『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』
第3回:「濃密な火山と敵モンスター」篇
- 岩田
- 火山では、どのようなネタが入っているんですか?
- 藤林
- 火山では「バクダン」がキーとなるアイテムなんです。
- 岩田
- 火山というフィールドに入って、
まず手に入るアイテムがバクダンなんですか? - 藤林
- そうです。
いちばん危ないもの同士がくっついてるのが、
ちょっと面白いんです。
火山は熱いところだから、
気をつけないとかんたんに暴発してしまうんですね。
しかも今回はダンジョンだけでなく、
フィールドでも溶岩が流れていたりもしますし、
安全に使わないと解けないネタもあるんです。
- 岩田
- バクダンだけに、
「取扱注意」ということなんですね(笑)。 - 藤林
- はい。で、今回のバクダンは上から投げるだけでなく、
下から転がすようなこともできるようになりましたので、
坂道を転がすこともできて、それがすごく楽しいんです。 - 岩田
- Wiiモーションプラス(※3)を使って
カーブもかけられますよね。
Wiiモーションプラス=ジャイロセンサーを内蔵した周辺機器で、Wiiリモコンに接続して使用する。
- 藤林
- はい。これまでのシリーズのバクダンは、
怪しい岩があったら、それを壊して先に進んだり
モンスターの口に放り込んで倒したりと
使い方が限られていたんですけど、
今回は投げるだけでなく
転がすというアクションが増えて、
それをWiiリモコンの角度によって
使い分けられるようになっているので、
ネタがどんどん拡がりました。
たとえば、どうやって対象物にバクダンを近づけたらいいのか、
そういったことを考えるだけでも
新しい遊びにつながっていったんです。 - 冨永
- それと、坂道を転がるのは
バクダンだけじゃないんですよね。 - 藤林
- そうなんです(笑)。
- 岩田
- 何が坂道を転がるんですか?
- 藤林
- 敵です。
- 岩田
- 敵、ですか?
敵キャラクターを担当したのは
木内さんですよね。
どんなことをしたんですか? - 木内
- シリーズでおなじみのボコブリンという
敵モンスターがいて、敵を倒すと
ふつうはその場でひっくり返って
ボンと爆発しておしまいなんですけど、
今回は転がしてみようと(笑)。
- 岩田
- 坂道があるから、転がるのが自然だということですか?
- 木内
- そうです。で、ボコブリンだったら
どんな転がりかたをして落ちていくんだろう?
ということで、いろいろ試してみて、
最終的には大車輪のように転がり落ちるようになりました。 - 冨永
- その転がっていく様が、
見ていてとても・・・カワイイんです(笑)。 - 岩田
- え、カワイイんですか?(笑)
- 木内
- はい(笑)。
なので、倒したあとも、
そのまま素通りせずに、
転がる姿をじっと見ていたくなります。 - 藤林
- その様を見たいがために、
わざと突き落としたりして(笑)。 - 木内
- あと、そもそもボコブリンは、坂道の途中にある
見張り台のような場所にいることが多いんですけど、
そこから矢を射ってきたり、
岩を投げつけてきたりするんですね。
で、リンクが「がんばりダッシュ」で坂を駆け上がったとき、
ちょうどその見張り台に手がかかることがあるんです。 - 藤林
- すると・・・リンクは両手でぶら下がった状態になります。
- 木内
- そこで、「よいしょっ」と
見張り台にはい上がろうとしたとき、
近くにいるボコブリンに見つかってしまうと、
サササッと駆け寄ってきて
リンクの手を足で踏もうとするんです。 - 岩田
- 手を足で? それはひどい(笑)。
- 木内
- で、リンクは滑り落ちちゃうと。
- 岩田
- なんだか・・・マンガのような展開ですね(笑)。
- 藤林
- ボコブリンに見つかったときは
「ふにゃ」と言うので、
「ああ、見つかってしまった」というのがわかるんです。
しかも、踏んづけられるときも、
ボコブリンがニヤッと笑ってるように見えるんです。 - 岩田
- 実際は笑ってないのに、ですか?
- 藤林
- はい、なぜかそう見えちゃうんです(笑)。
- 木内
- そこで、踏まれたら悔しいので、
なんとか反撃したいと思いますよね。
そんなときは、ボコブリンが岩を投げようと
頭の上に持ち上げたタイミングのときに、
ボコブリンに、パチンコを撃つといいんです。
すると・・・。 - 岩田
- 岩を頭の上に持ち上げているから・・・
ああ、はいはい(笑)。
- 木内
- そんなふうにやっつけることもできます。
あと、パチンコ以外でも、
そのときに持っているアイテムを使うと、
ボコブリンは予想外の反応をすることもありますので、
いろいろ試していただきたいですね。 - 岩田
- なんだか、ボコブリンは敵なのに、
今回は大活躍している印象ですねぇ。 - 冨永
- そうなんです。
これまでのボコブリンは、
単に剣を振ったり、弓矢で攻撃してきたりと、
リンクのじゃまをするだけの存在だったんですけど、
今回は“人間味”のあることを
いろいろやってもらっています。 - 藤林
- なので、ボコブリンにはいろんな種類がいるんです。
森に住むボコブリンは、とても原始的な姿なんですが、
砂漠に住むのは、スタイルも少し変わっていて、
ものすごく近代的な武器を持っていたりもします。 - 岩田
- へえ〜。
- 藤林
- で、ランタンを持って歩くヤツもいると思えば、
なかには電気でビリビリする剣を持ってるヤツもいて。 - 岩田
- そこにリンクが剣で斬りかかると
どうなるんですか? - 藤林
- 斬りかかった向きを
その剣でガードされてしまうと、しびれて
しばらくの間、動けなくなってしまいます。 - 岩田
- なるほど。
でも、そんなふうにボコブリンが多彩になったのは
どうしてなんですか? - 藤林
- 今回のプロジェクトでは、
たとえば「森」「火山」「砂漠」のフィールド別に
縦軸にグループをつくって、
それぞれが開発を進めていたんです。
でも、ボコブリンたちはどのフィールドにも登場しますので、
敵をつくるグループは横軸だったんですね。
で、「火山さんのボコブリンはこんなことするんですけど、
砂漠さんはどうしますか?」みたいな感じになりました(笑)。 - 木内
- すると「じゃあ、うちではこんなことを」みたいな感じで、
みんながいろんなアイデアを出してくれたので、
ボコブリンの面白さがどんどん上積みされて、
より個性的になっていったんです。 - 藤林
- 声もすごくいいんですよ。
さっきの「ふにゃ」の声も耳から離れませんし、
「にゃあ〜〜」と叫びながら
ロープから落ちていったりするんですけど、
これがまた、すごくいいんです(笑)。 - 冨永
- 何度も聞きたくなっちゃうくらい・・・
カワイイんですよ。 - 岩田
- なんだかボコブリンは、
ものすごく愛されていますねぇ(笑)。 - 冨永
- そうですね。
やっぱり、いろんな攻撃をしてくるので、
憎たらしいんですけど、でも憎めないというか(笑)。 - 木内
- そもそも、ボコブリンは
敵の第1号として生まれたキャラなんです。 - 岩田
- 最初につくった敵がボコブリンなんですか。
- 木内
- そうです。なので、
つきあいがいちばん長かったりするので、
そのぶん愛情をたっぷり注ぎ込むことができました。 - 岩田
- なるほど、よくわかりました(笑)。