『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』
特別篇:糸井さんとのクリエイティブの雑談。
- 糸井
- だから、大野さんに
「糸井さんは必死だから」って言われたときに、
理解されてうれしいっていう気持ちと、
やっぱり、そういう必死さって、
にじみ出しちゃうんだと思って。 - 宮本
- ああ、そうですね。
- 岩田
- いまはどっちかというと、
人をからかうときに使いますよね。
「あいつ、必死」って。 - 糸井
- あ、そうだね。
でも、俺なんかよろこんじゃうんだけどね。
「必死だ」って言われると、
「そうだよ!」って思っちゃう。 - 一同
- (笑)
- 宮本
- うちの社内でも、わりとそういう
必死な人を支援してますよ。
必死な人って、
周りから迷惑がられたりしますからね。 - 岩田
- ああ、そうですね。
そういうところが任天堂という会社の
おもしろいところだと思うんですけど、
必死な人はみんなが応援しますね。 - 糸井
- うちもそうだけど、
そういうところって多くないのかなぁ。 - 岩田
- どうなんでしょうねぇ。
でも、必死な人を応援するのか、からかうのかは、
組織の健全性のようなものを
はっきりと表すような気がしますね。 - 糸井
- 俺はやっぱり、必死じゃないものがあるのは、
なんか、イヤだなぁ。
あの、休んでるのはいいのよ? - 宮本
- うん(笑)。
- 糸井
- 休んでるのとか、のんびりしてるのとか、
サボってるのとか、ぜーんぶOKなのよ。
だけど、なんか必死じゃないことがいい、
みたいなのは、イヤだなぁ。 - 宮本
- そう。
ぼくもサボってるのはいいんですよ、別に。 - 糸井
- ね。それは、サボってるな、っていうだけのことで。
- 宮本
- うん。
逆に、サボってないような顔をして、
なんか忙しくしている風にサボってる、
っていうのは、すごくイヤで。 - 一同
- (笑)
- 糸井
- はははははは。
- 岩田
- まさに、「面目」を保ってるだけの。
- 宮本
- そうそう(笑)。
- 糸井
- 必死かぁ・・・。
- 宮本
- 必死、いいですよね。
- 岩田
- はい、必死は応援します。
ただ、たとえばわたし自身も、
必死に仕事をしてる自信はあるけど、
「にこにこしながら必死」がいいなぁ(笑)。 - 糸井
- あーー、そうだね!
- 岩田
- 「悲愴」(※注)なのはいやです。
※注当初、「悲壮」と表記しておりましたが、正しくは「悲愴」でした。誤表記でありましたことをお詫びし、本文中の「悲壮」を「悲愴」に すべて訂正いたします。(2011年11月30日)
- 糸井
- でも、表現に「悲愴」が出ちゃうのは
「必死」が足らないんじゃないかね。 - 岩田
- ははははは、
「悲愴」なのは「必死」が足らない。 - 宮本
- 「必死」っていうのは、どっちかというと、
周りが止めに入るようなものなのでね。
「悲愴」なのはなんか、本人がまわりに
自分をそう見てほしいと思ってるっていうか。 - 糸井
- なるほどね(笑)。
- 岩田
- ふふふ。
- 糸井
- ほかの人に見せる用の「必死」ね。
あ、それは、また「面目」と同じだ。 - 岩田
- ええ。
- 糸井
- そういうことから自由でありたいねぇ。