんく♂さん”なんですか! それはすごいです。 つんく♂ はい、急にパアーッと尊敬する顔に変わって(笑)、 「あのゲームをつくったおじさんなんや〜!」って。 今回もそんなふうに広まれば、 ぼくも本当にやりがいのある結果になると思っています。 岩田 最後につんく♂さん、最初に企画書を 書かれたときに提案してくれたことは、 いままで3回ご一緒してどれくらい実現できましたか? つんく♂ この『リズム天国』で、5〜6年前から リズム感をすり込んできたので、まぁ、あと何年かして、 このゲームで遊んだ子どもたちが成長したら、 ぼくはかなり結果が出てくるような気がしているんです。 岩田 では、じつはもう種は蒔かれていて芽は出ているはず、 という手ごたえをお持ちなんですね。 つんく♂ そうですね。ま、あと何年かして 「『リズム天国』世代なんです」って子たちが入ってきて、 次にぼくがプロデュースする仕事に つながっていければいいなあと思います。 「『リズム天国』のほら、あの曲のリズムや」 って説明できれば話が早いじゃないですか(笑)。 一同 (笑) 飯田 できていなければ、 「アドバンス版からやり直してこい!」っていうことですかね(笑)。 岩田 わたしは、つんく♂さんが最初に提案してくださったことは かなりかたちにできたんじゃないかという手ごたえがあります。 これをたくさんの人にお伝えして、 またみなさんの話題にしていただけたらうれしいですね。
つんく♂ がんばりますので、よろしくお願いします。 岩田 また、つんく♂さんを尊敬の目で見る子どもさんが増えるように、 任天堂もがんばりたいと思います(笑)。 一同 (笑) 岩田 みなさん、今日は本当にありがとうございました。 一同 ありがとうございました。 返回首页
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