ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン
1. 「寝っ転がってレベルアップ」
2. 世代を超えて
3. 「人とちがったことがしたい」
4. 「その向こう側に意思がある」
5. 「大型アップデートは最大のお祭りである」
6. 遊びの環境の幅
3. 「人とちがったことがしたい」
- 岩田
- 『X』のお話を訊くのは2度目ですので、
今回は大型アップデートに関してのお話も
お訊きしたいですね。
これまでWii版では大きく3度の
バージョンアップがありましたが、
どういった方向性で行っているんですか? - 藤澤
- 発売して間もなかったときは、
レベル上げして、シナリオをクリアして、
最後のボスを倒しに行くという
いわば、いつもの『ドラゴンクエスト』の
一式はそろっていたんですが、
その状態ではまだオンラインとして、
「プレイヤーさんが自由に工夫して何かをできる余地」
みたいな部分は、十分ではなかったんですね。 - 岩田
- はい。
- 藤澤
- そこに対してプレイヤーのみなさんから、
「もっとこういう遊びがしたい」という意見を
たくさんいただいて、それを検討しつつ、
7か月かけていまのような、
「プレイヤーさんがもっと自分の個性を
その世界で表現できる仕組み」を
段階的に盛り込んでいった感じです。 - 岩田
- ああ、だから最近のアップデートでは
個性を立たせるところに着目した
コンテンツが盛り込まれてきたんですね。 - 藤澤
- そうですね。
冒険以外の要素として、自分の家を持てたり、
バージョン1.2ではドレスアップ屋、
バージョン1.3では装備のカラーリング(※14)ができたりと、
自分の見た目をガラッと変えられる仕組みにも
力を入れて、ほかのプレイヤーと差別化ができることにも
注力していきました。
装備のカラーリング=頭、体上、体下、腕、足装備と、一部の顔アクセサリーの色を20色の中から好きな色に変更できる。
- 岩田
- 遊びの幅をちがう方向にも広げて、
こだわるポイントが
選べるようになったんですね。 - 藤澤
- はい。ただRPGとしては、
そこは本質ではないとは思うんですよ。
でも・・・。 - 岩田
- でも、RPGが社会性を持った瞬間に、
その意味がまったく変わってくるんですよね。 - 藤澤
- まさにそうです(笑)。
じつは僕たち開発側としては、
「プレイヤーが自分の個性を楽しむ仕様は
もう少しあとでもいいんじゃないか」
と考えていたんですけれど、
いまのプレイヤーの声を総合していくほど、
「これは急いで実装するべきだ」と
少し早めて盛り込んでいるものなんです。 - 岩田
- それは、プレイヤーのみなさんの要望が、
具体的にどんどん出てきたということですか? - 藤澤
- そうですね。
ひととおりゲームをクリアしたあと、
「人とちがうことをしたい」という声が、
とても多かったんです。
人とちがうということは、言い換えると
「その世界に自分がいるということを表現したい」
ということなんですね。 - 齊藤
- とにかく自分たちが思っている以上に、
プレイヤーのみなさんの
いろいろこなしていくスピードが速くてですね。
やっぱり、集団のスピード感ってすごいんです。 - 岩田
- みんなが協力しあうと、あっという間に
あらゆることがこなされていくって感じが、
あるんでしょうね。 - 齊藤
- ありますね。
もう、驚きのスピードです(笑)。
- 藤澤
- そのスピードを実際目の当たりにしたので、
自分たちがどのくらいのペースで
ものをつくっていく必要があるか、
逆に決まってきたわけです。 - 岩田
- なるほど。
はじめてのオンラインですし、
最初はやっぱり
予想できないことだらけですよね。 - 藤澤
- はい。最初の大型アップデートである
バージョン1.1から1.2につながるあたりは、
実際にプレイヤーの方から
「やることがなくなってしまいました」
という声もあがっていました。
ですから1.2以降は
「じっくり遊べて、満足感を得られるコンテンツ」を
テーマに立てて、1.3でようやく、
かなりやりこんでいるプレイヤーでも、
「やることがない」という状態は
回避できていると思います。 - 齊藤
- 本当に、一緒に育つ感じですね。
でもそのバランスが本当に難しくて、
多くしすぎてしまうと、
ついて行けない人も出てきますから。 - 岩田
- いや、そうですよね。
「要素が増えてわからなくなってしまう」
ということはたぶん、
堀井(雄二)さん(※15)がいちばんやりたくない
ことなわけですからね。
堀井雄二さん=『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親。
- 齊藤
- そのとおりです。もちろん、
プレイヤーがだいたいどのレベル帯で、
どこにどういう人がいるというデータは
持ってはいるんですけれど、
すべての方に平均して
満足してもらうということは難しいので、
ある程度絞り込んでバランスをとっています。 - 岩田
- お客さんの声をぜんぶ
取り入れられるわけではないですからね。
そこの取捨選択は、
どのようにされているんですか? - 藤澤
- まず、僕も齊藤もゲームの中に入って、
プレイヤーと同じ視点、同じ温度感を持って
みなさんがどんなことを気にされているのかを
体感することからです。 - 岩田
- おふたりは遊び手としては
どのくらいプレイされているんですか? - 藤澤
- 自分はいま500時間くらいです。
ちょうど『ドラクエIX』(※16)のプレイ時間を
超えましたね(笑)。
齊藤さん、どのくらいやってます?
『ドラクエIX』=『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』。2009年7月にニンテンドーDS用ソフトとして発売された、シリーズ9作目。
- 齊藤
- うーん、1000時間くらいはやってるけど。
- 藤澤
- ちょっとやり過ぎじゃないですか(笑)。
- 齊藤
- いや、まだぜんぜん足りてないと思う。
- 岩田
- まあ、普通のストーリーで遊ぶゲームは、
1000時間遊び続けられないですよね。
それはやっぱり、人がいてこそなので。 - 齊藤
- プレイヤーの意見を聞くという意味では
あともうひとつ、「目覚めし冒険者の広場」という
『ドラゴンクエストX』の
公式コミュニティサイトがあるんですけど、
そこで藤澤がプレイヤーからの要望を聞いて、
実現可能かどうかといったことを
答えたりしています。 - 岩田
- プレイヤーと直接キャッチボールして
「つくり手としてはこう考える」
ということをしっかり伝えているわけですね。 - 藤澤
- そうですね。たとえばいいアイデアでも
それが実現できない場合は
できないからと無視するのではなくて、
なぜそれが難しいのかをちゃんと説明することで、
納得していただけるケースが多いです。
もちろん、すべてに回答できるわけではないんですが。 - 岩田
- プレイヤーが不満に思っていることを
そのままにしておくと、それがほかのプレイヤーにも
伝わってしまいますからね。 - 藤澤
- オンラインサービスはそれがいちばん怖いので。
不満の気持ちとていねいに向きあって
ケアすることが、大事なことだと思っています。
- 齊藤
- と言いつつ、最近ちょっと
お返事が滞っていますよね。
そろそろ更新しないと・・・! - 藤澤
- すいません(笑)。
本当に自分が見て回答をしているので、
バージョンアップ前など、
時間が確保できない時には
ときどき返答が止まってしまうんですが、
それでも、ちゃんと見ていますので。
これからまた可能な限り、お答えしていきます。