『Wii U』 Nintendo Land篇
1. 開発はWii Uとほぼ同時にはじまった
2. 機能からのデザイン
3. クリアしてからが「本番」
4. 「チームスポーツのように」
5. 「生きている人がいる」
5. 「生きている人がいる」
- 岩田
- いま話題に出た『Miiverse』ですが、
このプロジェクトのゴールが見えたころ、
「共感ネットワークをつくります」って
水木(潔)さん()が江口さんのところに相談にいって、
急きょ入ることが決まりましたね。(※16)
水木潔=ネットワーク事業部所属。『Miiverse』のプロデューサー。過去、社長が訊く『Wii U』 『Miiverse』プロデューサー 篇や、社長が訊く『歩いてわかる 生活リズムDS』、社長が訊く『ニンテンドー3DS』内蔵ソフト 篇に登場。
- 山下
- 『Miiverse』の話がある前から、
「そもそもテーマパークだから、万博みたいに
世界中の人が広場に集まる感じを出したい」
という話はあったんです。 - 江口
- わたしも、こういう広場は
絶対につくってほしかったんです。
世界中のいろんなMiiがウロウロ歩き回ったり、
行列をつくっていたりするのを見せたいなぁと。
そういう広場を歩き回っていたら
「テーマパークに遊びに来た!」という感じがするじゃないですか。 - 山下
- でも、当時は『Miiverse』がなかったので、
「どうやってその感じを出そうか?」
って話をしていました。 - 江口
- そうですね。
最初は「Miiコンテストチャンネル」()の
Miiをサーバーからもらってきて、
広場に登場させる話もありました。(※17)
『Miiコンテストチャンネル』=Wiiチャンネルのひとつ。自分がつくったMiiを投稿してほかの人に見てもらったり、ほかの人がつくったMiiをもらったりすることができる。また、「コンテスト」のテーマに沿ってMiiをつくって応募したり、ほかの人が応募したMiiを審査したりできる。
- 山下
- はい。ただ、それだと
「血の通った感じにならない」ということで、
解決するすべがないままでいたんです。 - 岩田
- じゃあ「『Miiverse』があるんだけど」って話は、
いってみれば渡りに船だったんですか? - 江口
- はい、「ぜひやるべきだ」と強く思いました。
山下さんには、無理を言ったとは思いますけど・・・。 - 岩田
- でも、苦労して入れた甲斐あって、
「『Nintendo Land』に生きている人がいる」
そんな感じがすごくします。 - 阪口
- とくに外国からの投稿が見られるようになると、
読めない言語が飛び交う雰囲気が
なんかうれしいんですよね。 - 岩田
- 「テーマパークにきた!」って感じがしますね。
- 阪口
- はい。やっぱり用意されたMiiに比べて、
誰かがつくったMiiは
血が通った生々しい感じがするので、
『Miiverse』が入ったことで
広場であるプラザが生き生きしました。 - 江口
- プラザにはもうひとつ意味があって、
『Nintendo Land』は、
複数の人で遊ぶソフトだと思われがちですけど、
ひとりで遊ぶお客さんも意識したいんです。
『Miiverse』でほかの方と接することで、
「ひとりで遊んでいるわけじゃない」
ということを感じてほしいです。 - 岩田
- それが「また明日も遊ぼう」という
エネルギーにつながりますね。
時間がずれても、一緒にプレイしなくてもいい。
でも同じ経験をしていて、
共感しあえる人が実際にいることがわかるのは、
すごく価値のあることだと思います。 - 嶋村
- 『Miiverse』で発言できる楽しみもありますよね。
- 山下
- あの・・・わたしは正直、
「みんな、『Miiverse』で何を書くんだろう?」
って思っていたんです。
でも「なになにをクリアした」って
他愛ないことが書いてあっても、
それを見るときは自然と気持ちがのるんですよね。 - 岩田
- やっぱり「共通の経験をしていること」が
すごく大きいんでしょう。 - 山下
- はい。だから気負わず、投稿してもらいたいです。
ほのかにうれしい感じが集まって大きくなっていきそうなので
サービス開始がすごく楽しみです。 - 岩田
- わかりました。
では最後に、ひとりで遊ぶ方と、
周りに遊ぶ人がいる方に一言ずつ、
嶋村さんからお願いします。 - 嶋村
- はい。ひとりで遊ばれる方には、
食わず嫌いをせず、1回手にとって遊んで、
「『Nintendo Land』と『Miiverse』を
体験してもらいたい」と思います。
- 岩田
- 1人用ゲームには、
すごくゲームが上手な社員が、
目の色を変えてまで
挑戦し続けるものまでありますからね。 - 嶋村
- はい。デバッグチームからも
「ミニアトラクションがいちばん難しい」
と言われるくらい高いハードルでつくっていますので、
「ぜひ頑張ってもらいたい」と思います。
みんなで遊ぶ方々には、実力差がある人が集まっても
楽しめるマルチプレイを意識してつくっていますので、
なるべくたくさんの人を巻き込んで、遊んでほしいと思います。 - 岩田
- はい、山下さん。
- 山下
- ひとりで遊ぶ方には、
「チームアトラクション」のゲームは
複数プレイに視点が行きやすいんですけど、
ひとりでも十分に遊びごたえがあります。
あとWii U GamePadで遊ぶときと
Wiiリモコンで遊ぶときで、
プレイヤーキャラクターの視点が切り替わるので、
たとえば「メトロイド ブラスト」なら
スターシップでもサムスの姿でも遊べるので、
「一粒で二度おいしく」味わえます。
また複数で遊ばれる方は、
ぜひみんなで体験してください。
やっていると自然に会話が生まれて
楽しく遊べますから。
- 岩田
- 「会話が生まれるソフト」ということですね。
- 山下
- そうですね。
ゲームをしていると、とても仲良くなれるので、
とくに対戦アトラクションを体験してください。
ほかにも「ドンキーコングのクラッシュコース」を
華麗にクリアすれば、パフォーマーとして
周りの人気者になれます(笑)。 - 岩田
- はい、阪口さん。
- 阪口
- まず、みんなで遊ぶ方は
立場の違いを楽しんでほしいです。
僕は「ゲームを見ているだけ」というのも好きなんですが、
いろんな立場からゲームにかかわれることが
面白いところだと思うので、
ぜひみんなで集まって会話をしてほしいです。
1人プレイの方は、
もしまだ甘く見られている方がいたら、
「どのゲームも『かかってこいよ感』があります」
と言いたいです(笑)。
やり込み要素が十分にあるので、
手ごたえを感じてください。
- 岩田
- はい、江口さん。
- 江口
- 一言で「大勢で遊ぶ」といっても、
家庭ごとに家族構成は違っていますし、
人が集まるときもいろいろなパターンがあると思いますが、
どんな人が集まって一緒に遊ぶ場合でも、
遊べるゲームが必ず見つかりますから
安心して楽しんでもらえたらと思います。
ひとりで遊ぶ方も、アトラクションごとに
遊び込める要素をしっかりつくっていますし、
ゲームが得意な人にも、そうでない人にも、
その人に合う遊びが必ず見つかります。
なおかつ、『Miiverse』で
「ひとりじゃない」と感じられるので、
ぜひ「ニンテンドーランドプラザ」を歩き回って、
そこにいるMiiのコメントから世界を感じたり、
プレイ後の気持ちを素直に発信したりして、
「自分から世界に近づいてほしい」と思います。
- 岩田
- はい。わたしからは、
任天堂情報開発の内作チームが
最も長い時間をかけて、
Wii Uのためにゼロから本気でつくったゲームです。
一見、見かけがやさしそうに見えていても、
「深さが詰まっていることをお伝えしておきたい」
そう思っています。
多分、「これ、さわってはじめてわかった」
という部分も気持ちに残ると思うので、
「どういうふうに伝わっていくのか」
今後が楽しみですね。
みなさん、お疲れさまでした。
ありがとうございました。
- 一同
- ありがとうございました。