川島教授と開発スタッフに聞く、Switchの「脳トレ」。
はじめに
読者の皆さん、はじめまして。文章を書く仕事をしている、稲葉ほたてです。
昨年12月27日、あの「脳トレ」がひさびさに発売されました。
毎日遊んで脳を活性化できるゲームは、今回も盛りだくさん。しかもNintendo Switch(以下、Switch)で登場ということで、Switchの機能を活かした様々な新トレーニングも追加されています。
そこで今回は、Switch版「脳トレ」最新作を取材するため、仙台市の東北大学加齢医学研究所を訪問。開発に関わった任天堂の河本浩一さんと久保堅太さん、そして川島隆太教授から開発時のエピソードや、「脳トレ」のこれまでについて聞いてきました。
当日は教授が大のゲーム好きだったことが発覚したり、「監修」の域を超えた深い開発への関わりに驚いたりと、大変楽しい取材になりました。皆さん、教授のイメージが良い意味で“壊れていく”(?)感覚をぜひ味わってください!
※『東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のNintendo Switchトレーニング』は、医療機器ではありません。
出会い……15年前の今日
- 河本浩一(以下、河本)
- 実は、ちょうど15年前の今日(※取材日の2019年12月2日)、岩田社長(当時)と一緒に、東北大学にある川島教授の研究室を初めて訪問させていただいたんです。初代「ニンテンドーDS(以下、DS)」の発売日でした。
河本浩一:企画制作部 プロデューサー
- ——
- え! そうなんですか!
- 川島隆太(以下、川島)
- そういえば……気づかなかった!
でも、当時の僕は警戒してましたよ。まだ産学連携のハードルが高かった時代です。それでなくとも、企業側からの売り込みって、大学側は「利用されてしまうんじゃないか」と警戒するものですしね。
川島隆太:東北大学加齢医学研究所 所長
- ——
- ところが、社運を賭けたDSのまさに発売日に、しかも社長の岩田さんがやってきた。
- 川島
- 意気に感じましたよ。それに岩田さんが、本当に面白かった。聞けば自分と同い年で、大学も同じ理系。いろいろな部分で、自分と感覚が合うんですよ。
- 河本
- もう、いきなり仲良く話されてましたね(笑)。
- 川島
- ええ、そして岩田さんから初代のDS版「脳トレ」のアイデアを聞きました。あれから『鬼トレ』【※】なども含めて15年続けてきましたが、今回は岩田さんのいない中でやるわけですから、本当に、僕らの「試金石」だよね。
任天堂より2012年7月28日に発売されたニンテンドー3DS用ソフト『東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング』のこと。