『スーパーマリオ 3Dワールド』
1. 「全部入れよう」
2. 「機能が先」
3. 「生理的に心地いい」
4. 時間が解決したこと
5. マルチプレイの原点
6. 「『3Dワールド』でないと意味がない」
7. 3Dマリオの集大成
7. 3Dマリオの集大成
- 岩田
- 小泉さん、あえてお訊きしますが、
「据置機のマリオは『マリオギャラクシー』のほうがいい」
という方には、なんと答えますか? - 小泉
- そうですね・・・。
まずは「ありがとうございます」ですよね。 - 岩田
- もちろんありがたいことですよね。
自分のチームでつくったわけですから(笑)。 - 小泉
- あの、直接の答えには
ならないかもしれないんですけど、
自分的に、『マリオギャラクシー』をつくったときの
心残りがいくつかあって、
今回の『3Dワールド』では、
それを叶えることができたと思ってるんです。
- 岩田
- 心残り、ですか?
- 小泉
- ひとつは『マリオ64』までさかのぼるんですが、
最初のプロトタイプをつくったとき、
平べったい地形に、マリオとルイージがいたんです。 - 岩田
- 2人いたんですね。
- 小泉
- はい。それで動かしていたんですけど、
地形をつくるときに
当時のハードの処理能力の限界から、
「ルイージを残すか、地形をつくり込むか」
という選択になって・・・。
その時、泣く泣くルイージに
退場いただいた経緯があるんですね。 - 岩田
- ああ、そうだったんですね。
- 小泉
- その時、宮本さんとは
「いつか3Dマリオでマルチプレイをやるとき
ルイージも一緒に出そう」
という話をしていて、
それを15年ぐらい、ずっと思っていたんですね。 - 岩田
- はい。
- 小泉
- その後ルイージは『マリオギャラクシー』でも
登場してはいるんですが、
お兄ちゃんと一緒に駆け回るというより
ちょっと軸がちがう扱いになってしまって。
それが今回ようやく、マリオと同じコースに立って、
「ルイージいいじゃん」って
言ってもらえるようなキャラクターができて。
それがすごくよかったなあと思っています。 - 岩田
- 3Dマリオで、ルイージをマリオと
絡ませてやりたかったんですね。 - 小泉
- はい。もうひとつは『マリオギャラクシー』シリーズの
反省でもあるんですが、
あの青い宇宙のビジュアルイメージや
タイトルから受ける印象は、
結果的に男の子を向いていたものに、
なっていたと思うんですね。
身近、たとえばうちの妻にも
気軽に手に取って遊んでもらうためには、
やっぱりマリオ以外にも選びたくなる
キャラクターが必要だと感じていたんですね。
それで今回、ピーチ姫を迎えて、
女の子キャラクターで遊べるようにできたことで、
自分の中で欠けていたピースを
埋められたような、気持ちがあるんです。 - 岩田
- 長年の胸のつかえがとれた感じですか?
- 小泉
- はい、そこで宮本さんから
「新しい3Dマリオの完成型」と
言っていただけるのはすごくありがたくて。 - 岩田
- つくってる側としては、
すべてつながっている、同じものなんですよね。 - 小泉
- そうですね。『マリオギャラクシー』で培った
テクノロジーは活かされていますし、
そこから生まれたロゼッタやキノピオ隊長といった
顔ぶれも新たな活躍を見せてくれますし。
より多くの人に遊んでもらうために、
そのための軸を選んだ形が『3Dワールド』なので、
それは、僕自身でも、これが3Dマリオの
現時点での集大成だと思っています。 - 岩田
- はい。
- 宮本
- ファンの方に誤解なきよう伝えたいのは、
『マリオギャラクシー』を今後つくらない、
というわけではないんです。 - 小泉
- そうですね。
今回『3Dワールド』をつくりはじめるとき
最初に宮本さんから、
「『ギャラクシー』系なの? 『3Dランド』系なの?」
って聞かれたんですけど、
僕たちとしては『3Dランド』をつくる時点で
いまの形を見据えていたので、
そこを迷いなくつくってきた流れなわけです。 - 宮本
- 同じチームで両方同時にはつくれないですからね。
セカンドパーティに協力をお願いして、
『マリオギャラクシー』のお題だけで
発注するわけにはいきませんから。
もちろん東京で両方つくれればいいんですけど、
新しいこともやりたいので、
そこの悩みはありますけどね。 - 岩田
- まあ、ユニークで自由度の高いことと、
わかりやすさというのは、
つねにてんびんにかけられているわけで。 - 宮本
- 僕自身は『マリオギャラクシー』はもっと
いろんなことにチャレンジしていく流れで、
2Dマリオはある程度の制限の中で
わかりやすく工夫されるものという住み分けで、
続けていきたいと思っています。 - 岩田
- どちらにしても『マリオギャラクシー』ファンから見て
今回の『3Dワールド』が別物で、
楽しめないかというと、
そんなことはぜんぜんないですからね。
では最後に、
みなさんからお客様にメッセージをお願いします。
まずは元倉さんから。 - 元倉
- 今回は本当に、
多くのスタッフのアイデアを詰め込みました。
いろいろなお客さんに遊んでいただけるように、
ネコマリオのアクションや、
新しいコースセレクトなどにも
自由度を持たせてあります。
誰もが楽しめる3Dマリオですし、
『3Dランド』が好きな人にも
『マリオギャラクシー』が好きな人にも
ぜったい楽しめる内容になってると思いますので。
ぜひ、手に取っていただきたいなと思います。
- 岩田
- はい。林田さん。
- 林田
- はい。僕が言いたいことは
元倉さんとほぼ同じなんですけど、
つくってる最中から、
「なんか八方美人だね」って、言ってたんです。
いろんな角度から見たら
それぞれ別の顔があるような感じで。
- 岩田
- 八方美人って一般的には
悪い意味なんですけど、逆に
「いい意味でとらえてもらえる八方美人」
ということなんですかね。 - 林田
- 本当に間口は広く、でも奥深くて、
何度でも遊べる内容になったと思います。
あとひとつだけ、今回はサウンドを一新して、
ビッグバンド編成(※25)の生演奏や
バリエーション豊かに、尺八や三味線といった
ちょっと変わった楽器の演奏も取り入れています。
日本の超一流のミュージシャンが集まった
ぜいたくな生音をゲームに使っていますので、
ぜひ注目してもらえればと思います。
ちなみに、クラブニンテンドー(※26)で
全77曲入りのサウンドトラックの
優待交換キャンペーンも行いますので、
ぜひご興味のある方は聴いていただきたいです。
ビッグバンド編成=トランペット、トロンボーン、サックス、ドラムなどの楽器を、大人数の編成で演奏するジャズの一形式。
クラブニンテンドー=日本では2003年からはじまった、任天堂の無料の会員制ポイントサービスのこと。対象のゲームソフトやゲーム機を購入し、シリアルナンバーをインターネットで登録したり、プレイ後、アンケートに回答するとポイントが加算され、ポイント数に応じて非売品のオリジナルグッズと交換ができる。
- 岩田
- はい。小泉さん。
- 小泉
- さっき「胸のつかえがとれた」という
話をしましたけど、『3Dランド』から
「遊ばれているお客さんが目に見えて変わった」
という声もいただいているんです。
- 岩田
- 「3Dマリオはわたしはだめ」
という方は、減っていますよね、確実に。 - 小泉
- はい。今回その方たちに
さらにもう一歩進んでもらうために
豊かなネタも含めた遊びを用意しましたので、
ぜひ遊んでみてもらえればと思います。
何よりいちばん大きいことは、
キャラクターの選択性や王道感が増して、
「そばにいる人に声をかけやすくなった」
ことだと思うんですよ。
『マリオギャラクシー』シリーズでも
アシストプレイ(※27)などはできたんですが、
今回はもっと直接的に一緒に楽しめます。
アシストプレイ=Wiiリモコンを使い、マリオを操作するプレイヤーに協力ができるシステム。
- 岩田
- 「まざってもらおう」みたいな感じですね。
- 小泉
- 同じ場面で同じ感覚で遊べるツールとして
気軽にさわってもらえたらうれしいです。 - 岩田
- はい。最後に宮本さん。
- 宮本
- 楽しいことがたくさん詰まっているので、
毎日電源を入れて遊んでもらえたらいいなあと。
Wii U GamePadでのプレイは、
ひざの上に置くとか、楽なスタイルで
試してもらったらうれしいですね。
3Dマリオならではの楽しさを、味わってください。
- 岩田
- 密度と、物量と、一つひとつのリッチさ。
そういう部分では
「このチームにしかつくれないものができたな」と
強く感じています。
従来から3Dマリオが好きだった人も、
3Dマリオはそんなに遊んでないけれど
映像などをご覧になって興味を持たれた方にも、
必ず楽しんでもらえると思います。
いろんな人に、いろんな形で用意されていて、
そういう意味では
「よくここまでおもてなしを詰め込めたなあ」
とも、思っています。
いろんな角度でそれを味わって、
いろんな発見を、ぜひMiiverseで
自慢していただきたいですね。
- 宮本
- ハンコもぜひ、活用してみてください。
- 岩田
- はい。ありがとうございました。
- 一同
- ありがとうございました。