『Wii U』 Miiverse開発スタッフ篇
1. “ゲーム機ならではのブラウザー”
2. 「Miiがいるだけで」
3. “共感”
4. “クラウド型ゲーム日記”
4. “クラウド型ゲーム日記”
- 岩田
- Wii Uが世の中に出たら
どんなことが起こってほしいか、
栗栖さんからいいですか? 栗栖 はい。発売後、追って
PCやスマートフォンからでも
『Miiverse』にアクセスできる予定です。
家でゲームをした記録が外出先でも読めたり、
友達と遊ぶ時間を約束したりもできますので、
そこから幅が広がるといいなと思っています。 - 岩田
- ゲームのことを考える時間が、
リビングルームにいるときだけじゃなくなるんですね。
スマートフォンはよく、
「ゲーム機のライバル」と言われますが、
「ライバルじゃなく、友達になる方法もある」
とわたしは思っていて、
今回はそのひとつのトライですよね。
栗栖 はい。はてなの本業は
PCやスマートフォン向けの
ウェブサービスをつくってきた会社なので、
『Miiverse』がこれから
PCやスマートフォンに本格進出していくことで、
「はてなの本当の強みを活かせるんじゃないか?」
と思っています。
- 岩田
- 元山さんはどうですか? 元山 僕はふだんから
いろんなウェブサービスをつくっていますが、
オンラインのコミュニケーション手段を提供することで
「現実世界のコミュニケーションが
豊かになることを実現したい」
と思っているんです。
いつもとは離れた場所でも、『Miiverse』を使えば、
「今度は家に集まって遊ぼう」っていう感じで、
「実際に会うキッカケが生まれるといいな」と思います。 - 岩田
- 自分の知り合いが、
同じゲームを楽しんでいることを
知るチャンスが増えたらいいですよね。
加藤さんはどうですか? 加藤 わたしも栗栖さんや元山さんと
話がかぶるんですけど、『Miiverse』は
Wii Uを遊んでいない方でも
十分楽しめるものになっています。
いずれ、遊んでいる方と遊んでいない方が
コミュニケーションをとれるようになる予定ですので、
遊んでいない方でも「楽しそうだな」と
思える場になれたらと思っています。 - 岩田
- はい、湯澤さん。 湯澤 よく、PCとかスマホとかで
“ライフログ”()を記録することがありますよね。
『Miiverse』では“ゲームライフログ”じゃないですけど、
「今日はここまでクリアしました」とか、
日記のような感じで使ってほしいですね。(※23)
“ライフログ”=生活の中での体験を、映像・ 音声・位置情報などのデジタルデータとして記録すること。
- 岩田
- “クラウド型()ゲーム日記”になるといいですね。(※24)
クラウド型=従来、コンピューターのソフトウェアやデータなどは、ユーザー自身で保有・管理していたのに対し、クラウド型は、サーバーにソフトウェアやデータを置き、ユーザーがインターネット経由でサービスを利用できるのが特徴。 湯澤 はい。『Miiverse』がきっかけで、
友達になった人と通信対戦ができたり、
今後、よりゲームに多様性が生まれると思います。
たとえば、ゲームがおわったあとに
『Miiverse』でコメントをしたり、
対戦結果が自動的に投稿されて、
過去の投稿を思い出しながらディスカッションをしたり、
「ゲームライフに『Miiverse』が浸透してくれればいいな」
と期待しています。
- 岩田
- ただ今後、お客さんの数が増えていけばいくほど、
そのぶん、サーバーは大変になっていきますし、
とくにタイムライン()の表示には
いろいろと難題が出てきそうですが、
それについてはどう考えていますか?(※25)
タイムライン=過去に投稿された文章などを、時系列順形式に表示したようなものを指す。 湯澤 はい。タイムラインというシステムは、
抽出する部分が人によって異なるので、
なかなか大変で、試行錯誤しています。
世界各国の方がそれぞれストレスなく、
スムーズに見られることもポイントです。 栗栖 それに今回、『Miiverse』には
タイムラインで見かけて気に入った人を
「フォロー」するという仕組みがあるので、
たとえばわたしが100万人くらいの方から
「フォロー」されている場合、
わたしがひとことあいさつしただけで
その100万人のみなさんに届かないといけない、
という問題もあります。
- 岩田
- たくさんの「フォロワー」を集める
カリスマユーザーが現れた場合でも、
システムがパンクしないような対応が必要、
ということですね。 栗栖 はい。わたしは多分、
『Miiverse』においては、“岩田社長”が
その対象になるんじゃないかと思います(笑)。 - 岩田
- いや、それはわかりませんが、
しっかり対応していきましょう(笑)。
では最後に、お客さんにひとことずつお願いします。
湯澤さんからいいですか? 湯澤
はい。今回、起動したらまず、
「わらわら広場」()が見られます。
それはいま、『Miiverse』で起こっている
縮図みたいなものですから、ぜひそこから
「『Miiverse』へジャンプしてほしい」と思います。
興味あるゲームとか、いま遊んでいるゲームについて、
ほかの人がどんな楽しみかたをしているのか、
ぜひのぞきにきてください。
きっと自分でも書き込みたくなると思うので、
投稿型のインターネットサービスに不慣れな方も
少しずつ体験を重ねていただければと思います。
「わらわら広場」=Wii Uを立ち上げたホームメニュー画面に、ゲームのアイコンと、そのゲームを遊んでいる人たちのMiiが出てきて、交流する仕組み。出てくるゲームのアイコンは、すべて自分が持っているものとは限らず、さまざまなMiiがわらわらと登場し、画面上には感想などが表示される。いわば、ゲームのホームメニュー画面とおすすめ機能を統合したかたち。
- 岩田
- 加藤さんはどうですか? 加藤 わたしからも似たような感じになりますが、
いままでソーシャルネットワークに
あまり触れていない方や、
肌に合わなかったという方に、
ぜひさわってもらいたいと思います。
ゲームから投稿できたり、
ゲームの中に『Miiverse』のデータが入ってきたり、
といった新しい試みもしていますので。
- 岩田
- きっと、『Miiverse』を使っていただくと、
Wii Uの面白さって
飛躍的に広がっていくんでしょうね。 加藤 そう思います。
ネットワークを使うことで
ゲームの面白さが広がったことと同じように、
『Miiverse』を使うことで、
『Miiverse』対応のゲームの面白さを、
新たに味わってもらえるのではないかと思います。 - 岩田
- はい、栗栖さん。 栗栖 『Miiverse』単体でもさわってほしいですし、
ぜひゲームからどんどん
『Miiverse』へ投稿してほしいと思います。
面白いシーンを見つけたら
HOMEボタンを押して、
スクリーンショットを投稿できますから、
ぜひゲームにつながる
コミュニティを活用してほしいです。
- 岩田
- HOMEボタンを押して、
『Miiverse』に行くと、
そのときに表示されていたゲーム画面の
スクリーンショットを投稿できるようになっているんですよね。 栗栖 ええ。それに「ネタバレボタン」もありますので、
ネタバレを見たくない人には、
ちゃんと見えない仕組みもしっかり用意しています。 - 岩田
- それに「ネタバレだから隠したほうがいいですよ」
ってことを、通報する仕組みもありますからね。 栗栖 はい。そういうところを活用していただいて、
ゲームとつながる部分を
楽しんでいただきたいと思います。 - 岩田
- はい、元山さん。 元山 僕はどちらかというと
ふだんウェブサービスをよく使っている方に
使ってほしいと思っているんです。
既存のソーシャルネットワークのサービスは
ほぼテキスト文化ですけど、
『Miiverse』には手書きメッセージがあります。
書きかたのクセなどから、コミュニケーションが
「より伝わるんじゃないか」と思うので、
手書きのよさを実感してほしいなと思います。
- 岩田
- はい、ありがとうございます。
“メラビアンの法則”()というものがあって、
人が実際に何かしゃべっているのを
見たときに受ける印象のうち、
言葉そのものから受ける影響は7%しかなくて、
あとは声の調子や、見た目などが
印象を大きく左右するそうなんです。
逆に言うと、テキストだけの
ネットコミュニケーションというのは、
本当に一部しか伝わっていない可能性があります。
でも手書きは、それを部分的に補えますし、
そこにMiiの表情ボタンがつけば、
同じことを言っても、怒っているMiiの顔か、
笑っているMiiの顔かで、
印象はすごく変わるでしょうからね。(※27)
“メラビアンの法則”=1971年にアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した法則。人の行動が他人にどのように影響をおよぼすかは、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合とされる。 元山 そうですね。
- 岩田
- “共感”というキーワードをもとに
いまのサービスのかたちができあがりましたので、
“共感”を楽しんでくれる人が増えるといいですね。
みなさん、今日はありがとうございました。
一同 ありがとうございました。