「フィットメーター」
1. はじまりは“遠足”から
2. 歩数計から活動量計へ
3. 測定地獄
4. テレビの前にいなくても
4. テレビの前にいなくても
- 岩田
- 実際にフィットメーターと
『Wii Fit U』がリンクしてみて、
どんなふうに感じましたか? - 林
- 「ゲームをしているとき以外も
ゲームのことを感じている」といいますか、
いま、フィットメーターに記録をためていることが
常にゲームとリンクしていることに
ちょっと不思議な感じがします。
- 岩田
- フィットメーターのデータを転送するとき、
貯金箱に貯金が貯まるように
1日の活動量がたまりますからね。 - 林
- そうなんです。
手もとで押したら金貨が飛んでいくように
「チャリンチャリン」と音が鳴るのが
移動感があっていいなぁと思います。 - 岩田
- 実際に、手もとからものが飛んでいく感が
あるんですよね。 - 松永
- はい。そこが『Wii Fit U』でもともと
つくっていた演出とうまく結びついたと思います。
フィットメーターと『Wii Fit U』がつながったとき、
僕もすごく手ごたえを感じたんですよ。
データは最大1か月分ためられるんですが、
1週間のグラフをならべてみて、
平日と休日で行動がぜんぜん違うことが
わかって印象的でした。
- 岩田
- やっぱり自分の活動を
振り返れることが楽しいんでしょうね。 - 林
- あと、消費カロリーを
1分ごとにグラフで確認でき、
階段の上り下りや歩行も色分けされますから
パッと見てわかりやすいです。
何日か分、ためて送ると
「そういえばあの階段を上ったなあ」
って思い出せるので
ちょっとした“脳トレ”にもなります。 - 岩田
- 『Wii Fit U』で“脳トレ”ですか(笑)。
- 林
- はい(笑)。一昨日の晩ご飯を思い出すように、
自分の行動を思い返すのは、けっこう楽しいと思います。 - 岩田
- 『Wii Fit』がテレビの前にいるときだけやる
というものではなくなったことが、
大きなポイントなんでしょうね。
杉山さんは、どう感じましたか? - 杉山
- 残念ながらフィットメーターで
自転車に対応することはできなかったんですが、
山に登ったときに、山の稜線(※16)が
気圧センサーで出ることが最初の目標だったので
きちんと出てほっとしました。
稜線=山の峰から峰へ続く線のこと。尾根。
- 岩田
- はい(笑)。
- 杉山
- あと、開発終盤に「フィットメーターチャレンジ」
という仕様を追加したんですが
これはフィットメーターで測定した
「歩いた距離」や「登った高さ」の分だけ
各都市のジョギングコースを走ったり
有名な山を登ったりすることができるというものです。
これ、無性に進めたくなるんですよ。 - 岩田
- 目標が提示されると、人は俄然ムキになりますからね。
そういえば、「いまは地上にいるからここを0mとする」
という操作もありましたよね。 - 松永
- はい、高低差を気圧センサーで計っているので
環境の変化によって気圧に誤差が出てしまうため
いつでもリセットできるように入れました。 - 岩田
- たしかに、気圧センサーですから
高気圧や台風などの“天気”にも
影響を受けてしまうこともあるんですね。 - 林
- はい。それにこれはもともと杉山さんの提案で、
「山を登る前に0mにもどしてから登りたい!」
って言うんで、仕様変更して入れていただきました。 - 岩田
- それも仕様変更だったんですか。
- 杉山
- あとから言ったので、だいぶ怒られましたが・・・。
- 林
- ちなみに気圧のことがわかっていれば、
たとえば自分が動いていないのに
高度が上昇している場合は
「低気圧が近づいてきたんだな」
とわかるようになります。
台風のときなどは、
100mくらい高度が変化していました。
あと地下鉄の駅に着いたときとトンネルを
通過しているときとで気圧が大きく変化するので、
乗り降りした駅の分だけ気圧に山ができます。
グラフで見ると、地下鉄で何駅進んだか
だいたいわかるんですよ。 - 岩田
- へえー、何駅かわかるくらいの変化があるんですね。
わたしは、海外出張で飛行機に乗ることが多いのですが、
飛行機から降りてフィットメーターを確認したときに、
画面にきれいな気圧の山のグラフができていて
非常に面白かったです。
これを読んだ方は、ぜひ気圧の変化にも注目してください。 - 林
- そうですね(笑)。
- 岩田
- ところで北堂さんは、
フィットメーターがゲームとくっついた
状態をご覧になって、
どんな印象をお持ちになりましたか? - 北堂
- 1日の足りない活動量を
ゲームで楽しく消費しようという点が
「いい使い方だなぁ」と思いました。
ふだん、我々がつくる活動量計には
ゲーム的な機能がないので
「あと30分歩いてください」という
アドバイスくらいしかできないですから。
あと、フィットメーターに
Miiの似顔絵が出るのはすごくいいと思います。
- 岩田
- 「自分のもの」という感じになりますからね。
遠山さんはいかがですか? - 遠山
- いちばんの違いは、やっぱり見せ方や形の違いです。
途中で追加された「相性診断」という機能に至っては
発想自体、我々には思い浮かばないですから
勉強になりました(笑)。 - 岩田
- 「相性診断」とはどういう機能ですか?
- 松永
- フィットメーター同士をかざして通信させると
「相性診断」ができるんです。
お互いの過去24時間の行動パターンを比較して
似通っているほど相性が上がります。 - 岩田
- ああ、同じパターンで生活している人同士ほど
相性がいいということですね。 - 松永
- はい。行動パターンが似ているご夫婦や
毎日いっしょに散歩するペットの犬などは
同じ行動パターンである確率が高いので、
相性が高くなります。 - 遠山
- あっ、犬の話もおどろきました。
フィットメーターは犬にもつけられるんですけど
犬の活動量の単位が「ワンワン」とは!(笑)
我々からしたら、考えもつかないですよ。
(北堂さんに向かって)ねぇ・・・?
- 北堂
- ええ(笑)。
- 岩田
- 犬の場合は正確な消費カロリーが計れないので
「ワンワン」という単位で呼ぶんですね。 - 松永
- はい。もっとかっこいい案も出たんですけど
「気楽にワンワンがいいよね」
みたいな感じで決まりました(笑)。 - 林
- そうですね、気楽に。
- 松永
- はい。
- 岩田
- うん・・・。
- 一同
- (少し沈黙のち、爆笑)
- 遠山
- いやいや、我々の社内なら
「どうやって企画を通そう、これ!?」って。
だって・・・ワンワンですよ? - 北堂
- 無理です。企画が通りません(笑)。
- 岩田
- お互いにカルチャーショックを
受けあっているさまが面白いですね(笑)。
でも、この出会いがなければ
『Wii Fit U』はこの形になっていませんし、
市販の活動量計とはひと味違った
フィットメーターには、なっていなかったと思います。 - 遠山
- そうですね。
- 岩田
- いろんなところに持っていっていただいて
テレビの前にいないときにも
どれくらいカラダを動かせているかを自覚してもらえると、
『Wii Fit』はちょっと新しいものに変わるかな
という感じがしています。
今日はご足労いただきありがとうございました。
- 一同
- ありがとうございました。