『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』
参与人员:
企画制作部第4プロダクションG 手嶋 宏介
企画制作部第4プロダクションG 益田 直生
来源:
https://www.nintendo.co.jp/interview/awuxa/index.html
1. ひっくり返したらどうかな?
2. アイドルグループ
3. 絶対に最後までつくってもらおう
4. プログラミングすることの楽しさ
1. ひっくり返したらどうかな?
- ——
- 任天堂のものづくりに対する考えやこだわりを、
開発者みずからの言葉でお伝えする
「開発者に訊きました」を始めるにあたり、
『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』の
開発に携わった二人に話を訊いてみました。
まずは簡単に自己紹介と、
これまでに担当したお仕事について話してもらえますか? - 益田
- 『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』の
ディレクター兼プログラマーの益田です。
以前は『Nintendo Labo』※1シリーズの
仕様検討やプログラム開発を担当していました。
ダンボールとNintendo Switchを組み合わせ、ピアノやバイク、ロボットなど、いろいろなコントローラー(=Toy-Con)を作ってあそぶことができるゲーム。「VARIETY KIT」「ROBOT KIT」は2018年4月20日発売。
- 手嶋
- 手嶋です。
私はサブディレクターとして、
ナビつきレッスンの取りまとめを担当しました。
直近では、『Nintendo Labo』の「わかる」※2の
テキストを作成していました。
『Nintendo Labo』のモードの1つ。Toy-Conの仕組みを理解することで、新しい遊びを発見することができる。
- ——
- ありがとうございます。
では、まずは今回のソフトについて軽く紹介いただけますか。 - 益田
- はい。
『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』は、
画像ノードンという不思議な生き物をつなぐだけで
簡単にプログラミングを楽しめるソフトです。
プログラミングを難しいと感じる方でも、
丁寧なナビと、このノードンを通して
プログラミングがわかっていき、
最終的には自分でゲームがつくれるようになります。 - ——
- このソフトの企画は、どんなきっかけで始まったのでしょう?
- 益田
- 『Nintendo Labo』の4つ目のVRキットの開発が終わった後に、
VRキットの中に含まれていた
画像Toy-Con ガレージVRを切り出して、
一つの商品にできないかと考えていました。
Toy-ConガレージVRは、
一通りVRのToy-Con作りを理解した後に、
お客さまご自身のアイデアで、
VRを生かしたオリジナルゲームづくりを
楽しんでいただくようなものでしたが、
VRに限らずそこをもっと広げてみようと思ったんです。 - ——
- それは、Toy-Con ガレージで
何かやり残したことがあったからですか? - 益田
- いえ、やり残したことがあったということではなく、
違う見せ方ができるのではないかと可能性を感じていたんです。
VRキットのToy-Con ガレージは、
『Nintendo Labo』の中でも最後の最後の応用コーナーで、
当初はほんの一握りの人でもそこへたどり着いてくれたら
いいな、くらいの気持ちでした。
でもToy-Con ガレージのコンテストを開催してみて、
お客さまがToy-Conガレージでつくられた
オリジナルゲームの中に、
手応えを感じる面白いゲームが
たくさんあることを知って、
これを「ほんの一握りの人」だけじゃなくて、
もっとたくさんの人にゲームをつくる楽しみを
体験していただきたいと思ったんです。
試行錯誤をしながらゲームをつくる楽しみを、
もっと気軽に楽しんでもらえないかなあ・・・
とも考えていました。 - 手嶋
- 『Nintendo Labo』の開発チーム内でも、
普段プログラミングをしないデザイナーさんたちが、
Toy-Con ガレージを使ってゲームをつくってくれました。
ゲームのつくり方が途中でわからなくて
立ち止まってしまった時は、
Toy-Con ガレージを開発した益田さんに聞きに来たりして、
それでだんだん理解して
つくれるようになっていって・・・
当時は益田さんがなんでも質問を解決してくれる、
いわば「お助け役」みたいになっていましたね(笑)。 - 益田
- デザイナーさんたちからの質問を受けたり、
コンテストでお客さまがつくられたゲームを見たりして、
このToy-Con ガレージはやはり面白いものだと
改めて思うようになりました。
でも、Toy-Con ガレージでの「つくり方」を
もっと丁寧に伝えられたら
この面白さをもっと広げられるかもしれない、
と気づいたんです。 - ——
- つまり、Toy-Con ガレージの課題は「つくり方の説明」の部分で、
それを解決するのが今回の目標だったということですか? - 益田
- そうですね。『Nintendo Labo』はダンボールの
Toy-Conをつくって遊ぶことで、
まずハードの仕組みを理解して、
さらにその応用として、
ほんの一部の方がToy-Con ガレージを使った
オリジナルゲームの発明までたどり着けるというものでした。
でも、デザイナーさんたちの「お助け役」として
いろんな質問を受けている中で、
この順番をひっくり返したらどうかな?
と思ったんです。
つまり、『Nintendo Labo』では
ハードの仕組みの理解からスタートして、
最終的にソフトづくりにつながっていました。
ですが、『はじめてゲームプログラミング』では、
ソフトづくりを入り口にして、
プログラミングを先に体験していただこうということです。
『Nintendo Labo』には「つくる」という
「世界一“イケてる”」と思っている
組み立て説明書がありましたが、
そのノウハウをプログラミングでの「つくる」にも
応用したい、と考えたんです。
そうすれば、『Nintendo Labo』とはまた違った角度で
「つくる・あそぶ・わかる」を
楽しんでいただけるんじゃないかと思いました。 - ——
- そういう考えで、『Nintendo Labo』では
最後にたどり着くはずだったソフトづくりの部分を、
前に出したということですね。 - 手嶋
- はい、それで益田さんがデザイナーさんたちの
「お助け役」になったように、
説明(ナビ)があると、
きっとその可能性をもっと楽しんでいただけるはず!
と思いました。 - ——
- じゃあ、「ナビつき!」の「ナビ」は益田さん・・・?
- 手嶋
- はい、あれは益田さんの分身とも言えますね(笑)。
- ——
- となると、その益田さんの分身とも言えるナビが気になりますが、
「ナビつき!」のナビとはどんなものなんですか? - 手嶋
- 具体的には、このソフトのメインである、
ノードンを使ったゲームプログラミングが楽しめる、
動画7種類の「ナビつきレッスン」のことになります。
ナビでゲームの完成を一からサポートします。 - ——
- 実際、どこまでナビをしてくれるんでしょうか?
- 手嶋
- ボブという説明キャラクターが出てきて、
それこそ一から十まで、手取り足取り教えてくれます。
プログラミングにはノードンというキャラクターを使うのですが、
「ノードンをここに置いて」とか
「このノードンとこのノードンをつないで」とか、
動画ボブがプレイヤーの操作に合わせて画面上を移動しながら、
最初から最後まで細かく教えてくれるんです。 - ——
- なるほど、
それなら初心者でもゲームを完成できそうですね。
ちなみに、小学生でもプログラミングを楽しめたりするのでしょうか。 - 益田
- プログラミングに興味がある小学生のみなさんに
開発段階のものをやってもらいました。 - ——
- 反応はどうでしたか?
- 益田
- 手応えがありました。
その場では実際に、ゲームが完成するところまでやってもらえました。
「やってもらえた」というより、
もう小学生たちの勢いがすごくて・・・(笑)。 - 手嶋
- 「次!次!」という感じで、
その日に用意したモニター用のレッスンだけでは満足してもらえなくて、
開発途中の未公開部分のレッスンにまで
入られてしまって困りました(笑)。 - 益田
- 集中力がすごかったです(笑)。
- ——
- (笑)。
- 手嶋
- ほかにも、小学4年生の方は、
ナビつきレッスンの先のフリープログラミングで
自分なりのゲームづくりまでしてくれたので、
「これはイケそうだな」と実感しました。 - ——
- なるほど、実際に小学生でも
つくれることが実証されているわけですね。 - 手嶋
- もちろん個人差はあります。
- ——
- その個人差は、ナビが埋めてくれると思って大丈夫ですか?
- 手嶋
- はい。「ナビつきレッスン」は小学1年生でも
楽しみながらゲームを完成させられる、
というものなので。
それだけでなく、
レッスンで出てきた仕組みやノードンのことを、
より詳しく教えてくれるモードもありますし、
もっとやりたい方はフリープログラミングに挑戦できますので、
楽しみ方の選択肢があることが、
いろんな個人差を埋めてくれるんじゃないかと期待しています。