『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』
特別篇:糸井さんとのクリエイティブの雑談。
- 岩田
- これも宮本さんらしいなぁと思うんですけど、
E3(※7)とかの発表会で
ステージの上でなにかやるじゃないですか。
そのときも宮本さん、最後の最後に・・・。 - 宮本
- 直すんですよ。
- 糸井
- あー(笑)。
E3=Electronic Entertainment Expo(エレクトロニック エンターテインメント エキスポ)の略で、年に1度、米国のロサンゼルスで開催されるコンピューターゲーム関連の見本市のこと。
- 宮本
- けっこう失礼なことだと思うんですけど、
舞台監督に、こうしてくださいってお願いしたり。 - 岩田
- この間も、
オーケストラのみなさんにも言ったんですよね(笑)。
青沼さんから聞きました。 - 宮本
- そう(笑)。
『ゼルダ』の音楽をオーケストラが演奏する
っていうコンサート(※8)をやったんですね。 - 糸井
- うん。
コンサート=「ゼルダの伝説 25周年 シンフォニー オーケストラコンサート」のこと。2011年10月10日に、すみだトリフォニーホール(東京)で開催された。演奏は東京フィルハーモニー交響楽団、指揮は竹本泰蔵さん。
- 宮本
- で、客席でこう、リハーサルを見てたら、
「ちょっと、まずいなぁ」と思うところがあって。
それは、演出上のことで。 - 岩田
- お客さんとやり取りするような
パートがあったんですよ。 - 宮本
- オーケストラの演奏の絡む演出だったんです。
で、そのパートのリハーサルが終わって、
いったん演奏をやめたときに、
タタタタと舞台へ行って、指揮者と舞台監督に
「ここはこう・・・」って言ったら、
「いや、終わってからやりますから」って言うんです。
リハーサルの時間があるからそれもわかるんですけど、
変更するならオーケストラも含めて
伝わってないといけないので、
「いや、いまでないと言えへんので、
もうちょっと言わせてください」と言って。 - 糸井
- おおお。
- 宮本
- そのときに、
うちのスタッフとかもそこにいるのに
誰もなにも言わないんですよね。 - 糸井
- はぁはぁはぁ。
- 宮本
- 観客として見てたら、わかるやろ、
ってぼくは思うんです。
それはなんとかせなあかんやろって。 - 糸井
- うーん、わかるけど、
ま、ふつう、できないね。 - 岩田
- (笑)
- 一同
- (笑)
- 宮本
- まぁ、あのピーンと張り詰めたリハーサルの席で、
どかどかっと舞台の方に行って、
あー、ちょっとちょっと、って言うのは、
ちょっと面の皮が厚くないと、
言えないかもわからない。 - 糸井
- うん(笑)。
- 宮本
- けど、一生懸命なら言えるやろうって。
- 岩田
- 「必死」なら。
- 宮本
- そうそう。
で、けっきょくその場で
ちょっとだけ修正を入れさせてもらったんですけど。 - 岩田
- いや、宮本さんのものづくりはね、
「共感のものづくり」であるっていうふうに
わたしはよく言うんですけど、正確に言うと、
「共感のものづくり」を
宮本さんは「必死」でやるんですね。 - 糸井
- ああ、そうですね。
- 宮本
- というよりも、
「共感」のところやからこそ、そうなんです。
「必死」じゃないと「共感」を得られないので。 - 岩田
- あーーー、
「必死にやらないと共感を生まない」。 - 糸井
- うん。そうだと思う。