『Wii Sports Club』
1. 「早くWii Uで遊びたい」
2. “おらがクラブ”の戦いに
3. 悔しがる対戦相手のMii
4. よりリアルなテニスに
5. いつの間にかやってくる
3. 悔しがる対戦相手のMii
- 岩田
- それ以外にはどのような仕組みがあるんですか?
今回、プレイ中の画面にコメントが出たりするんですよね。 - 嶋村
- はい。「応援コメント」という
ほかの人からのMiiverse投稿が表示できる仕様になっています。 - 岩田
- それは人を応援するために書くんですか?
- 嶋村
- はい、そうです。
事前にそういうメッセージを書いておくと、
たとえば「ボウリング」を
リビングで、1人プレイで遊んでいても、
ストライクをとったときに
僕が入っている京都クラブの人から
「ストライク、おめでとう!!」
とか、言ってもらえるんです。 - 岩田
- ひとりで遊んでいても
同じクラブの人からほめてもらえるんですね。 - 嶋村
- そうなんです。難しいスペアをとったときは、
「わあ、よくとったなあ!」とか・・・。 - 岩田
- 状況に応じて、
コメントが変わるのはおもしろいですね。
コンピューターではできない、
生身の人間の意思が感じられますし。 - 嶋村
- しかも手書き文字ですから、
Miiverseがすごく活きていると思います。
もちろんWii U GamePadを使って、
キーボード入力することもできるんですけど、
たとえば「ストライク、おめでとう!!」
という手書きの文字の横に
ボウリングのピンの絵が描いてあるだけでも
すごくうれしくて・・・。 - 岩田
- 応援してくれる人の気持ちや
体温が感じられるんですね。 - 嶋村
- そうなんです。
そのようにひとりで遊ぶときも、
Wii Uをインターネットにつないでおけば
地域の仲間が応援してくれます。
ほかにも、Miiverseを使った
「ちょこっとメッセージ」 という
コミュニケーション機能も用意しています。
インターネットで人と対戦をするときに、
事前に十字ボタンにメッセージを登録しておけば、
「絶対にストライクをとるぞ」とか、
「おれのサーブを受けてみろ」みたいに、
ひとこと言ってからプレイに入ることができます。
ただ、それをリアルタイムの
チャットのようなものにしようとすると・・・。
- 岩田
- プレイが中断してしまいますよね。
- 嶋村
- そうなんです。
それに人によっては不快に感じるようなことを
書かれないとも限りませんので、
まず最初に、Miiverseに投稿していただいて、
その1時間後に使えるようにしました。 - 岩田
- 不適切なコメントが
出にくいような仕組みになってるんですね。 - 嶋村
- はい。なかには親御さんが
自分のお子さんに遊ばせようとするときに、
何を言われるかわからない
というご心配もあると思いますし、
この『Wii Sports Club』で
はじめてネットワークゲームをプレイされる方が、
イヤな思いはしてほしくない、
という想いから、そのような仕様にしました。
その「ちょこっとメッセージ」も
のちほど見ていただきます。 - 岩田
- 楽しみです(笑)。
- 嶋村
- あと、これは開発中に
みんなで話していたことなんですけど、
『Wii Sports』の「テニス」は、
プレイヤーの移動がオートになっていますので、
「もしかして戦っている相手はコンピューター?」
と思われてしまうのがいちばん損だなあと。 - 岩田
- でも、いまの「ちょこっとメッセージ」で
人と遊んでいる感が出るようになったんですね? - 嶋村
- はい。でも、それだけでなく
試合をしている相手が人だと感じていただけるよう、
意識的にそのような仕様を入れることにしました。
たとえば「テニス」の場合、
Wiiリモコンプラス対応になったことで、
ラケットを・・・(手をくるくる回して)
こう動かすだけで、画面の中のMiiも
同じ動きをするんです。 - 岩田
- あ、そういうのも見えるんですか?
(同じように手をくるくる回して)
相手がこうするのが、見えるんですね。 - 嶋村
- はい、ちゃんと見えます。
それで、いつものコンピューターの動きとは
Miiがまったく違う動きをするので、
相手が人だということが感じられるんです。
たとえば、自分が打ったスマッシュが
相手のコートのコーナーギリギリに決まったときに、
対戦相手が悔しがってるのもわかりますし(笑)。 - 岩田
- ああ、相手がラケットをぶんぶん振って、
地団駄を踏んでる感じが見えるんですね(笑)。 - 嶋村
- そうなんです。
もしボタンで遊ぶゲームだったら、
ボタンでモーションが出るだけなんですけど、
『Wii Sports Club』の場合は、
Wiiリモコンプラスを動かしたとおりに
ラケットも動きますので、
「悔しがってる」っていうのが伝わってくるんですよ。 - 岩田
- それは、相手が人間という感じがしますね。
- 嶋村
- ですから、
インターネット対戦のテストをするときは
いつもニヤニヤしていました(笑)。 - 鈴木
- ホントにそうですね(笑)。
嶋村さんの仕事場は本社ですけど、
僕らふたりは京都リサーチセンター(※9)ですので、
いつもインターネット対戦していたんです。
京都リサーチセンター=京都市東山区にある任天堂旧本社の施設の呼称。現在は企画開発部(一部)とマリオクラブ株式会社のスタッフの職場がある。
- 嶋村
- 仕事場が離れているので、
仕事上のやりとりをするのは
ちょっと大変だったんですけど、
逆にネットワークゲームをつくるうえでは、
いい環境にいたと思います。 - 岩田
- ふつうは、チームは同じ場所にいたほうが
うまくいくことが圧倒的に多いんですけど、
今回は珍しいケースですね。 - 嶋村
- 相手の声が聞こえない
離れた場所で遊んでいても、
「おもしろいものはおもしろいんだ」という
手ごたえをすごく感じることができましたし。
それに「ちょこっとメッセージ」で・・・。 - 牧野
- いろんなことを書き込んで・・・。
- 鈴木
- 好き勝手書いてましたよね(笑)。
- 嶋村
- 対戦する前は
「今日はどんなコメントを仕込んでおこうかな」
と考えるだけでも楽しかったですから。 - 岩田
- そのように、離れた場所で
同じソフトを開発しながら、
インターネット対戦が快適に遊べることを
自ら体験することができたんですね。 - 嶋村
- はい。
- 岩田
- あのう・・・。
- 嶋村
- はい?
- 岩田
- 立場上、わたしは
「新しい『Wii Sports Club』を見せてください」
と言えば、今日まで待たなくても
すぐにでも見せてもらえるはずじゃないですか。
でも、これまでずっとがまんしてきたんです。 - 嶋村
- はい(笑)。
- 岩田
- その楽しみを
今日までとっておいたんです(笑)。 - 一同
- (笑)
- 岩田
- だから、はじめて触るのが
すごく楽しみなんです。 - 嶋村
- では、そろそろ・・・。
- 岩田
- はい。マジでやりますよ(笑)。
- 一同
- (笑)
実際にインターネット対戦をしてもらいました