『スーパーマリオコレクション スペシャルパック』
## サウンドトラックCD篇 横田 : いまの『マリオ3』の「アスレチックBGM」には
ちょっと思い出があるので語ってもよろしいでしょうか。 岩田 : はい、どうぞ。 横田 : 子どもの頃、この曲をピアノで弾こうとしたんですけど
自分では演奏できなかったんです。
♪タララ・タララ・タラ・タラタのあとに、
♪トゥワァ〜ンという音が入ってるんですね。 近藤 : ポルタメントです。 横田 : そうそう、ポルタメント。
連続的に音高をずらしていく奏法をポルタメントと言うんですが、
それがピアノで再現できなかったんです。 岩田 : 確かにピアノで弾くには向いていないですよね。 横田 : その♪トゥワァ〜ンという音が弾けなくて、
自分のなかで90パーセントの完成度のまま大人になっちゃったんです。 岩田 : (笑) 横田 : でもこの曲がすごく好きなので、
なんとか『マリオギャラクシー』で使おうと思っていたら、
この曲に向いているアスレチックなコースができたので、
♪トゥワァ〜ンの音もキレイにアレンジできて、
やっとこの曲との整理がついたんです。 岩田 : 長年の因縁に決着がついたんですね。 横田 : はい。やっと卒業できました(笑)。
ちょっと思い出があるので語ってもよろしいでしょうか。 岩田 : はい、どうぞ。 横田 : 子どもの頃、この曲をピアノで弾こうとしたんですけど
自分では演奏できなかったんです。
♪タララ・タララ・タラ・タラタのあとに、
♪トゥワァ〜ンという音が入ってるんですね。 近藤 : ポルタメントです。 横田 : そうそう、ポルタメント。
連続的に音高をずらしていく奏法をポルタメントと言うんですが、
それがピアノで再現できなかったんです。 岩田 : 確かにピアノで弾くには向いていないですよね。 横田 : その♪トゥワァ〜ンという音が弾けなくて、
自分のなかで90パーセントの完成度のまま大人になっちゃったんです。 岩田 : (笑) 横田 : でもこの曲がすごく好きなので、
なんとか『マリオギャラクシー』で使おうと思っていたら、
この曲に向いているアスレチックなコースができたので、
♪トゥワァ〜ンの音もキレイにアレンジできて、
やっとこの曲との整理がついたんです。 岩田 : 長年の因縁に決着がついたんですね。 横田 : はい。やっと卒業できました(笑)。
トラック04. Super Mario World / 地上BGM 近藤 : そして『マリオワールド』の「地上BGM」。
このときは『マリオ3』でいろんな曲を入れ込んだという反省から、
ひとつのテーマを、「地上」とか「地下」など
いろんなコースでアレンジして使おうと。
そうすると場面ごとに曲調が変わるけど、
メロディは同じだということで
耳にしっかり残るんじゃないかということでつくりました。 岩田 : 『マリオ3』の苦労があったから
その後のマリオミュージックの構造が決まったんですね。 近藤 : あと『マリオワールド』はスーパーファミコンでしたから、
8音が同時に出せるようになったのがすごくうれしかったんです。
そこで、いかにスーパーファミコンの良さを伝えようかというところで、
タイトルの曲で、いろんな楽器をいっぺんに
どんどん変えて出そうと、そういう曲にしました。 {:.border.border-radius width="250" height="150" loading="lazy"} 岩田 : 「スーパーファミコンではいろんな音が出るんだぞ」と、
ちょっとアピールしているんですね。 近藤 : そうです(笑)。ただここでも悩みがあって、
それまでのゲーム音楽と言うと、
矩形波とか三角波の電子音で認められたところがあったんです。 岩田 : ピコピコ音とか言われてましたね。 近藤 : その電子音が他の音楽とは違うという区別ができて、
自分でもそれがゲーム音楽だと思ってつくっていたんですけど、
スーパーファミコンになって、いろんな楽器が使えて、
いろんな音楽ができるというところで、
どういうところをゲーム音楽と言ったらいいのかと、
とても悩むようになってしまったんです。
そこで、『マリオワールド』をつくりながら考えたのが、
ふつうは聴かれないような楽器の組み合わせで、
それをゲーム音楽としようと。 岩田 : へえ〜っ。 横田 : ああ、なるほど。 近藤 : バンジョーがあるのに、ラッパがあったりとか。 横田 : 通常の楽器編成ではあまり見ないような・・・。 岩田 : ふつうは編成では組み合わせないような音を出していく・・・。
でもやっぱり毎回ユニークであろうとすることに関しては
近藤さんの曲づくりは徹底してますよね。 近藤 : 考えていないようで、考えているんです(笑)。 岩田 : (笑) 近藤 : あと効果音も、それまでのように
矩形波を使う手もあったんですけど、せっかくいい音になったので、
効果音の音階などはそのままにして、音色は楽器の音色を使うと。
たとえばジャンプ音はパンフルートの音ですし。 岩田 : パンフルートの音をゲーム効果音風に加工して使ってるんですね。 近藤 : そうです。 岩田 : だから、伝統の技術と新しい音色、
新しい素材のハイブリッドなんですね。 近藤 : そういう感じで『マリオワールド』の音をつくりました。
このときは『マリオ3』でいろんな曲を入れ込んだという反省から、
ひとつのテーマを、「地上」とか「地下」など
いろんなコースでアレンジして使おうと。
そうすると場面ごとに曲調が変わるけど、
メロディは同じだということで
耳にしっかり残るんじゃないかということでつくりました。 岩田 : 『マリオ3』の苦労があったから
その後のマリオミュージックの構造が決まったんですね。 近藤 : あと『マリオワールド』はスーパーファミコンでしたから、
8音が同時に出せるようになったのがすごくうれしかったんです。
そこで、いかにスーパーファミコンの良さを伝えようかというところで、
タイトルの曲で、いろんな楽器をいっぺんに
どんどん変えて出そうと、そういう曲にしました。 {:.border.border-radius width="250" height="150" loading="lazy"} 岩田 : 「スーパーファミコンではいろんな音が出るんだぞ」と、
ちょっとアピールしているんですね。 近藤 : そうです(笑)。ただここでも悩みがあって、
それまでのゲーム音楽と言うと、
矩形波とか三角波の電子音で認められたところがあったんです。 岩田 : ピコピコ音とか言われてましたね。 近藤 : その電子音が他の音楽とは違うという区別ができて、
自分でもそれがゲーム音楽だと思ってつくっていたんですけど、
スーパーファミコンになって、いろんな楽器が使えて、
いろんな音楽ができるというところで、
どういうところをゲーム音楽と言ったらいいのかと、
とても悩むようになってしまったんです。
そこで、『マリオワールド』をつくりながら考えたのが、
ふつうは聴かれないような楽器の組み合わせで、
それをゲーム音楽としようと。 岩田 : へえ〜っ。 横田 : ああ、なるほど。 近藤 : バンジョーがあるのに、ラッパがあったりとか。 横田 : 通常の楽器編成ではあまり見ないような・・・。 岩田 : ふつうは編成では組み合わせないような音を出していく・・・。
でもやっぱり毎回ユニークであろうとすることに関しては
近藤さんの曲づくりは徹底してますよね。 近藤 : 考えていないようで、考えているんです(笑)。 岩田 : (笑) 近藤 : あと効果音も、それまでのように
矩形波を使う手もあったんですけど、せっかくいい音になったので、
効果音の音階などはそのままにして、音色は楽器の音色を使うと。
たとえばジャンプ音はパンフルートの音ですし。 岩田 : パンフルートの音をゲーム効果音風に加工して使ってるんですね。 近藤 : そうです。 岩田 : だから、伝統の技術と新しい音色、
新しい素材のハイブリッドなんですね。 近藤 : そういう感じで『マリオワールド』の音をつくりました。
トラック05. Super Mario 64 / スライダー 近藤 : N64になると、3Dになるので
いままでの雰囲気とはガラッと変えなきゃいけません。
それまでと同じつくり方ではダメだと思いました。
しかもN64ですから、さらに音がよくなって
CDとかで聴けるくらいの音が出せるようになりましたので、
データの組み方という点では苦労もあったんですけど、
ベースはベース、ドラムはドラムでと、
本物の楽器を実際に弾いている感じでつくりました。 横田 : マリオの声が出るようになったのは
『マリオ64』からなんですよね。 近藤 : そうです。声を入れたほうがいいということで。
というのも、3Dになるとジャンプ音はぜんぜん合わないんです。
そこで、跳び立つ足の音と着地音を入れて、
声も出すようにしました。
なので、N64のときから大きく変わりましたね。
効果音に対する意識も。
いままでの雰囲気とはガラッと変えなきゃいけません。
それまでと同じつくり方ではダメだと思いました。
しかもN64ですから、さらに音がよくなって
CDとかで聴けるくらいの音が出せるようになりましたので、
データの組み方という点では苦労もあったんですけど、
ベースはベース、ドラムはドラムでと、
本物の楽器を実際に弾いている感じでつくりました。 横田 : マリオの声が出るようになったのは
『マリオ64』からなんですよね。 近藤 : そうです。声を入れたほうがいいということで。
というのも、3Dになるとジャンプ音はぜんぜん合わないんです。
そこで、跳び立つ足の音と着地音を入れて、
声も出すようにしました。
なので、N64のときから大きく変わりましたね。
効果音に対する意識も。
トラック06. Super Mario Sunshine / ドルピックタウン 近藤 : 次は『マリオサンシャイン』(※15)の「ドルピックタウン」。
ゲームキューブになって、さらに音源が進化して、
ギターの音とかも、けっこうきれいに出るようになったので、
それをうまく入れ込むようにしました。
あと、南の島が舞台になっていますけど、中南米や太平洋ではなく
ヨーロッパのリゾート地のイメージで、と言われてたんです。
そこで、その土地に合うような曲づくりをしました。 『マリオサンシャイン』=『スーパーマリオサンシャイン』。2002年7月に発売されたゲームキューブソフト。『マリオ』の3Dアクションゲーム。 {:.note-sm .faded title="※15"} 横田 : 近藤さん、すごく失礼な話ですけど、
この「ドルピックタウン」の自分なりの評価を話していいですか? 近藤 : はい。 横田 : わたしは「満点だ」と思いました。 近藤 : おお(笑)。 横田 : 自分は『マリオサンシャイン』が出た当時、
別の会社でゲーム音楽の仕事をはじめていたんですけど、
周りの人を呼んで、
「100点のゲーム音楽があるから聴いてみろよ」と言って、
みんなに聴かせたくらいなんです。
「この音数の少なさで、この世界観や水をまく楽しさが、
全部凝縮された音楽なんだよ、これは!」ということを力説していました。 {:.border.border-radius width="250" height="150" loading="lazy"} 岩田 : 横田さんは、気に入った曲があると、
人に聴かせないと気が済まないタイプなんですね(笑)。 一同 : (笑) 横田 : そのくらい、この「ドルピックタウン」の曲には
ゲームの世界が全部入っていると思いましたし、
そのことをいつか近藤さんに言いたかったんです。 近藤 : ああ、ありがとうございます。 横田 : しかも、社員としてではなくて、
いちゲーム音楽ファンとして言いたかったんです。 岩田 : 上司へのヨイショじゃないんですね(笑)。 横田 : ないですないです(笑)。
ゲームキューブになって、さらに音源が進化して、
ギターの音とかも、けっこうきれいに出るようになったので、
それをうまく入れ込むようにしました。
あと、南の島が舞台になっていますけど、中南米や太平洋ではなく
ヨーロッパのリゾート地のイメージで、と言われてたんです。
そこで、その土地に合うような曲づくりをしました。 『マリオサンシャイン』=『スーパーマリオサンシャイン』。2002年7月に発売されたゲームキューブソフト。『マリオ』の3Dアクションゲーム。 {:.note-sm .faded title="※15"} 横田 : 近藤さん、すごく失礼な話ですけど、
この「ドルピックタウン」の自分なりの評価を話していいですか? 近藤 : はい。 横田 : わたしは「満点だ」と思いました。 近藤 : おお(笑)。 横田 : 自分は『マリオサンシャイン』が出た当時、
別の会社でゲーム音楽の仕事をはじめていたんですけど、
周りの人を呼んで、
「100点のゲーム音楽があるから聴いてみろよ」と言って、
みんなに聴かせたくらいなんです。
「この音数の少なさで、この世界観や水をまく楽しさが、
全部凝縮された音楽なんだよ、これは!」ということを力説していました。 {:.border.border-radius width="250" height="150" loading="lazy"} 岩田 : 横田さんは、気に入った曲があると、
人に聴かせないと気が済まないタイプなんですね(笑)。 一同 : (笑) 横田 : そのくらい、この「ドルピックタウン」の曲には
ゲームの世界が全部入っていると思いましたし、
そのことをいつか近藤さんに言いたかったんです。 近藤 : ああ、ありがとうございます。 横田 : しかも、社員としてではなくて、
いちゲーム音楽ファンとして言いたかったんです。 岩田 : 上司へのヨイショじゃないんですね(笑)。 横田 : ないですないです(笑)。
トラック07. New Super Mario Bros. / 地上BGM 近藤 : 次はDSの『Newスーパーマリオ』(※16)の「地上BGM」。
実はこの曲、もともとは他の担当者がつくっていたんですけど、
「これはちょっと『マリオ』と違うんじゃないか」と
別のスタッフから言われたこともあって、
僕がつくりなおすことにしたんです。 『Newスーパーマリオ』=『Newスーパーマリオブラザーズ』。2006年5月に、ニンテンドーDS用ソフトとして発売されたアクションゲーム。 {:.note-sm .faded title="※16"} 横田 : 正直に言いますと、この曲を初めて聴いたとき、
伝統的なマリオミュージックの世界観を
誰かがマネしてつくったのかなあと感じた曲なんです。
だけど、近藤さんの曲なんですよね。 近藤 : そうです。
『Newスーパーマリオ』は昔と同じ横スクロールなんですけど、
キャラクターが3Dになったり、携帯機になったりしたので、
僕としては、どう変えたらいいのかと
悩みながらできあがっていったと・・・。 岩田 : 伝統的な横スクロールの『マリオ』なんですけど、
“New”らしさも出さないといけないというところで
近藤さんは悩んでしまったんですか。 近藤 : そうです。
前の曲とどう変えたらいいのかなと、すごく悩みました。
でも、他の曲は別のスタッフが担当したんですけど、
けっこう“New”という感じで、DSの音色も、
小さいスピーカーからきれいな音が出せるように工夫していましたし、
全体的なまとまり方はよかったかなと思っています。 [6. 近藤浩治のCD収録曲解説(3)](/others/interviews/jp/wii/svmj/vol1/6/) {:.read-more}
実はこの曲、もともとは他の担当者がつくっていたんですけど、
「これはちょっと『マリオ』と違うんじゃないか」と
別のスタッフから言われたこともあって、
僕がつくりなおすことにしたんです。 『Newスーパーマリオ』=『Newスーパーマリオブラザーズ』。2006年5月に、ニンテンドーDS用ソフトとして発売されたアクションゲーム。 {:.note-sm .faded title="※16"} 横田 : 正直に言いますと、この曲を初めて聴いたとき、
伝統的なマリオミュージックの世界観を
誰かがマネしてつくったのかなあと感じた曲なんです。
だけど、近藤さんの曲なんですよね。 近藤 : そうです。
『Newスーパーマリオ』は昔と同じ横スクロールなんですけど、
キャラクターが3Dになったり、携帯機になったりしたので、
僕としては、どう変えたらいいのかと
悩みながらできあがっていったと・・・。 岩田 : 伝統的な横スクロールの『マリオ』なんですけど、
“New”らしさも出さないといけないというところで
近藤さんは悩んでしまったんですか。 近藤 : そうです。
前の曲とどう変えたらいいのかなと、すごく悩みました。
でも、他の曲は別のスタッフが担当したんですけど、
けっこう“New”という感じで、DSの音色も、
小さいスピーカーからきれいな音が出せるように工夫していましたし、
全体的なまとまり方はよかったかなと思っています。 [6. 近藤浩治のCD収録曲解説(3)](/others/interviews/jp/wii/svmj/vol1/6/) {:.read-more}