『Wii U』 New スーパーマリオブラザーズ U篇
1. 「何を新しくするの?」
2. 「もったいない」]
3. “ノーバディプレイ”
4. マップをひとつに
5. 手元で投稿を読む
6. 「いろんなものをタッチしてほしい」
2. 「もったいない」
- 岩田
- 竹本さんから相談された足助さんは、
どのようにかかわっていったんですか? - 足助
- まず、竹本さんとふたりで
タッチで出るブロックを使って何ができるのか、
いろいろ試してみました。
そのなかで、すごく盛り上がったのが
じつは「ジャマをすること」だったんです。 - 岩田
- お助けプレイではなく、
「相手のジャマをするプレイ」
で盛り上がったんですか。 - 足助
- そうなんです。
たとえばノコノコのこうらが
びゅーんと飛んできたときにブロックを置くと、
それに当たって跳ね返るので、
それでプレイヤーのジャマをできたりとか。 - 岩田
- プレイヤーがジャンプするタイミングで
頭上にブロックを置いたり、とかですか? - 足助
- そうです、そうです(笑)。
「わざと意地悪をして楽しむ」
という遊びかたがとても楽しかったんです。
その次に、ふたりの連係がとれてきて、
お互いを精一杯フォローしたとき、
どんなことができるのかを試してみたんです。 - 岩田
- 今度はふたりで協力して、
超絶プレイの方向を探ったんですね。
- 足助
- そうです。
すると、いろんな遊びかたができるし、
「お、こんなルートを発見したぞ!」
ということがあって、すごくうれしかったんです。
そのときに「これはいける」という
手ごたえを感じました。
- 岩田
- でも、そうやって
ふたりだけで盛り上がって、
周りの人にはわかってもらえない、
というふうにはなりませんでしたか? - 足助
- そうですね、なりました(笑)。
- 岩本
- あの、僕はどちらかというと最初、
その“周りの人”でした。 - 岩田
- はい(笑)。
- 岩本
- 「タッチしたらブロックが出る」
という話をはじめて聞いたとき、
きっちりマップがつくられているなかで、
好きなところに行けてしまうのは
「どうなんだろう?」と思っていました。 - 岩田
- マップの仕掛けや、マップ作者の狙いが
台無しになってしまいかねないですからね。 - 岩本
- そうです。
ところが、このふたりがすごく上手で、
その超絶プレイを見ているだけで
ものすごく楽しかったんです。
それに、プレイヤーのルートが
「人によって変わるのも面白い」と思いました。 - 足助
- これまでの『マリオ』だと、
たとえば上のほうに登ろうとするとき、
豆の木を出したり、
隠れたブロックを出す必要がありましたよね。 - 岩田
- あと、パタパタの上を踏んで跳んだりとかですね。
- 足助
- はい。『マリオ』というゲームは
ひとつの場所に行くにも、
いろんな登りかたがあって、
それを発見するのが楽しいんですけど、
今回はブロックを使うことによって、
新しいアプローチのしかたが増えたように感じたんです。 - 岩田
- 新しいルートが「バディプレイ」で足される、
ということなんですね。 - 足助
- そうです。
たとえば取るのが難しいスターコインがありますけど、
ひとりでプレイすると、どうしても取れなくて、
「バディプレイ」で取れたときは
すごくホッとするんです。
で、そのあとはバディのサポートなしで
もう1回やってみたくなるんです。 - 岩田
- え? 難しいスターコインをひとりで取るんですか?
- 足助
- ええ。一度見て、
どこにあるのか、わかっていますので。 - 岩田
- ああ、なるほど。
それまでは、そこにスターコインがあることに
まったく気づかなかったけど、
「バディプレイ」をすることで発見するんですね。 - 足助
- そうなんです。
しかも、どんなルートがあるのかもわかりますし。 - 岩田
- だから、ひとりで遊ぶときの
偵察みたいにも使えるんですね。 - 足助
- そうです。
ただ、ストーリーモードの
「バディプレイ」に関しては、
初心者のための意味合いが強いんです。 - 岩田
- 前作の『NewマリオWii』では、シャボン玉に入ったまま
ほかのうまい人に先まで連れて行ってもらうことで、
「アクションゲームが得意じゃない自分でも
はじめてエンディングまでプレイできた」
という話をいろんな人から聞きましたが、
このシリーズは、初心者でも最後まで
遊んでいただけるように、
毎回、チャレンジし続けている感じがしますね。
- 足助
- そうですね。
なので、ゲームが苦手な人でも
「バディプレイ」をうまく活用して、
今回は「クッパ戦までたどり着いてほしい」
と思っています。
それと、ひとりだけでクリアできるような人には、
とても遊びごたえのある
「おだいモード」を用意することにしました。 - 岩田
- その「おだいモード」というのは、
どうやってできたんですか? - 竹本
- 実際、僕たちがそうなんですけど、
自分たちでお題をつくって、
開発中によく遊んだりしていたんです。 - 岩田
- 自分たちで、しばりをつくって遊ぶんですよね。
- 足助
- そうです。
それは『マリオ』上級者の
定番の遊びかたでもあると思うんですけど。 - 岩田
- 「おれはこんなにすごい方法でクリアしたぞ!」
と自慢したくなっちゃうんですよね。 - 足助
- そうです(笑)。
で、そのような遊びかたを、『NewマリオWii』のときに
「こんな遊び方もあります」
「いろんなお題にチャレンジ!」
というかたちにまとめて、
任天堂のホームページに掲載したところ、
とても評判がよかったんです。 - 岩田
- どうして、そのようなことをしたんですか?
- 足助
- 面白い遊びかたがあるのに、
一般のお客さんたちに伝えないのは
「すごくもったいない」と思ったからです。
それに「『マリオ』をずっと遊んでほしい」
という思いもありました。 - 岩田
- 「クッパを倒して、ハイおしまい」
ではもったいないということですね。 - 足助
- はい。それで今回は
「おだいモード」というかたちにして、
最初からゲームのなかに入れることにしました。 - 岩田
- 「ゲームに入れよう」と言い出したのは
足助さんだったんですか? - 足助
- いえ、僕がチームに入ったときには、
竹本さんのほうで入れることは決定していました。 - 岩田
- 竹本さんにとっても、
「おだいモード」的な遊びかたに
手ごたえを感じていたということなんですね。 - 竹本
- そうですね。
それに、これまで『マリオ』シリーズにかかわってきて、
自分でコースをデザインするときは、
たとえば「このコースは、
1回も地面を踏まずにクリアできる」みたいに、
自分のなかで勝手にテーマをつくって
コース設計をしてきたんです。
- 岩田
- ああ、コースづくりの背景には
必ずそのようなドラマと意志があるんですよね。 - 竹本
- そうなんです。
でも、そのようなことを黙って入れても、
世間の人たちに気づいてもらえないことも多くて、
それが「もったいない」と思っていました。 - 岩田
- でも、今回のように、
最初から「おだいモード」として
ゲームのなかに入れられたら、
「新しい遊ばれかたになる」ということなんですね。 - 竹本
- はい。
- 足助
- で、今回の「おだいモード」は、
「幅広い層の人たちに遊んでほしい」
と思いましたので、
上級者の人が楽しめるモードから、
ストーリーモードを半分くらいまで
行けるような人であれば、
ちょっとずつでも遊んでいけるような、
少しかんたんなモードも用意しました。 - 岩田
- すべてが超絶プレイばかりでは
ふつうのプレイヤーにはツライですからね。 - 足助
- そうですね。
なので、アクションが苦手な人でも、
たとえば、連続1UPのやりかたを
まず「おだいモード」で覚えてから、
ストーリーモードのコースで試してみると、
マリオの数がいっぱい増えて
とても遊びやすくなりますので、
初心者の人にもメリットがあると思います。 - 岩田
- 超絶に難しいお題から、
それなりに経験を積めば、
多少はうまくなくても
楽しめるモードなんですね。 - 足助
- はい。その人の腕前に応じて、
金・銀・銅メダルという
3つのレベルがありますので、
「ぜひチャレンジしてほしい」と思います。