『Wii U』 New スーパーマリオブラザーズ U篇
1. 「何を新しくするの?」
2. 「もったいない」
3. “ノーバディプレイ”
4. マップをひとつに
5. 手元で投稿を読む
6. 「いろんなものをタッチしてほしい」
5. 手元で投稿を読む
- 岩田
- それにしても、
「全部のマップをつなぐ」というのは、
制作が大変だったでしょう? - 岩本
- 本当は1個1個区切って・・・。
- 岩田
- そうしたほうが、
圧倒的に制作しやすいはずなんですけど。 - 岩本
- だから最初は「本当にやるんですか?」
という意見が多かったんです。
でも竹本さんは「どうしてもやる」と(笑)。 - 竹本
- はい。なにを言われようと、やりたかったんです。
- 足助
- もちろん、デザイナーさんとか、
いろいろな反対はあったんですけど、
「いや、今回はこれが大事なんです」という
竹本さんの強い意志が最後まであったので、
最終的にはチーム一丸となって
がんばることができました。 - 岩田
- でも、がんばった甲斐があったんでしょう?
- 足助
- はい、ありました。
今回の最終目的地はピーチ城なんですけど、
そこが目的地であるということを
どこからでも見渡すことができますし、
「いま3分の1くらいまで進んだ」とか、
道が二手に分かれていたりすると、
全体の地形を見渡しながら、
「どっちから行こうかな・・・」とか
悩むのがとても楽しかったりします。
- 岩本
- つくっているときの竹本さん、
すごいこだわりがあって、たとえば
「山の高さはこれじゃ低すぎです」とか
「こんな形はイヤです」とか・・・。 - 足助
- 山の上まで進んだら、
「次のコースの先まで見渡せるようにしたい」とか。 - 岩本
- だから足助さんも、
ポイントごとに次のコースが見えるように
カメラのアングルにこだわったり・・・。
かなり入念にやっていましたよね。 - 足助
- そうですね。
なので、かなり手間はかかりました。
でも、できあがったものを見ると、
みんな「やってよかった」と言っていました。 - 岩田
- このマップは、『Miiverse』()の機能とも
関係しているんですよね。(※12)
『Miiverse』=Miiを通じて世界中の人たちがつながる、Wii Uにシステムレベルで統合された、ゲームをもっと楽しむためのネットワークサービス。
- 岩本
- 『Miiverse』は、僕が担当したんですが、
マップの上に吹き出しを表示して、
自分のコメントを書き込めるようにしました。
じつはそれができたのは、
マップをひとつにつないで
コース全体を見渡せるようになったことが、
かなり大きかったんです。 - 岩田
- ああ、たしかにひとつにつながっていないと、
あのような表示はできませんからね。 - 岩本
- そうなんです。
- 岩田
- もともと『Miiverse』をどう使うかは
それぞれのゲームにお任せしているんですが、
『NewマリオU』の場合、
自分がいる位置をマップ上に出して、
さらに投稿したコメントを
表示できるようにしたわけですね。 - 岩本
- そうです。
- 足助
- 今回の『Miiverse』は
Wii Uの大きな特徴のひとつですから、
同時発売の『NewマリオU』でも
「絶対に活用しよう」ということになりました。
そこで「『Miiverse』をどうすればアピールできるのか?」と
いろいろ考えました・・・って、
考えたのは岩本さんなんですけど(笑)。 - 岩田
- 岩本さん、どんなことを考えて
『Miiverse』との連係機能を実現させたんですか? - 岩本
- 『Miiverse』には“共感”という
キーワードがある、と聞いていましたので、
どのようなときに“共感”を得られるような
投稿をしたくなるかを、まず考えました。
ちなみに僕はアクションゲームが
あまりうまくありませんので、
同じ場所で何回もミスをしてしまうんです。 - 岩田
- 「また、あの穴にはまったよー」
みたいな感じですか?(笑) - 岩本
- そうです(笑)。
まさにそのときが、いちばん感情が高ぶって、
「人に言いたくなっちゃう」ときだと思うんですよね。
逆に、すごくうまくコースをクリアしたり、
何か特別なことをしてクリアしたときに、
そのうれしい気持ちを
人に伝えたくなったりとかしますし。
- 岩田
- たしかにそれはありますね。
- 岩本
- そんな気持ちのときに投稿したら、
「自分もそうだった・・・」ということが
“共感”につながると思って、
そういうことをゲーム側から
うながしてくれるように注力しました。 - 岩田
- あと、『Miiverse』は
「手書き投稿」もできるようになったので、
よけいにその気持ちの部分が
伝わる感じになりましたよね。 - 岩本
- そうですね。
でも、その「手書き投稿」の話も、
ホントにあとから聞いたんです(笑)。 - 岩田
- そうでしたね。
最初から「手書き投稿」をする
仕様ではなかったんですよね()、じつは。(※13)
最初から「手書き投稿」をする仕様ではなかったんですよね=「手書き投稿」に関するくわしい経緯、社長が訊く『Wii U』Miiverse 開発スタッフ 篇はこちら。
- 足助
- それ以外に、『Miiverse』では、
手元のWii U GamePadで
コメントが読めるようにしました。 - 岩田
- あ、そうなんですね。
- 足助
- もともと、テレビ画面で
『Miiverse』を表示させようとしたら、
たくさんの吹き出しが出てきて
画面が見づらくなってしまって・・・。 - 岩田
- 吹き出しがジャマをするんですね。
- 足助
- でも“共感”するメッセージは
すぐに読んでもらいたいんです。
そこで、テレビ画面には
Miiの顔だけが表示されるようにして、
ここで「誰かがつぶやいてるぞ」
ということがわかって、
手元を見るとけっこうでかい文字で
コメントが読めるんです。
- 岩田
- 文字だから、手元のほうが読みやすいですしね。
- 足助
- そうなんです。
しかもボタンを押すことなく
読めるのがいいんです。
それとテレビの画面より、手元の画面のほうが、
ほんの少しだけ遠くまで見渡せるようになっていて、
「この先はどうなっているんだろう?」というときは、
Wii U GamePadの画面を見るといいんです。 - 岩田
- へえ~。
- 足助
- それでも見渡せなかったら、
タッチでかんたんにスクロールできますし。 - 岩田
- ついつい、テレビ画面とWii U GamePadの両方に
いつでもおんなじ絵が出ていると
思っちゃいますけど、
じつはそうではないんですね。 - 足助
- はい。マップ画面は違います。
なので、今回はマップの使い勝手が
どんどん広がったと思います。 - 岩田
- そういう意味では、
これからもWii Uの2画面を活用するノウハウが
たまっていくんでしょうね。 - 足助
- はい、きっとそうなると思います。