『Wii U』 New スーパーマリオブラザーズ U篇
1. 「何を新しくするの?」
2. 「もったいない」
3. “ノーバディプレイ”
4. マップをひとつに
5. 手元で投稿を読む
6. 「いろんなものをタッチしてほしい」
3. “ノーバディプレイ”
- 岩田
- その「おだいモード」の難易度調整は
どのように進めたんですか?
チームにはゲームがうまい人ばっかりでしょう? - 岩本
- ・・・(黙って首を横にふる)。
- 岩田
- あ、いま、岩本さんが
「違う」って顔をしましたけど(笑)。 - 一同
- (笑)
- 足助
- あの・・・言いにくいんですけど、
岩本さんは『マリオ』があまりうまくないんです。 - 竹本
- ただ、「うまくない」とは言っても、
クリアはできるんですよね? - 岩本
- はい。クリアはできます。
自分では、それほどヘタだとは思っていないのですが・・・。 - 足助
- なので、岩本さんくらいのレベルの人や、
『マリオ』をクリアできない人も
チーム内に何人かいましたので、
そういう人たちにも協力してもらって、
レベルの低いところから調整をしていました。 - 岩田
- いわば岩本さんは
リトマス試験紙だったんですね(笑)。 - 岩本
- はい。低いほうの、ですけど(笑)。
- 足助
- で、うまい人は
マリオクラブ()のトップレベルの人に
リトマス試験紙になってもらって、
その人たちからも「ちょっと歯ごたえがあるぞ」
と言ってもらえるくらいになりました。(※9)
マリオクラブ=マリオクラブ株式会社。任天堂の開発中ソフトのデバッグやテストプレイを行う。
- 岩田
- でも「“ちょっと”苦労しました」なんですよね、
マリオクラブの人たちにとっては(笑)。 - 足助
- いえ、今回は「“けっこう”苦労しました」と。
- 岩田
- あ、そこまで言われましたか。
- 足助
- そうなんです。
- 岩田
- それって、ちょっと
達成感があったんじゃないですか?
ふだん、そういう難易度の高いゲームは
なかなかつくれないですし。 - 足助
- そうですね。
でも、誰もクリアできないとやっぱりダメなので、
あまり難しくしすぎないようにはしました。 - 竹本
- でも、NOA(Nintendo of America)の
テスターさんから
「こんなのクリアできませんよ!」
というのがきてましたよね(笑)。 - 岩田
- へえ~、強者ぞろいの
アメリカのテスターさんたちが、
白旗を揚げたものもあったんですか? - 足助
- そうです。
「これは本当にクリアできるんですか?」
というメールがきました。 - 岩田
- つまり「ゲームの設計ミスだ」
と思ったんですね。 - 竹本
- そうなんです。
そこで、クリアできることを証明するために、
ムービーをアメリカに送って・・・。 - 足助
- すると翌日には「すみません、できました」
という返事がきたんです(笑)。 - 岩田
- ああ、腕の問題じゃなかったんですね。
- 足助
- そうなんです。
金メダルを取るためには、
ちょっと工夫をしなければならないものもあるんです。 - 岩田
- それはつまり、
アクションゲームの『マリオ』が
「パズルゲームにもなっている」
ということなんですね。 - 足助
- そうです。
今回は「おだいモード」をクリアすると、
ムービーに録って保存することができるんですけど、
うまい人のムービーを見ると、
それまで「自分では行けない」と思っていた場所でも・・・。 - 岩田
- 「じつは行ける」ということがわかるんですね。
- 足助
- そう、わかるんです。
実際に同じことを試してみると、
自分にもできたりするんです。 - 岩田
- だから、うまい人のビデオを見るのは
上達の近道になるんですね。
- 足助
- はい。そこで、『NewマリオWii』のときは、
「おたからムービー」というかたちで、
開発スタッフがプレイした動画を
ゲームのなかに収録していたんですが、
今回は別のかたちで
ご覧いただけるようにしようと思っているんです。 - 岩田
- 「乞うご期待!」ということですね。
- 足助
- はい(笑)。
それで、「おだいモード」の話に戻すと、
今回は「バディプレイおだい」というのがあって、
ひとりではできない、バディプレイを使ったお題なんです。 - 岩田
- つまり、ふたりそろわないといけないんですね。
しかも、気の合ったふたりじゃないといけませんね。 - 足助
- そうなんです。
最初は失敗したりすると、
「お前のせいだー!」とか
いがみあうこともあるんですけど・・・。 - 岩本
- うまくできると、
一気に仲良くなるんです(笑)。 - 竹本
- やっぱり、うまい人同士で遊ぶと、
バディ役の人は「ここに出してほしいだろうな」
というところにブロックをちゃんと出せるし、
プレイヤーの人も「次はここに出すだろうな」
というのが読めてきますので・・・。 - 足助
- 呼吸が合ってくると、
すごく気持ちのいいプレイができるようになります。
しかも、プレイヤーとバディを交代して遊ぶと、
お互いの動きを見ているうちに、
どんどん上達していくんです。
そのように、上級者がふたりそろうと、
超絶プレイが楽しめるようになります。
- 竹本
- ただ、「バディプレイおだい」で課題になったのは、
ふたりがそろわないと遊べないということなんです。
やっぱり、ひとりだけでプレイする人がいて、
そのような人たちがコンプリートできないものは
「つくりたくない」と思っていましたので・・・。 - 足助
- そうしたら、たまたまあるプログラマーさんが、
「バディプレイおだい」をひとりでコツコツとやっていて。 - 岩田
- ひとりでやるってどういうことですか?
- 足助
- Wiiリモコンを両手に持って・・・
- 岩本
- こう持って・・・。
- 竹本
- 右手の中指で、こうタッチして・・・。
- 足助
- こんな感じです。
- 岩田
- ああ、Wiiリモコンを両手に持って、
右手の中指の指先で、
Wii U GamePadの画面をタッチするんですか(笑)。 - 岩本
- だから、“ノーバディプレイ”なんです。
- 一同
- (笑)
- 足助
- しかもそのプログラマーさんは、
「バディプレイおだい」の金メダルを、
全部ひとりで取ったんです。 - 岩田
- それはすごい!
- 足助
- ひとりでやっているから、
思ったところにブロックも出せるんです。 - 岩田
- じゃあ、そのプログラマーさんが
ひとりで遊べることを証明してくれたんですね。 - 竹本
- はい。なので、彼のおかげで、
不安が解消されました。